一般国道49号
福取トンネル旧道
惣座峠 第5部
2022年5月4日 探索 2022年7月31日 公開
クマはもういいぞ。
この言葉を胸に先へ進みだした私だが、内心はやはり今まで以上に神経を研ぎ澄ませている。そんな中で、前回の場所から進みだす前に、100均の「音が鳴るピストル」なるもの(どんなものかと言うと、陸上競技大会でスターターが鳴らすピストルと思って頂ければいい)を鳴らして、更にラジオを鳴らして・・・と言った具合に、巷で「クマよけ」と記述があるものは実行している。
単純に考えると、そんなにクマが怖けりゃ旧道や廃道の探索を止めてしまえばすべて解決するのだが、そこは止める気はさらさらない。「結局、怖いもの見たさなのかなぁ」とつぶやき、内心で「いや、それは違うな」などと自問自答しながら進む私だ。
閑話休題。
前述の広場から福取の峠を目指して進むと、すぐにこんな素敵とも言える風景の道になる。左側には今でも堅牢な印象の法面がある。これはもしかして石垣か?。
路面は相変わらず枯草のクッションが敷き詰められている状態だが、その先には灌木の姿も見える。この先は、少し灌木が多くなるかなぁ・・・と思いながら、右の腰に装着しているバトルアックス(←ナタ(笑))の存在を確認するかのように、柄に触れて存在を確認する。
この、腰に装備しているナタは最初はなかったものだが、先ほどのクマ(?)の唸り声事件で福取の集落から再度アタックした際に装着したものだ。また、クマ撃退スプレーは言うまでもなく最初から持っていた。自然の中で一対一になると人間の力など微々たるもので、これで完璧とはいかないと思うが、それでも万が一の時は、せめてささやかな抵抗はしたいじゃない。ねぇ?。
先へ進みながら、左側の法面の方に近づいていく。それは、この法面が土を削っただけで、その後安定しているものとは何故か思えないものだったからだ。直感だが、どうも石垣が隠れているような気がする。こういった道の斜面にはありがちな光景だが、その斜面は分厚い枯草と、隙間から生えている灌木に隠されてしまっているようだが・・・もう少し近づいてみることにしよう。
やっぱり!
思った通り、石垣が顔を覗かせていた!。しかもこれ、結構重厚な石垣じゃないか!。この石垣が見れただけでも、ここに来た甲斐があろうと言うものだ。もちろん、今の石垣のように表面がきちんと揃っているわけではなく、一見して揃っているような印象は受けるものの、ちゃんと見てみると実は揃っていなくて凸凹などと言う、実に味のある(?)石垣で、こういったものは私の大好物でもある。じっくり眺めて、至福の時間をしばし過ごすことになったのだが、実はその途中に・・・
んーと、この凹んだ足跡のようなものは、何だろうね?。路面をくまなく観察してみると、この足跡は並列に、しかも互い違いに路面についている。これはたぶん四つ足の動物。となると・・・サルかな?とも考えたが、猿にしてはどうも足跡が大きすぎる。となると…ヤツだ。
その足跡の凹みは乾燥しかけていて、おそらく直近に通ったものではないとは思うが、どうやらヤツらのフィールドの中に入ってしまったようだ。探索をしていると、どうしても自然動物のテリトリーに入っていかないといけないので常日頃から覚悟はしていたが、やはり緊張する。
嬉しいことに、この左側に続く斜面にはずっと石垣が組まれていた。それが路面への落石や崩土から今もしっかりと守っていた(その代わりじゃないけど、灌木が結構多く生えてはいるが)。画像中央の白い棒状のものは、おそらく倒木だ。この道を管理している誰かが立てかけたものだろう。でなきゃこんなに綺麗に立っているはずがない。今でも誰かがこの道を守り、(季節によっては)通行可能することが出来る三島の道。その道を今、私が歩いている。非常に感慨深く、一歩一歩を踏みしめて歩いた。
でたっ!廃道名物!
横殴りの灌木!(笑)
いいぞ、これだ。横殴りの灌木は正直に言うと非常に進みにくいが、このくらいならまだまだ軽いもんだ。三坂峠の横殴りに比べれば(笑)。路面には笹も見える。こういった峠道にはそれぞれの地域の特徴と言うものがあるようで、路面に広がる笹と言うのはここ惣座峠と七坂峠、鳥井峠くらいしかないような気がしている。つまり、福島県に近づく峠道だったりするとこの笹が多い気がするのだが・・・気のせいだろうか。
ここまで、惣座峠の半分以上を通り、私がいるところはたぶん三分の二くらいではなかろうか。通りたかったこの惣座峠も、いざ通り始めてしまえばあっという間だ。しっかり目に焼き付けながら進もう。