一般国道49号
福取トンネル旧道
惣座峠 第1部

2022年5月4日 探索 2022年7月15日 公開

いよいよ、数年単位でリベンジを計画していた惣座峠の探索が始まる。そのせいか、私の胸は非常にワクワクしているのだが、まだこの辺りは行きに通って何度もアタックしてヤブに阻まれ、戻ってきた時も通る道だけに今一つ感慨はないのが正直なところだ。それどころか、私はこの場で他のことに気を取られていた。探索が始まってまださほど時間も経ってなく、早々にこんなことを言うのもなんだが…

頭が暑い!(笑)

私は探索時には必ずヘルメットを被っている。それは、人体の中で一番大切な頭を守ると言うこともそうだし、雨降ってきても気にならないし、灌木が頭を叩いても全く臆さず進むことが出来るし、ましてプーさんと出会った際に完全とはいかないまでも、何も被らないよりは遥かにマシだと思うからだ。だが、今回は強い日差しでヘルメットの中が温まってしまって、いやー暑い!。

本格的にヤブに入るのはまだ先で、それまでは普通の未舗装路が続くはずだ。ここはひとつクールダウン、ヤブに入るまではヘルメットは外して、腰につけておくことにした。
さ、仕切り直しだ。頭にタオルを巻きつけて、さぁ行こう・・・と、その前に辺りを見回してみることにしよう。

道の左側の下を覗き込んでみると、小川(と言うか沢)が流れていた。この道が出来た頃から流れていた沢かもしれず(←そう思いたい)、そうするとこの峠道の衰退を黙って見つめてきたと言うことになる。ここから見る限り、沢の水は非常に綺麗で、山から湧き出てきたままなのだろう。顔でも洗ったら気持ちいいだろうなぁ・・・。一瞬「斜面を降りるか?」とも考えたが、それはやめておいた。

暑かったヘルメットを腰に付けて、旧道を歩きだす。
路面にはダブルトラックが残っていて、この辺は車の通行があるらしい。それに、路肩には電柱もしっかりと立っている。これらのことから、激ヤブに阻まれて通行できなかったこの道も、実は電力会社の管理道としても使われているようで、ひとまず路盤は残っていそうだ。
路盤さえちゃんと残っていれば、よほど背の高いヤブでなければ何とかなる。これまでの経験則に従うとそうなるので、何となく先行きは明るい。そんな気がした。

旧道や廃道の探索からすると少し物足りない、実に普通の砂利道が続く。自転車で走ると気持ちよさそうだが、今回は残念ながら自転車を積載してきていない(どうせヤブになるからと、最初から積んできてなかったのだ)。でも、せっかくの三島の道だし、歩いて辿っていくのもちゃんと観察が出来ていいだろう。そんな心持で進んでいく。

今日は気温は高いが、季節は初夏の5月だけあって時折涼しい風が吹く。そのお陰で、今のところは「探索」と言うよりも「軽登山」と言う趣きだ。いささか趣旨とは違うが、これはこれで実に気持ちよく、少し汗ばんだ身体と、大いに汗ばんだ頭に(笑)涼しいひと時を与えてくれる。

汗ばんだ頭をクールダウンしながら、ふと考える。この後、ヤブの場所になってヘルメット被ったらどうするんだと言う、実に素朴な疑問だ(笑)。しかし、探索の序盤からこんな素朴な疑問に囚われてしまうのも面白くない。ま、その時はその時だ。

辺りの風景を見ながらのんびりと進んでいく。緩やかに右にカーブしていく旧道は、この後いくつかのカーブを経て峠に入っていくはず。正面にV字型に見える林が見えるが、あのあたりだろうか。時折立ち止まって、手元の地図と現地の地形を交互に見ながら観察していくと、この惣座峠の道は今も地図上の等高線をトレースして道が進んでいる。この先へ進んでいくと、右側に287.6の水準点があるはずだが・・・。

水準点はたぶんこの辺かな?と見当をつけて探してみるも、見当たらず。標柱が建てられているので、見失うことはないはずなんだが…ない。
道幅はここだけ広くなって、2車線の幅が確保されているようだ。50年前には現役だったと思われる山側の斜面も健在で、現役当時の姿を想像させてくれる。ここからは緩い上り坂で進み、少し先から左にカーブしていて、その先もここから見る限りは上り調子で進んでいるようだから、この辺りから峠道の本領発揮と言ったところか。

道は大きく回り込むように登り坂の左カーブで進んでいる。ところで、この辺りは路面の状態があまりよろしくない。画像右の、山側の斜面から流れ出している小さい沢の水が路面を通って、道路左側の下を流れる川に流れこんでいるようだ。その水の一部が路面の轍に溜まって、非常にぬかるんでいるというわけだ。私は長靴を履いているので全く平気だが、入口付近の乾燥した路面を見てトレッキングシューズなどで来てしまうと、ここで靴が泥だらけになって足が濡れてしまうこと請け合いになるので注意してほしい。

まだまだ探索は序盤。この区間は何度も来ているから、ここまでは探索と言う気があまりしない。だが、この道の快適さは、ある施設がこの先に存在するからだ。まずはそこを目指していこう。

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