一般国道49号
福取トンネル旧道
惣座峠 第2部

2022年5月4日 探索 2022年7月19日 公開

大きく回り込む左カーブを越えると、そこからは直線でキツめの上り坂となり、一気に標高を稼ぐかのように上っていく旧道。この道が旧道となった1970年台の大型トラックと言うと、まだボンネットトラックが多かった。もちろん、現在のトラックのように馬力もないだろうから、この急な坂はトラックもバスも喘ぎ喘ぎ上がっていたんじゃないだろうか。道幅を見ると、この辺りは2車線の幅が取られていて非常に広く、普通車だと優にすれ違い出来るくらいだ。路肩にはやはり電柱が立っていて、この道が管理用道路として活躍していることを思わせる。もしかすると、町道なのかもしれない。

振り返って撮影してみる。左に大きく回り込んでいる道形がよくわかる。周りに見える木々は杉だけでなく様々な木々が見えていて、ここは人工的に造られた林ではなく自然の森だ。きっとクマもいるだろうし、そこは十分に気を付けなくてはいけないが、現道時代は新緑の季節も紅葉の季節もたっぷりと自然を感じることが出来る、風光明媚な道だったのかなぁと言う気がする。

かなりの急勾配で上がる直線の道を、徒歩で上がっていく。5月にも関わらず、抜けるような見事な青空で非常に気持ちいいが、その分だけ気温も上がっているようで、非常に暑い。腰から下げているヘルメットがプラプラと動いているのを感じつつ、周りの景色を楽しみながら歩いているが、快適過ぎてやや物足りなさを感じるのは贅沢と言うものか。

ところでこの道の雰囲気だが、どこかで見た気がする。
それはどこだったか・・・と考えながら歩いていたが、ここに来てようやく思い出した。同じ三島が造った会津三方道路の一つで、七つのカーブがある峠。そう、七折峠の入口付近だ。造る人が同じだと、道の雰囲気も似てくるのか。歩きながらそんなことを思いつつ、ふと左側を見ると・・・

おお!真ん中を通る旧道と、それを取り囲んでいる自然のままの木々。
整然と並べられ植林された「林」とは違い、こういった様々な木々がランダムに生えている「森」の方が、やはり落ち着くと言うものだ。額からしたたり落ちる汗が、私の探索の唯一の相棒であるカメラにかからないか気にしつつ汗を拭い、やや生温くなったルイボスティをリュックから取り出し、一口飲んで喉の渇きと心を潤す。

・・・え?。いい年したオッサンが、何故ルイボスティなどと言うオシャンティなものを飲んでいるのかって?。それは、ルイボスティにはカフェインが入ってないので、利尿作用がないからである。探索中に一番困るのが生理現象だが(もちろん、可能な限り準備はして臨むが)、それを極力なくすためだ。クマであろうがサルであろうが、自分のテリトリーの中に見ず知らずの匂いのモノがあれば、興奮するんじゃなかろうかと言う、全くの素人考えに基づいてだが。それに、落ち着いて出来ないしね(何が)。

直線に近い長い上り坂を上がってきたが、それもようやく終点を迎えそうで、道は先で大きく右にカーブして、更に上を目指して進んでいる。それと同時に、この穏やかで散歩気分で探索できる時間も、もうすぐ終わりと言うことだ。
右側を見ると森が終わり、何やら整地されている場所がこの先にありそうだ。普通、山の頂上にあって、そこまでの道が作業道や林道として整備されていると言うことは、その先の施設は無線中継所の場合がほとんどだが、ここ惣座峠の場合はどうか。それも、もうすぐ見えるだろう。

少し歩いて右を向くと、現れたのがこの鉄塔。と言うよりも・・・これはたぶん携帯の基地局だろうな。これを見るために空を見上げたが、遠近両用をかけている中年の目にこの青空は眩しすぎる。サングラスをかけたいところだが、かけると周りの風景や色が見えなくなってしまいそうで、探索中にはかけないことにしているのだ。その代わりと言っては何だが、街中では外すことの出来ないマスクは、探索中には外すことにしている。そこでしか感じることの出来ない空気や匂いを感じたいもんね。

基地局の高台は人工的に造成したものではなく、自然の地形を生かして造られたものであることは、この道形を見れば容易に想像できた。造成したものなら、もっと不自然な地形と道形になるからだ。自然の地形を生かして、それを壊すことなく現代の施設を造る。山を崩して太陽光発電所を造ると言う本末転倒の事例からすると、非常に素晴らしいことだと思う。

道は右カーブで基地局の高台を回り込み、いよいよヤブの区間に入っていく。ここまでは序章。すなわち、この先からがこの惣座峠の真の姿とも言える。
路肩に日陰が出来たこともあって、ここで背中からリュックを下ろし、一通り汗をぬぐった後で少しクールダウン。5分ほど過ぎただろうか、ヘルメットを被って装備を整え直し、身支度を整え直して・・・さぁ行こう!。

次はいよいよ惣座峠の真の姿が!

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