一般国道352号
種苧原・城山トンネル旧道

2021年9月25日 探索 2022年2月5日 公開

一般国道352号。新潟県柏崎市から栃木県河内郡上三川町に至る一般国道である。
当WEBでは椎谷岬トンネル旧道中永隧道に続いて三度目の登場だ。

この国道352号は新潟県中部から福島県南会津地方を横断し栃木県へと抜けるルートを採るが、新潟・福島県境を除くと、かなりの部分が他の国道との重複区間となっている。また、新潟県長岡市内には未開通区間が残るほか、新潟県・福島県境前後は豪雪地帯であるため、冬期交通不能区間でもある。

その他に、新潟県魚沼市から福島県檜枝岐村まではいくつかの峠と奥只見湖沿いの道、そして県境付近では急カーブが連続する断崖絶壁に沿った狭隘な道が続き、俗に言う「酷道」の一つに挙げられていたりする。特に尾瀬を過ぎて新潟県に入り奥只見湖畔の屈曲区間は、道幅が狭いうえに沢の水が橋もなく道路上を流れる「洗い越し」が多数存在し、雨量が多くなると通行止めになると言う、それこそ正に3桁国道の王道を行くような、私にとっては涎が出るような酷道なのだ。そしてそれは、ここを見てくださっている皆さんにとってもきっと同じと思う(笑)。

さてこの道、新潟県長岡市の中心市街地から同市山古志地域を結ぶ区間は、その経路を鋸山(のこぎりやま)によって阻まれ、豪雪地帯の通行不能区間を抱えた開かずの国道となっている。この区間のうち魚沼市側の萱峠では、これを越える萱峠バイパス萱峠工区が1980(昭和55)年から40年に渡って建設中であり、これが完成すると通行不能区間のうち一部が解消される見込みだが、まだ完成はしていない。2018年度末時点で進捗率は84%といったところで、途中の萱峠トンネルも本体は完成しているにも関わらず、だ。

これは、萱峠付近の地形が道路を通すには山あり谷ありの非常に厳しい地形の上に豪雪地帯でもあるため、工期が一年のうち7カ月ほどしか取れないのに加えて、道路本体だけではなく防護施設として雪崩対策なども必要になるため、これを含めると非常に時間がかかるからだ。

・・・と言うことで、この一般国道352号は全国でも有数の「酷道」として有名なのだが、今回の探索区間は萱峠を過ぎて旧山古志村(現在の長岡市山古志地区)の種苧原地区に存在する、二つのトンネルの旧道を探索した。この二つのトンネルは長岡市と魚沼市の境にあり、今回私は長岡市側から探索を行ったので、城山トンネルの旧道を通って探索を終えたら、そこが市境と言う楽しい体験をしたが、実はここも萱峠バイパスの城山工区区間らしい。この辺は後ほど机上調査で調べていくことにしよう。

ま、論より証拠、この道が持っている雰囲気をよく現した画像があるので、見て頂こう。

ここは城山橋。今回の探索の最初の地点の少し手前だ。この通り道幅も狭く、センターラインさえない道。おまけに橋は14tの規制がかかっている。パッと見るとおおよそここが国道とは思えない方もいらっしゃるだろうが、これが352号なのだ。おまけに探索時期は9月にも関わらず、橋の手前には積雪深を計測する棒が設置されたままになっている。
おそらくだが、外しても半年後にはまた設置しなくてはいけないので、それなら設置したままでもいいんじゃないかと言うことだろう。ま、わからなくもない(笑)。

城山橋の調査は本編第1部にて行うとして、今は分岐点を見てみることにする。画像中、直進するのが現道の352号だ。ここは改良が加えられた区間らしく、対面交通の2車線になっているが、右下へ降りていく細い道が見える。この道は一見すると農道や作業道のように見えるが、分岐点の右路肩にあるガードレールと、旧道の左脇にある電柱に注目してみよう。

ガードレールは右下へ降りる細い道に沿って設置されていて、電線も細い道の右側をトレースするように下っている。左の直進する道には設置されていないのだ。これはすなわち、左の新道に対しての旧道が、右下へ降りる道であることを示している。
こんな景色を見せられては、探索しないわけにもいくまい。早速、車のステアリングを右に切って旧道に降りると、広くなった場所に車を停めて準備を整える。今日は自転車を積載していないので、探索は歩きだ。
ま、その方が景色がよく見えて、見落としそうなところも見つけられるだろう。と言うことで・・・

探索開始!

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