新潟県主要地方道56号
小千谷大沢線 第3部
2022年7月24日 探索 2022年9月21日 公開
中間地点到着。その先は・・・
ここが中間地点の西山橋だ。この橋が越えているのは渋海川。
新潟県十日町市の三方岳に源を発し、東頚城丘陵を穿ちながら北へ向かい、十日町市松代地区を過ぎるあたりから激しく蛇行を繰り返し、長岡市下山にて信濃川と合流する。その流域は地すべり地帯であり、また豪雪地域でもあるため融雪による崩壊も多く、崩落によって形成された山腹の緩斜面に集落や棚田が散在する。この地域の旧道や未成道を辿っていると、その傍には渋海川と言ってもいいくらいにこの名前が登場する、ある意味親しみのある、川の名前でもある。
ところで、ここから見る景色は眩しいくらいの青空と目に痛いほどの緑。普段、市街地に住んでいる私には、その色合いがとても鮮やかに見える。この橋が探索区間の中間地点。これから先の道は面白く、また印象的な道になるはずだ・・・と思う。
せっかくなので西山橋の親柱を眺めてみると銘板はなんと黒御影石で、「主要地方道小千谷大沢線」と文字が深く刻まれている。長年の風雪に耐えていささかくたびれた印象の橋に不釣り合いな印象を受けるが、そこには何となくこの道に掛ける意気込みを感じる。チェンジ後の画像はその反対側の親柱で、草に埋もれてはいるものの路線名と同じ様式で「西山橋」と刻まれていた。
小白倉集落から降りてくると左側、渋海川の上流方向を眺めてみる。山々に切れこむような穿入蛇行(せんにゅうだこう)で長岡市下山を目指す一級河川だ。長い年月をかけてこのように切れ込んだ地形を作りだした川を、主要地方道56号は西山橋で一跨ぎにして柏崎市大沢を目指す。
橋の途中で立ち止まってみる。真夏の日中でもあり、辺りを静寂が包んでいる。ただ、この静寂は畏怖を感じる静寂ではなく、数多くの生命に包まれる静寂と言った方がわかりやすいだろうか。しばし佇んで、その豊かな静けさを楽しんだ。
豊かな静けさに包まれた後は、橋を渡り切って反対側の親柱の確認だ。上流側の親柱には、やはり黒御影石に「平成二年十二月竣工」と刻まれている銘板がはめ込まれてあり、下流側は「にしやまはし」と刻まれていた。橋の形式からすれば単純な桁橋だが、やはり改めてこの橋を架けた際の意気込みが感じられるかのようだ。柏崎市と小千谷市を結び、将来には一般国道として活躍することを夢見て架橋されたのかもしれない。
橋の袂に車を停め、そこをベース基地としていそいそと自転車を下ろし、いよいよ探索の開始だ。いうなれば、ここからがこの探索の本番と言え、この道を選んだ理由がこの先に存在するからなのだが・・・いきなり狭くなるこの道幅はどうだ。しかも、ここまで規制標識の一つもなく、予告の標識も全くなく、ご覧の通りここにも標識は何一つない。道路管理者の(この場合は新潟県)「交通量もスゲー少ないし、誰も通らないだろう」的な考えがありありとわかるのが、実に泣かせるじゃないか!。
ここで改めて声を大にして言おう!
いやぁ、いい!
こんな道は大好きだ!(笑)
いきなり細い道に変わった主要地方道。こうなると、自転車を漕ぐ足にも俄然と力が入ろうと言うものだ。青空の下で森の中を進む、極端に狭い主要地方道。こんなに狭い主要地方道は、あの尾神隧道の主要地方道78号や、71号の木沢隧道以来だ。左の平地はおそらくは耕作放棄地で、田圃なり畑なりで集落からここまで通われていたことを思うと、頭が下がる。
その路面左側に、黄色い表示板を見つけた。そこにあるのは「路肩注意」の文字。「幅員減少と違うんかーい!」と、山の中を走る県道で一人で表示板にツッコミを入れてみるものの、辺りに声が響くだけだった。人がいなくて幸いだ(笑)。
青空の下、ほとんど通行量がない道を自転車で走ると得られる快感。
爽やかな風(生ぬるい)と豊かな緑(クマが心配)、抜けるような青空に(日差しが暑い)辺りを包む静寂(静かすぎ)。それを全身で感じながら(とにかく暑い)、先へ進む私だ。