一般国道49号
七折峠 旧道編 第3部

2021年3月20日・2021年4月11日 探索
2021年5月17日 公開

前回で、この旧道上に磐越自動車道の会津坂下インターの案内板を見つけた私は、その看板辺りが峠の頂上で、そこから先は会津坂下の市街地を流れている只見川に向かって下り坂となり、藤大橋方向へ進むと書いた。と言うことで、私が今立っている場所はその頂上付近。前方に見えるカーブは1番カーブ(とでも言っておこう)だ。路肩にはまだまだ雪が残っていて、冬枯れした雑草をキンキンに冷やし続けている。さて、峠の名前になった七つのカーブを持つ峠道がいよいよ始まる…のはいいが、いつもの峠道みたいに未舗装でヤブがあって、ところどころで泥濘んでいて…と言う道ではないので、いまいち緊張感に欠ける。

少し先へ進むと、塀で囲った敷地に同じような建物が並ぶ建造物が左側に現れる。この建物が何なのかは今更ここで説明することもないかと思うので省略するが、どうもこの峠にはこういった建物が多かったのかもしれない。実はこの峠のレポートの一番最初のあたりで、左の森側へ入る道を見つけていて寄り道したのだが、その道は只見線を踏切で渡って更に先へ続いてはいるものの廃道で、渡った先に廃墟と化した、この手の建物があった。このレポートの中で機会があれば「番外編」としてでも紹介しようと思っているが、こちらの建物はさほど古さを感じさせず、もしかしたら最近になって廃業したものかもしれない。

1番カーブを抜けて、2番カーブへ向かって続く快走路。車の通りも人通りも途絶えて、広すぎる道幅だけが、賑やかだった往時を教えてくれる。帰ってから少し調べてみると、この区間は坂本バイパスと呼ばれる局改(局所改良工事)が行われた際に旧道となった区間で、七折峠の局改(坂本橋と七折峠トンネルで貫く現道のこと)は2002年(平成14年)11月に開通している。なので、この道が旧道化してから、まだ20年くらいしか経過していないのだ。でも、しっかりと管理されているような印象を受ける。ここは今は会津坂下町道のはずだが、きっと大事にされているのだろう。

2番カーブに入る直前で、谷川の景色が広がる場所があったので撮影。このように、この七折峠からは会津坂下町の全体が一望できるほどの眺めの良さだ。この道は当初は会津沼田街道として開通したと冒頭に書いたが、塔寺側から下るのはともかく、会津側から上るのは非常に急勾配の厄介な峠道だったかもしれない。ところで、私はこの位置で撮影をしたが、ここで一つ大きなミスをしている。そのミスが何なのかは、これから先のレポートのどこかで全貌が明らかになるが(これは約束する)、賢明な読者の皆様には私がしてしまったミスが何なのか、想像していただきたいと思う。ちなみにこの画像の中に、そのヒントが写り込んでいる。



2番カーブを抜けて、道は七折橋へ差し掛かる。この七折橋、元は国土交通省東北地方整備局郡山国道事務所が管理していて、今でも郡山国道事務所のWEBに名前が残っていた。それによると、延長75.0メートル、幅8.5メートルの鋼板桁橋で、1967年(昭和42年)竣功とある。そして、橋の全貌を見ていただくとわかると思うが、実はこの七折橋は2番カーブの一部でもあるのだ。
急な下り坂で一気に下りながら右にカーブしていく線形は、大型車なら非常に神経を使ったことだろう。




七折橋の銘板を確認してみる。これは塔寺側に設置されている銘板だ。右側に「七折橋」、左側に「木ノ根坂沢」と銘板が設置されているが、注目したいのは左側の「木ノ根坂沢」と言う名称。木ノ根坂と言う坂があって、そこに流れていた沢だから、こういう名称が付いたのだろうが、それはどこなのか。近くにそれらしき道もなく、坂もないので(発見できなかっただけかもしれない)詳細はわからなかったが、大いに興味を引くところではある。帰ったら少し調べてみよう。



続いて、渡り終えたところで確認してみると、塔寺側から見て左側にこの竣功年月日の銘板があった。昭和42年2月15日とある。昭和42年と言えば1967年、私とそう大して変わらない年齢ではないか(←歳がバレる。とは言え、今さらバレたところでなんともないが(笑))。何となく奇妙な仲間意識が芽生えたりしたが、そこはすぐに打ち消しておいた。ところで、私はこの銘板を見ながら考え込んでいた。
こんなところで何を考えこんでいたのかと言うと…
1967年(昭和42年)と言えば、国道49号の一次改良工事が新潟県側も福島県側も盛んに行われていたころだ。実際、この年の前後で車峠付近の道も鳥井峠付近も改良されている。一次改良工事でこの橋が築かれたのなら、旧道(今で言うところの旧旧道)は、この七折橋より前のどこかの地点で分岐していたはず、と言うことになる。

それはどこなのか。
思い当たる場所が一つだけある。
だが、今はこの旧道の探索を進めよう。
その場所はともかく、旧旧道はたぶん今は…

雪の下だ。

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