一般国道49号
七折峠 旧道編 第2部

2021年3月20日・2021年4月11日 探索
2021年5月13日 公開

一つ目はこれだ。これは前回で紹介した、懐かしのコインスナック(別ウィンドウで開きます)の少し先にあるデリネータだ。それ自体は珍しくもなんともないが、刻まれている文字が建設省!。旧道を辿っていると結構見かけるものだが、ここがその昔は「直轄国道」だったんだよ、と言うことを教えてくれているものだ。「なんだ、それならよく見かけるし、珍しいものでもなんでもないじゃないか」とお思いの方もいらっしゃると思うが、これは食前酒みたいなものと言っておこう。二つ目は…。

デリネータから更に少し先に進むと、コインスナックと同じくらい、いやそれ以上に怪しげな建物を見つけた。これが二つ目。もちろん今は営業していないようだが(これで営業しているなら、それはそれで違う意味で入ってみたいものだが(笑))、「おもしろ館」とは一体何を販売していたのか。建物に固定してある看板に「販売中!」とあるので、おそらくは何かの無人販売所だったのではと思うんだけど…。少なくとも野菜などの無人販売所ではなかったであろうことだけは確実だ。ここから(旧道から)見える、建物の入口と思しき場所にはその昔は扉があったのだろうが、今は見ての通り扉も何もなく開放状態になっているようだ。中がどうなっているか興味津々だが不法侵入になっても困るので、先へ進もう。

この旧道は途中で一つだけ道を左に分岐させている。これが三つ目だ。
緑資源幹線林道、元は大規模林道と呼ばれ、旧森林開発公団や旧独立行政法人緑資源機構が1973年から全国7ヶ所の森林地帯で建設を進めていた幹線林道のことだ。

ところで、この大規模林道と、スーパー林道<特定森林地域開発林道>とは混同されやすいので注意が必要だ。新潟県では「朝日スーパー林道」がこれにあたる。この朝日スーパー林道は高規格林道として1971年(昭和46年)7月着工、実に12年の歳月をかけて1983年(昭和58年)10月に竣功し、後に新潟県一般県道・山形県一般県道349号鶴岡村上線となり、全線が新潟県・山形県の管轄となる。その全長は実に52キロ、現在では東日本最長の一般県道となっている。このように、スーパー林道は完成後に地元市町村などへ管理が移管されたため、現在では全体像を俯瞰することが難しい。元々は林道以外の目的も期待されて建設が推進されていたこともあり、市町村道や県道、部分的に国道へ昇格した道もあるほか、有料観光道路化したものもある。但し、このスーパー林道は大規模林道と比較すると道路の造り方が根本的に違っており、高規格とは言うものの、それは一般の林道と比べての話で、幅員は対面通行二車線の幅(4.6m-5.0m程度)で未舗装の道路も多かった。今は一般県道となった朝日スーパー林道でも、未舗装区間は存在している(2021年5月現在)。また、建設主体は緑資源機構の前身、森林開発公団である。


話を大規模林道に戻そう。
この大規模林道、林道と言う名称がついてはいるが実は2車線(対面通行)で舗装された立派な道路で、この表示板によると、ここから分岐する道は飯豊檜枝岐線の一部らしい。話には聞いていたものの、実際に出会うのは初めてだ。しかも、今はなき「緑資源機構」の名称もそのまま。

この林道の建設については後に談合が発覚して世間を大いに賑わせたが、ここで詳しくは触れないでおこう。だが、その舞台となった、この林道の細切れの完成区間が全国各地に点在し、道路やトンネル、橋梁が建設され、その一部は未成道として放置されているものもあると聞く。道路として少しでも地域や通行者の役に立ったのならともかく、一度も使われることなく放置されてしまった道路構造物は自然に還ることはなく、そのまま存在し続ける。そう考えると、一抹の寂しさを覚えてしまうのは私だけだろうか。

緑資源機構談合事件・・・旧森林開発公団、後の緑資源機構が人目にふれない山奥で「密かに(コソッと、とも言う)」建設が進められていた緑資源幹線林道(旧名称は大規模林道)を舞台にした談合事件のこと。当時農林水産大臣だった松岡利勝氏など3名の自殺者と6名の逮捕者を出し、最終的に4法人と機構の元理事7名が起訴されるという大掛かりな談合事件になった。その舞台となった緑資源機構は後に解体され、その事業の一部は現在、国立研究開発法人森林研究・整備機構の所管となっている。


さらに先に進んでみると、お馴染みの表示板が見える。あの緑の表示板は高速の案内板じゃないかっ!。それに、進行方向から右に分岐する道があるが、地図にはその道は記載されていないし、分岐する道も見当たらなかった。旧道になってからおよそ引き直されたことはないであろう黄色のセンターラインは、擦れてしまって既にその役に立たなくなってしまっている。
通行量が激減して広い道幅だけを保った旧道がそこにあり、旧道とはわかっていても、何となく違和感を覚えてしまう。


さて、旧道はもうそろそろ峠を迎え、その後は一気に下って藤大橋で只見川を渡り、藤峠へ向かう線形を取るはずだ。そうなると、おのずと七折峠なのにカーブが五つしかない原因もわかりそうな気がする(と言うか、理由は一つしかないんだけどね)。私がいつも辿っている道のようにヤブはないし、狭くないし、プーさんの心配をすることもあまりないこの旧道。正直に言うと、ちょいと物足りなさを感じていたりする(笑)。
さぁ!先へ進んで、カーブが足りない理由を確かめよう!。

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