新潟県主要地方道56号
小千谷大沢線 第4部
2022年7月24日 探索 2022年9月25日 公開
狭くなった道を、のんびりと自転車を漕ぎながら先へ進んでいく。主要地方道と言うと、都道府県にとっては国道ではないものの、一般国道と同等に近い重要な道路のはずなのだが、この道を見る限りでは、あまり重要でない雰囲気が漂っているように思うのは私だけか。ま、こんな道があるから嬉しくなって探索してしまう方々がいて、もちろん私もその一人であることは言うまでもないのだが。
ところで、路面には沢の水らしき水が溢れだし、軽く水たまりになっているくらいだが水浸しになっている。1.5車線幅の路面を覆い尽くそうとしている青々とした若草の群れを見ると、どうやらここは常時このように水が路面を流れているようだ。周囲の様相も、西山橋までの深い緑に覆われて薄暗かった道と打って変わって日差し溢れる明るい道となり、周りの木々も「林」ではなく、人の手が入っていない「森」になって、本来の山の姿を見せてくれる。
右直角。切り立った斜面と言うより崖で、ものすごい圧迫感だ。道幅は更に狭くなり、普通車が通るのがやっとの道幅になってくる。およそ2mと言ったところか。左には広い草叢が広がっているが、ここもやはり耕作放棄地だろう。一見すると、森の中を進む作業道か林道。でも、その正体は主要地方道。このギャップがたまらんではないか(笑)。
仮にここが道幅が拡幅されて、交通量が増えたらどうだろうと言うことを想ってみる。なかなか想像に難しいが、どうも似つかわしくないようにも思えてくる。この道は、改良されずにこのままの方が良いのかもしれない。
これです。これが、私がこの道に求める一つ目の姿ですよ(笑)。
右は崖、左も崖。逃げ場なし。そこに一本だけ立っているデリニエータ。そして、そこに刻まれた文字は「新潟県」(笑)。それにしても暑いなぁ。この辺で少し休憩したいところで、少し先に見える木陰なんか最適なのだが、いかんせん道幅が狭すぎる。万が一(と言うのも変な気がするが)車が来て、あたふたして自転車を脇へ寄せるのもなんだし、もう少し先で休憩することにしよう。
こういった道を探索していると、時折こういう場所に出くわすことがある。路面左側、ここだけ路肩が改修されていて、左側の崖の下までコンクリートで覆われているはずだ。そして、その先はまた草に覆われた斜面や崖になっている。こういった場所は過去に路肩が崩れてしまい、大掛かりな改修を受けて復活したと言うのがほとんどで、おそらくここもそうだろうと思う。道の幅と、改修された部分を観察すると、ここは路盤が消失するほどのダメージを受けていたと見た。
よくここまで復活したものだ。豪雪地帯のここは、冬には雪が山ほど(それこそメートル単位で)積もり、雪が無くなればこの山中、いつプーさん(クマ)が現れるかわからない場所で工事を担当された、土木関係者の方々に敬意を表したい。
いいねぇ~
こうして車がほとんど来ない道を自転車でのんびりと通っていると清々しくて、気持ちが洗われるような気がする。周りには山の静寂と、時折吹く生暖かい風と、森から聞こえる小鳥の囀り。空を見上げるとたまにトンビが飛んでいたりして、街中では絶対に感じることの出来ない感覚が溢れている。それを体験させてくれるのも道だ。そんなことを考えながら、のんびりと自転車を漕いで、今はまだ緩やかな坂道を上がっていく。
少し広くなった道幅。左下に見える草原。夏らしく高い空に、綿あめのようにところどころに浮かぶ白い雲。それに路肩にポツンと立つ、結構高めのデリネータ。少し前までの谷の地形はそのままだが空が少し拓けて、路肩側の下には今は耕作を止めた田圃らしき空き地が見える。こんな山道を自転車で進んでいて、カーブを曲がった途端にこんな景色が広がったら、すごく素敵じゃないか。気分爽快だ。ここで少し止まって地図を見てみると、目的地は前方に見える山の上で、そこが峠のはず。さて、この先どんな風景が見えるのか、すごく楽しみだ。