新潟県主要地方道56号
小千谷大沢線 第11部
2022年7月24日 探索 2022年10月23日 公開
榎峠を目指して、実に気持ちいい峠道を歩く。路面の明るい緑に、森の深い緑。そこに抜けるような青い空が合わさると、こんな風景になるんだなと言うくらい気持ちよく、美しい風景だ。しかも、そこに申し訳なく立っている雨量規制の看板がまた絶妙なアクセントで、よいではないか(←変態)。この道は思い出深い道になりそうだ。
雨量規制の表示板を越えて左カーブを抜け、更に進んでいくと・・・唐突に舗装が復活した!。未舗装区間も、ここで終わりか。これまで道案内をしてくれていたダブルトラックの路面はここで終わりを迎え、その代わりにいつも見慣れた灰色のアスファルトの路面に切り替わる。
わかっている。わかっているんだけどね、これまでの未舗装の道が名残惜しく、何となく寂しい気持ちになる。もしかすると、この道も来年には舗装されるかもしれない。それがいつなのかはわからないが、だからこそ今の姿をしっかりと記録しようと、心を新たにした。
そんなことを思いながら、ふと右側を覗き込んでみたときに目の前に広がった風景がこれだ。こんな風景が見られる場所も、今は珍しくなってきたように感じる。近くの集落から(ここで言うと、柏崎市の大沢集落よりも、十日町市の小白倉集落の方が近い気がする)農家の方々がこんな山奥の谷のような地形の場所を切り拓いて畑や田圃を造り、農作業するためにここまで通うことを思うと、その御苦労に頭が下がる思いだ。今は失われつつある「日本の原風景」のような気がして、この風景をしばらくの間眺めてしまった。
路面は舗装に戻ったが、やや荒れた路面と消えかけた路側帯の白線が、この道の交通量の少なさを物語っている。左側に短い間隔でやや乱雑に立てられているデリニエータが、何となく愛おしく感じるのは気のせいか。この道は一見放置されているように見えるが、よく見てみると路肩の刈り払われた草や蓋が設置されている側溝などから、ちゃんと管理している様子が見て取れる。
・・・でも、未舗装の方がいいなぁ(笑)。
先ほどの左カーブを抜けて、その先に続く直線の道を一気に駆け上がると、そこはもう峠。ここが榎峠(えのきとうげ)だ。センターラインはないものの、優に2車線の幅がある峠道の片隅に石碑らしきものがある。でも、こりゃ石碑じゃなくてたぶん馬頭観音かお地蔵様ではないだろうか。舗装されているとは言えど、緑も濃くてなかなかにいい峠道で、道の右側の杉の木の綺麗な形がたまりません(笑)。
その観音様かお地蔵様の後ろから左側に上がっていく道が見えるが、これは元の峠道だろうか。この峠道は、やはり歴史ある街道のような道のような気がする。
んー・・・これは馬頭観音と言うよりは、お地蔵様だろう。いずれにしても、現代に立てられたものではなさそうなので、歴史ある道と言うことが言えそうだ。お地蔵様の横には何か文字が彫ってあるように見えるし実際にそうなのだろうが、文字の摩滅と風化が進んで読み取ることが出来なかった。
・・・でも、その後ろから始まる道は素敵だなぁ!。いつか、のんびりと歩いて通ってみたいものだ。道を探訪する身として、峠に佇む路傍の仏に手を合わせて一礼し、これからの探索の無事故と成功と、同じ趣味を持つ方々の安全を祈った。
では、ここから榎峠を越えて、大沢峠へ向かう分岐点まで少し進んでみよう。
ここからは下り坂。自転車で進むにも楽なはずだ。ただ、そこから榎峠に戻るには、また自転車を押さなくてはならないが・・・ま、いいか(笑)。