一般国道49号旧道
宝川白坂区間 第2部
越後街道編

2019年7月24日 探索 2019年8月24日 公開

前回の地点から緩やかな坂を上がっていくと、このような旧道然とした風景がひろがる。この辺りでは旧道は鬼光頭川からは少し離れて、道は山中を走っている。左側の路肩にある木々は、この道が現役だったころにはなかったものだろう。この道形を見ていると、毎度のことだが路面が未舗装だった時代に向こう側から進んでくる車の姿が見えるようで楽しい。

おっ!分岐か?!

しかも、その先が舗装がなく、道はさらに上り坂で山中に入っていくような道形になっている!。ここから見る限りは、非常に楽しめる道のようだ。山側の・・・あれは擁壁だろうか?。その雰囲気もなんともいいじゃないか!・・・などと、結構な期待が押し寄せたのだが、路面を見ると様子が変だ。舗装された道についているダブルトラックは、下へ降りるようについている。近づいてみると…

違ったか(笑)

分岐していた道は何かの作業道らしく、旧道はやはり下へ降りていた。作業道は綺麗に刈り払いが行われていて、一見すると旧道と間違うくらい(私も間違えるところだった)綺麗に整備されている。旧道は期待にあらず下へ降りて行っているが、これもここから見えるように木々のトンネルになっていて、これはこれでいい感じだ。

木々のトンネルを抜けると、開けた場所に出る。山側は切り立った崖のようになっており、その昔にここを切り開いた時からの道形だろう。左側は広い耕作地のようだが、今は放棄されているのか結構荒れている。この道に寄り添うように流れている鬼光頭川はこの耕作地の更に左側にあるはずなので、左側が川で右が崖と言う非常に危険な場所をこの旧道は通っている。

随分前に建てられたのか、文字が若干色褪せているが、読めないことはない。その内容は・・・

「落石注意 西会津町」

やっぱりね(笑)。手作り感あふれる簡素な標識?と言うか表示だが、内容は結構シュールだったりする。しかも、立てられているのが目立つような場所ではなく、周りの木々に埋もれるような場所だったりするので、もしかすると見逃してしまいそうである。西会津町の行政の方々、すまんが普通の「落石注意」の標識を立ててくれ(笑)。

これは、上の「(手作り)落石注意」から旧道を眺めた様子。御覧の通り、右の山側の崖はなかなか険しく、崩れやすい地質でもあるようだ。この道が現役の国道49号だったころには、雨の日などはここが原因で通行止めになっていたかもしれず、いわゆる「ネック」だったのかもと言う気がしてきた。そういえば、この画像でも少し見えているが、先の方に見える山側の路面に大きな石が転がっているような気がするのは気のせいか。

やっぱり落石だった!

手前には、水が山肌から水が染み出している様子が見える。沢などではなく純粋に染み出している感じで、路面にある崩れた石を見てみると、私は石には詳しくないけど非常に脆そうな石質であることが見てわかる。左側には鬼光頭川が迫ってきており、路肩から覗き込むとはるか下に水面が見えた。なお、このような道での御多分に漏れず、ガードレールやデリネータなどの保護施設は一切ない。

旧道はすぐに鬼光頭川とは離れ、このような風景になる。左側には美しい水田が広がっていて、秋にはきっと黄金色の美しい風景が広がることだろう。旧道はその脇を通り抜けて集落へ向かっている。この道は越後街道として古くから使われていた道。この道を昔から多くの方々が歩いていたことと思うと、感慨一入である。

上の画像から更にその先へ進むと、道は若干上り坂になって短い峠を越える。今回の探索は幸いなことに空は非常に明るく、この旧道は非常に穏やかな雰囲気で長閑な雰囲気。この峠道を通った人たちや、馬車牛車もここを通っていることを思うと、全体的に勾配が非常に緩やかで車道として整備された道という事がよくわかる。今は舗装されてはいるものの若干のひび割れが見られるが、この辺はご愛敬。

ここに来て、ようやく旧道としての(道路としての?)遺構を見つけることが出来た。両側の路肩に残っている変形したガードレール。この辺は冬になると積雪が数メートルにも及ぶ豪雪地帯で、その雪の重さでガードレールも曲がってしまう程の積雪量。この旧道が現役であったことを思うと、かなりの難所だったことが伺える。

その先へ進むと、道端にこの様な道標を見つけた。建造されたのは近年であることが伺えるが、このようにして「ここに街道があった」ということを後世に伝えるべく、こうして道標を建造して頂くことは非常に嬉しいことだ。だって、私のような人が街道を辿るのも楽だし。ねぇ(笑)。
私は宝川宿からこの旧道を辿ってきたので、次は白坂宿。ここから白坂宿までは距離的にはさほどなく、もうすぐ着くんじゃないだろうかと思うのだが、それは私がチャリンコに乗っていたから。白坂宿まで、あと少し。

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