一般国道113号 沼沢旧道
第1部

2022年4月17日 探索 2023年1月15日 公開

道端に佇むランナー

明沢トンネル旧道のスタート地点から自転車に跨って、のんびりとスタートだ。相変わらず天気は快晴で、4月半ばの春の日差しが眩しい。…のはいいが、路面に積もった雪の中を通ってきた明沢トンネル旧道の探索ですっかり日焼けしてしまった私の顔は、この沼沢旧道の探索に入る前に、あらかじめクルマに積んである水で顔の汗を洗い流したものの、それでも何やらヒリヒリとしている。こりゃ今日の風呂が大変だと思いつつ、腰に付けたタオルで顔の汗を拭うと、汗の塩分が沁みて痛いこと。残念ながら鏡で自分の顔を見ることはしなかったが、きっと真っ赤になっていることだろう。


ところで、路面や水面も太陽の紫外線を反射するが、雪の場合は実に80%を反射するそうだ。と言うことは、さっきの明沢トンネル旧道の探索では、空から降り注ぐ紫外線と、雪に反射して下から照り付ける紫外線と、普段の倍の紫外線を浴びたことになる(のかな?確証はない)。そりゃ、顔も赤くなるわな…。


旧道に入った分岐点のところで現道を眺めてみる。前方の橋は「岩屋橋」といい、この橋ともう一つの橋で蛇行する桜川を跨いでいるが、今から探索しようとしている旧道は、その蛇行する桜川の川岸をトレースしながら沼沢集落を目指すため、その経路上に橋はない。少々残念ではあるが、その代わりに桜川のきれいな景色を見れるかもしれないと思うと、それはそれで楽しみでもある。橋の袂のあたりに土鍋の欠片は無いかな?(笑)(←新潟県主要地方道6号山朝日線大俣橋・鍋割橋旧道第5部を参照)

ここからいよいよ探索の始まりだ。いきなり路面が白く見えるが、これは雪だ(笑)。
ここだけ工事か何かで舗装をやり直した部分で、少しだけへこんでいたのだろう。その部分だけ雪が残っていたという訳だ。もっとも、御覧の通り燦燦と日が照りつける場所でもあるので、雪の深さはさほどでもない。私の自転車はブロックパターンのタイヤなので、乗ったまま乗り切ることにした。

…といいつつ、やはり滑ってコケるのは嫌なので、右側の路肩の部分を走ることにした。ブロックパターンのタイヤは、ここなら滑るまい。ケガするのも嫌だし、やはり安全第一だろう(←じゃ降りるという選択肢はなかったのか(笑))。

路面に残った雪を路肩を通ることでかわして、元の路面に戻る。ここからはズルは出来ないので(笑)、真面目に進むことにしよう。切り開かれた林の中を一直線に進む旧道。その道幅は路面に刻まれたダブルトラックからもわかるように、クルマ1台通れればやっとだ。ここ、その昔に離合しなきゃならなかった場合は、いったいどうしていたのだろうか。離合場所までバックしていたのか。しかも、この辺は緩やかな坂道。それも大変だっただろうなぁ…と眺めながら思う。道には雪は無いが、そこから一歩離れると御覧のように雪が残る。その積雪深はおよそ30センチくらいあるだろうか。それに、前方には木々のトンネルが見える。この辺の風景は、今の道路では見られない風景じゃないだろうか。道の狭さも相まって、旧道バンザイだ(笑)。



少し進んだ先の右側に見つけたのは、これ。廃車になって払い下げられた国鉄の有蓋貨車だ。形式はワム60000形、ワム64433が道端に佇んでいた。その車体はすっかり赤錆てしまっていたが、様々な荷物と想いを積んで全国を走り回ったであろうその姿は、山の中に佇む今でも十分にカッコいい。どうか静かにその余生を過ごしてほしい、そう思った。


このワム60000形は輸送体系の近代化を念頭に、汎用有蓋車(ゆうがいしゃ)ワム70000形を基に、設計合理化と機械荷役への適合を重視した設計変更が行われた車両で、1963年(昭和38年)まで行われた生産台数は8580両(ワム60000 – ワム68579)。1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化では、事業用車代用として8両だけがJR東日本・JR九州に承継された。その後、最後まで残ったJR東日本南秋田運転所(現:秋田総合車両センター南秋田センター)所属の3両が、2001年(平成13年)4月に除籍・抹消され、形式消滅。

(参考資料…Wikipedia)


余生を過ごす、ワム64433に別れを告げ、先へ進むと左の山側に残る雪。なんだか少し放っておくと崩れてしまいそうな雪の塊の反対側に、なんだか変な雪の塊を見つける。右の谷側にポツンと残る雪。それは、この道の幅を規制するように立っている雪の壁。出来た理由は何となくわかる。だが、それはもう少し近づいて見てからにしよう。

斜面に残る雪はこの先もあるようで、この暖かさだと崩れることもあるのかも。思えば宇津峠もそうだし、片洞門綱取橋八ツ口まで、地形に従って道を通したが故に、災害が多発する道になってしまったと言う側面はあるのかもしれない。

まずは、あの雪の壁へ。

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