一般国道113号
八ツ口旧道 第3部

2020年3月7日 探索・2020年3月27日 公開

いかにも国道らしい、なだらかな上り坂の道が続く。落ち葉が積もってフカフカしている路面は夏のヤブ化した道が想像できないほど快適な道で、のんびり歩くには最高だ。ここだけ見てると旧道ではなくてどこかのハイキングコースじゃないかと思いたくなる。周りの木々も新緑の時期になると葉が茂るのだろうから、その時期になるとここは鬱蒼とした森の中の道になるんだろうか。このあたりなどは自転車で走っても実に気持ちよさそうな道だ。

山側の法面を観察すると大掛かりな法面の土木工事などはされてない様子で、法面から崩れて転がり落ちた小さい岩が路面に見受けられる。でも道の管理がされていないのに道形がしっかり残っているということは、この斜面は安定した状態にあるんだろうな。現役時代に側溝の役割を果たしていたであろう道端の溝はここでも健在で、今でも降雨時には雨水を流していると思われる。

探索を始めてから、およそ15分。周囲の様子を確認しながら進んでいると、左側の法面の高さがだんだんと低くなってくる。もしかするとこの先に沢でもあるのかなと思っていると、それはどうやら当たりのようで、高さが低くなって路面と同じ高さになった先に橋らしき建造物が見えてきた。この旧道に入って初めての道路施設だ。今でも渡れるんだろうか?。結構風化しているかもしれないなぁと思いつつ近づいてみる。

昭和初期から中期に造られたと思われる、RCコンクリートで出来た橋だった。この形をした橋を結構見てきた気がする。親柱は4本とも健在のようで、橋自体には経年劣化を除くと補修すればまだまだ使えそうな感じだ。ただ、ここから見るとこちら側の2本の親柱はどうやら銘板が失われているようで、橋の名称も竣功年月日もわからない。反対側の親柱に期待することにして、早速この橋の近くをウロウロしてみよう。

右側の親柱の近くに、このようなコンクリート製の構造物を見つけた。川に沿って平行となる面に穴が二つほど空いている。この穴に金属の棒が刺さっていて、その棒が転落防止柵の役割を担っていた構造物と思われるが、この手前には似たような構造物はなかったので、この一本だけが生き残ったのか。路肩から下は崖になっていて結構な高さがあるから設置されたものだろうとは思うが、それにしては親柱とこの構造物の間に隙間が空いているのは謎だ。

左側の親柱の脇から回り込んで橋の下に降りることが出来た。沢を跨ぐ形で造られた橋だが、その沢には今はわずかしか水は流れておらず、ほとんど乾燥した川床を露わにしていた。梅雨時期や、例年なら雪融けが始まる今の時期にはこの沢を伝って多くの水が荒川に注いでいることと思う。
銘板が失われているので詳しいことはわからないが、形としては数多く見かけるRCコンクリート製の橋で、橋台に生えている苔と橋全体を眺めていると、竣功は昭和30年代かなぁとふと思った。

橋の様子を少し引き気味で撮影してみた。沢を跨ぐ橋の様子がよくわかると思う。橋台との手前にある白い構造物は補強目的で後年に追加されたものらしく、コンクリートが新しくて白い。橋台と橋桁が何かの理由で衝撃を受けて、それが理由で落橋の危険が高まったために追加された橋脚のような役割を持つものと考えたが、こんな補強の仕方は初めて見た。

反対側を眺めてみる。橋の袂のすぐ脇に斜面が見えるが、ここが私が降りてきた道筋だ。結構急ではあるが、さほど難なく川床に降りて橋の下に辿り着くことが出来る。降りた川床は結構大きめの石がゴロゴロしていて足場が悪いので転倒に注意だ。この角度から見ると橋の傷みが一目瞭然だが、定期的に保守されなくなってからかなりの時間が経つので、傷むのは致し方ないところか。

現道に戻って、反対側から今来た方向を振り返ってみる。こちら側の親柱も残念ながら銘板は失われていた。なので竣功年月日も橋の名称もわからずじまいだ。だけど、春の青空と、それを映す青い水面。落葉している木々がトンネルのように立ち並ぶ中を一直線に貫く道。大きな体を揺らしながら未舗装の道を走ってくるトラックやバス、道端を歩く人たちの姿が目に浮かぶようだ。


この旧道に存在する道路構造物は橋が3つにロックシェッドが1つ。事前調査では八ツ口集落側から来ると、橋、ロックシェッド、橋、橋となっていることがわかっていて、このまま先へ進むと次はロックシェッドだ。名前もわからないこの橋を後にして、そこを目指そう!。

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