一般国道113号
八ツ口旧道 第2部
2020年3月7日 探索・2020年3月23日 公開
倒木の先へ
前回の第1部は、この倒木の手前で終わった。ひとまずは目の前の倒木を乗り越えて先へ行かなきゃならないが、倒木の先を眺めてみると、ここから見る限りではこれまでと変わらない路面が先へ進んでいるように見える。が、非常にぬかるんでいるようにも見える。だが今回ばかりはその心配は無用で、足元の長靴に感謝しないといけないだろう。この辺りには山から路面に流れ出ている沢などなく、地面がぬかるんでいるのは雪融けの水ではないかと思う。
さあ、先へ進まなくては。倒木を一跨ぎに出来るほどではない、さほど長くない足を大きく広げて倒木を跨ぐ。
倒木を乗り越えて先へ進む。ぬかるんでいた場所は短く、また乾燥した元の道に戻った。この辺に来るとやはり車のダブルトラックはなくなっていて、真ん中に一本の踏み分け道がある状態。今でもわずかながら人の通行はあるようだ。路面は道の形状を今でもよく保っていて、ここを通行していた当時の面影が偲ばれる。きっと、当時から脇を流れる荒川の雄大な景色を眺めることが出来る、風光明媚な場所だったのではないか。わき見運転に注意だ。
実に穏やかで長閑な景色を見せる旧道。遠くに見える赤い橋は現道の八ツ口大橋で、この旧道の終着点でもあるから、こうしてみるとまだまだ先は長い。さて、これから通る旧道の道筋は、正面の山の斜面の荒川に近いところを水平に線が通っているのが見て取れると思うが、それが旧道の道筋だ。ここはまださほどではないが、この先のロックシェッドを過ぎたあたりから高度を上げ始め、最終的にはかなりの高度になるはず。道としては全体的に緩やかな上り坂になっている。
路面の中央に一本の踏み分け道があって、同じ目的の人たちが通った道筋だろうか。路肩の斜面には灌木が覆い茂っているが、路面には一本も生えておらず、緩やかに左カーブで荒川をトレースしている線形をよく保っている。ここだけ見ると、この旧道に少し手を入れれば観光道路としてまだまだ使えそうな気もする。
おおっ!いいねぇ!
ここに来て、ようやく道路らしくガードロープが出てきた。その手前の右側の路肩には、灌木を切った切株も見える。道はここだけ山側が広くなっていて、離合場所か非常駐車帯にでもなっていたのだろうか。路面は乾燥していて非常に歩きやすいが、枯葉が積もっているせいか、どことなくフカフカとしている。ここでひとまず小休止することにして、背中に背負っている重たいカメラの撮影機材を下ろして水分補給をしよう。
来る途中で立ち寄ったコンビニで買った麦茶とクッキーで小休止。今日は気温もこの季節としては高い方で、万一の場合の防寒を考えてインナーにタートルネックのフリースを着てきたものの、暑くて仕方ない。上着を脱いでクールダウンしながら辺りをウロウロしつつ撮影したのが、この画像。
青空が荒川に映り込んで、非常に美しい。ところで、このあたりの荒川は昔はもっと低い位置を流れていたが、ここより少し下流にある岩船ダムを造ったので今の水面になったと、最初にお話しを伺った建設業者氏が言っておられたことを、川を眺めながら思い出した。なので、八ツ口の集落は今は水の底になっているところも集落があったのだとか。家に戻ったら旧版地形図で調べてみよう。
山側の法面には、このように流れ落ちてくる土砂が路面を覆わないように、土砂止め(とでも言うのだろうか)が設置してあった。上を見ると小さい沢になっており、この沢から流れてきた水は路面左端の側溝に流れる仕組みになっていたようだ。この先、こういった小さい沢が多いのかもしれず、そうなると崖崩れが多かったのもうなづける。道幅が広かったこの場所は休憩場所にはちょうど良く、暑かった身体もクールダウンして体力回復。先はまだまだ長いので、進むことにしよう。
休憩地点を出発して道に戻ると、ほどなくこのような広い道幅になる。きっと、これがこの道の本来の道幅なんだろうなと思わせてくれるような道幅だ。これならトラックでも楽にすれ違えそうで、非常に貫禄のある姿を見せてくれる。今の国道113号は大型車が頻繁に行き交って、山形と新潟を結ぶ大動脈の役割を果たしているが、いかんせん道幅が狭かったり急カーブだったりするものの、この道もその役割を果たすべく精いっぱい奮闘していたことと思う。
道の脇に、このような標柱が埋め込まれているのを見つけた。ほぼ埋まってしまっているので何のための標柱かわからないが、一つだけ言えることは「新しすぎる」。やはりこの道は今でも何らかの目的で利用され、最低限の保守はされているのかもしれない。どんな理由にせよ、廃道化しているのではなくて現役で何かの役に立っているのであれば、それは非常に嬉しいことだ。
まだまだ先は長く、ここで全行程の三分の一くらいだろうか。大がかりな崖崩れもなく順調だったが、この先何があるかわからない(←ここまで何もないので、実は少し物足りない(笑))。
でも、この道は通っていて非常に楽しい。この先にはまだまだ遺構があるはずで、ひとまずはロックシェッドを目指そう!。