新潟県主要地方道59号
大和焼野線
後山トンネル旧道
 第7部

2023年4月22日 探索 2023年6月20日 公開

青空と緑とヘアピン

遥か高いところから後山隧道を確認した後は、頂上目指して出発だ。路面は急に荒れだして、枯れ木や木っ端の類が散乱している。ここはもしかすると雪崩が起きてここで止まって融けたけど、その雪に含まれた物だけがここに残ったパターンかもしれない。山側の斜面を見てみると、そういえばここだけ木々の類が少ないし、その少ない木々たちの高さも、他の場所より若干低かったりするようだ。ん~…雪崩かねぇ?。

「やっぱり、あの道の荒れ方の原因は雪崩だったのか…」そう思わせるような、道に散乱する木っ端。路肩のガードワイヤーは失われて支柱だけが立ち尽くす、いつもの光景が見えるが、ここも一度崩れたのか崖側が補修されている。ここもアバランチシュート(雪崩道)だろうか。

こうして空へ向かって登っていく峠道の風景は、いつ見てもいい。緑が道を覆う、言わば「緑の片洞門」を潜り抜けて青空の先へ向かう道は私の大好きな風景の一つだ。でも、この風景はなかなか見れないように思う。山の斜面に取り付いて峠を目指す道でないと、こういった風景にはならないからだ。この峠道はおまけに路肩から下を覗き込むと、位置によっては旧道の隧道が見えると言う、なんとも幸せな道とも言える。

相変わらず路肩側がガッチリと擁壁で固められた道。周りの景色を見てもわかるように、ここまで来るとかなり標高は高くなる。一番下から足場を組んでやってくるわけではないと思うが、それでもこんな高いところで工事や作業を行う方々は(自分が高いところが苦手なだけに)大変だなぁと思う。
ところで、ここまで来ると辺りに視界を遮るものはなくなってくる。それは木々も同じで、これだけ急な斜面で標高が高いと木々の高さよりも道の標高が上回るために、遠く山々が見渡せるようになる。正面に見える高い山は右側が八海山、左が駒ケ岳といったところだろうか(自信はない)。私の登山技術では、あの山に登ることは到底出来ないが、廃道と言う特別な場所からこうして眺めることが出来る。そう思うと感慨深く、しばらく動けずに眺めている自分がいた。

いやぁ、いい景色だ。路面には落石の小石、ミラーが失われたカーブミラーなど、定番の設備はバッチリといったところか(笑)。外れたカーブミラーを探してみたものの、あたりには見当たらず。この道も「廃道」と言うには綺麗すぎるので、何らかの管理はされているのだろうと見た。その道の点検の際に、外れたミラーだけ回収されたか、それとも下に落っこちたか…。後者はなるべく考えたくないところで、落ちたのが現道時代ではないことを祈りたい(もし落ちていたら、かなり怖いことになるぞ)。

ポールだけになったカーブミラーを愛でつつ先へ進むと、道は更に標高を上げて先へ進む。勾配は目算だがおよそ7%くらいではなかろうか。空も近くなり、歩いている道はここまでほとんど、溢れる日差しがたっぷりと差し込む明るい道だった。
間違いない。この峠で、今私が通っているこの道は陰陽で言うと「陽」の道だ。そうなると、この後に待っている後山の集落へ降りていく下りの道は陰と言うことになる。地図を確認すると、峠の頂上から後山の集落までは、これまでの半分ほどの道程で済みそうだが…果たしてどんな道か。

少し先へ進んでいくと…!
現れたのは、こんな素敵なヘアピンカーブだ。空の高さから考えると、山頂はもうすぐだろう。大きなカーブはこれが最後かもしれない。それに、これまではこんなに急なカーブはなかった。こんな標高の高さで、ヘアピンカーブで峠を目指すと言うのは、なんとも味なことをしてくれる峠じゃないか。路面には随所に落石の跡と思しき小石が散乱しているが、現役の道と見紛うほど綺麗に保たれたこの旧道、実に面白い道だ。

次回、更なる雪が目の前に?!

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