新潟県主要地方道59号
大和焼野線
後山トンネル旧道
 第13部

2023年4月22日 探索 2023年7月14日 公開

並木を過ぎれば

長閑だ。右も左も田圃。ちなみに今は4月の終わり。新潟ではおおよそこの頃に田圃を田起こしして、5月の連休辺りに田植えを行うと言うのが一般的な気がする。とは言うものの、そこは広い新潟県。上越地方と、この辺りの中越地方、私が住んでる下越地方をそれぞれ比べると、若干違うかもしれない。この時は田起こし終わったところなので、4か月ほど過ぎたころにはこの辺りも「金色の野」となることだろう。

…あ。青き衣も着てないし、言い伝えもないから大丈夫だ。ちなみに私も(当たり前だが)「姫様」などとは呼ばれてないぞ(謎)。

ところで道は普通車1台分ほどの幅で集落を目指して進んでいる。ここだけ見ているとおよそ峠道とは思えず、農道と言われてもわからないくらいの道だが、私が延々と通ってきたし、途中に脇道もなかったので、峠から続いているのは間違いない。このままゴールまで長閑な風景が続くだろう。

通り過ぎて、なんだろう?と振り返ったらこの看板があった、と言うパターン。「この地内一帯の山菜取りを御遠慮ください 後山区」とか、その隣には「クマ出没注意! 南魚沼市」などと言う素敵な看板(?)もある。旧道や廃道を探索していると見かける看板だが、そもそも山菜が目的で探索している訳ではないのでそのまま進むし、クマはねぇ…そもそも山にはクマがいるもんだから、やはり注意しないといけない。

前方にある針葉樹の林の先が、私が通ってきた後山峠だ。今は晴れて青空だが、これが冬なら…雪に覆われて空は鉛色だろう。もしかすると目の前にある看板も、積雪期には雪に埋まっているかもしれない。積雪は現道でも大変だろうが、これがあんなカーブの多い旧道ならなおさらだ。「雪は災害」とは豪雪地帯でよく聞く言葉だが、まさしくその通りと思う。

看板から先に進んでいくと、また田圃の中を進む長閑な道の顔に戻る。耕し終えて、南魚沼の山の栄養をたっぷり含んだ水を満たして、苗を植えるのを待つだけの田圃の脇に、オアシスのようにそびえたつ木々。この木々の麓で昼飯におにぎり頬張ると美味いだろうなぁ。でも日陰だと時季によっては寒いから、日差しの元で食べてたのかも…などと、道路とは全く関係ないことを思ってみる。

峠からここまで自転車でのんびりと下ってきた。それはここまで緩やかに下り勾配だったからだが、これが上りだと緩い坂が地味に続いて、余計にツラいかも?という気がしてくる。やはり、向こう側から峠に上がってきて正解だったか。にしても、道幅は狭い。ところどころに離合地点はあるものの、基本的に1車線ほどしかない。交通量は現道を見てもわかるように、さほど多くなかったのかもしれないが、夜は離合したくないなぁ。

しばらく進んで見えてきたこの並木を抜けると、集落にたどり着く。この並木がいわば後山峠の始まりとしての目印だったのかもしれない。今、私が辿ってきた隧道側から来るときには、集落の入口のこの並木を目指してきたと思う。今の道からすると大変だっただろうなぁ。
でも、冬季には積雪で通行止めになっていたかもしれないな。そうなると、近くを走る国道を通ることになるが…恐ろしく大迂回しないと、町まで辿り着けない。あの三島通庸の言葉が頭によぎる。

「道路難瞼ヲ除却シ、道線ヲ開通スルハ人智ヲ開明スルノ基礎」

やはり道路整備は地域にとって大事なことなんだと、身をもって感じた。

こんなところで三島の言葉を実感するとは…と思いつつ並木を抜けると、いよいよ集落に到着。後山峠の麓の集落、市野江に到着だ(「後山」ではないのが不思議だが、それはは後で調べてみる)。と、何やら立派な看板があるな、と通りすぎて振り返ってみたら…。

後山峠頂上より交通止?!

通り抜け出来ない、とある。私、今通ってきましたが。交通止めも何も、バリケードも何もありませんでしたが。と、声に出さずにこの看板にツッコミを入れてみる。

ここまでの道程でバリケードらしきものと言えば…あ。

後山隧道側の入口で見かけた、これ?!。ガードレールのようにも見えるが、思い当たるのはこれくらいしかなかった。設置したのが今の自治体である南魚沼市の前の自治体、大和町だから、再度通れるようにしたけども看板は撤去しなかったとか、そういうことなのかもしれない。

これは集落から後山峠旧道への入口を見た画像だ。左に見える「交差点あり」の警戒標識で、この先の右に細い道が分岐しているように描かれているが、この細い道が旧道を表している。道路前方右側の路肩に赤い箱のようなものが見えるが、そこから右に分かれている道が旧道だ。旧道とは言え、元は県道。旧き者に敬意を表すということか。直進すると、現道の後山トンネルに入っていく。このトンネルを通り抜けると、探索開始地点の後山隧道の地点に出るはずだ。

さぁ、これで旧道の探索は終わり。現道のトンネルへ向かおう。

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