新潟県主要地方道59号
大和焼野線
後山トンネル旧道
 第12部

2023年4月22日 探索 2023年7月10日 公開

長い方の道のり

前回、「試練」と自らハードルを上げた私だったが、下り始めてからというものの、すごく平和に探索を進めていた。もちろん、自転車で走っているからと言ってスピードを出して一気に下っているわけではなく、ブレーキ一杯握りしめて、ゆっくりゆっくり下っていく(なんだか、どこかで聞いたことがあるようなフレーズだが、気にしない(笑))。

路面はしっかり1車線半の幅が保たれ、登りの道の風景から見ると日影もあるし、天国のような道に見えるが、路面には大量の杉の葉が敷き詰められて、走るだけでもふわふわする。車で登ってくると、場合によっては結構滑るかもしれないので注意が必要だ。

針葉樹の並木道じゃないけど、そんな道を麓の集落目指して走っていると、大きな右カーブ。もちろん路肩側にはガードロープもなく、そのまま突っ込んで行くとあえなく転落の憂き目にあってしまうので、のろのろと下っている自転車のスピードをさらに落とす。
木々の間から見え隠れする青空が気持ちいい。ここは現役の県道だった頃も全てのクルマがスピードを落とすポイントだったんだろうな。

私の探索ではいつものことだが、登りの道程は距離が長い方から登り、下りはものすごく短い道程で終わる。だったら短い方から登っていけばいいものを、なぜかそうなってしまう。今回ももれなく当てはまり、下りの道程はもう半分ほど来てしまっているのだ。もう少し探索の効率というものを考えなくちゃいけないところに来ているのかも。

大きく回り込むカーブから少し下ると、林が途切れてこのような明るい場所に出た。左側の拓けたような大地のような場所は…休耕田か何かか。この辺りは冬になると雪深いはずだし、集落からも結構離れているにも関わらず、田圃や畑でここまで通ってくる人がいたのだ。周囲も切り拓かれているようで、集落跡と言う可能性もあるなぁ…と思いつつ、もうすぐ終わりを迎える探索に少し後ろ髪をひかれながら、すっかり温くなってしまったお茶で休憩する。

道はまた針葉樹に覆われた日陰の道へ。今日はこの後、別の場所の探索があるので早めに動いていて、今がお昼過ぎの頃だろうか。4月の終わりともなると気温は結構高く、日差しが照り付ける中では汗を流してしまうが、今は日影を通っているので涼しくて気持ちいい。
この道を開いた小川氏は、どのような想いでこの道を拓いたのか。今も昔も山の中に道路を造るとなると一筋縄ではいかない大事業のはずで、そこまで小川氏を動かしたのは何だったんだろう。登りの道程には落石や雪崩、アバランチかもしれない跡まで存在したが、通行するには支障なかった道の物語を、私も知りたい。机上調査が楽しみだ。

路面を覆っていた杉の葉もすっかりなくなり、ここに来ると最早「廃道」や「旧道」などではなく、普通の道の様相を呈してくる。おそらくだがこの右カーブを抜ければ、後は直線で集落に繋がる道になるはずなのだ。道の脇には、ここにも拓かれた台地みたいな場所が。ここも元は田圃や畑だったんだろう。こうして見ていると、今は無き田圃や畑を耕していた人たちの姿が目の前に蘇り、なんとも言えない哀愁に包まれる気がする。

峠から地上に降りてきた。この森を抜けると、この峠道の旧道は真っ直ぐ進んで現道に合流することが事前に地図を見てわかっている。と言うことは、目の前にある道を進めばいいと言うことになるのだが、この時の私は何となく一抹の寂しさも覚えていた。前半で自転車を押しながら、いろいろ苦労して進んだ道の下りが、あまりにあっけなさすぎるではないか!(笑)。

まぁそれでも十分に楽しかったから良しとしよう…などと思いつつ進んでいると、えーーーーっというものが私の目の前に!。それはなんだ!(こうでなくちゃ!)。続きは次回!(^^)/

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