新潟県主要地方道59号
大和焼野線
後山トンネル旧道
 第1部

2023年4月22日 探索 2023年5月27日 公開

急勾配の「陽」の道

スタート地点から明るい旧道を辿り、杉林の中に入ってきた。・・・と、ここで旧道からの歓迎のしるしなのか、早速倒木の洗礼だ。しかも、この倒れた木はまだ葉が青々としているし、それこそつい最近倒れたものだろう。もしかすると私が通る少し前なのかもしれない。それほど倒れた木が生々しかった。旧道よ、素敵な洗礼をありがとう。だが、それにしては中途半端だったな。左側ががら空きだぞ。そう呟きながら、倒れた木の左側を悠々と歩いて先へ進む。その道幅は1.5車線ほど。対面通行が出来るかどうかと言ったところか。左下には現道の後山トンネルが口を開けているはずだが、元々の交通量が少ないせいかロードノイズらしきものはさほど聞こえず、風が吹いて木々が揺れる音に紛れて時折聞こえるトンビの声に耳を澄ませながら、一歩づつ歩いていく。

おっと、分かれ道?!

これも洗礼の一つか?!。・・・やるじゃないか。だけど道の印象からすると、まるわかりだな。ま、進むのは後にして、先にこの分かれ道を眺めてみることにしようか・・・などと一人でブツブツ言っている私がいる。いやぁ、ここが山の中でよかった。でなきゃまるっきり変なおぢさんじゃないか(笑)。

さて、この分かれ道。ここを御覧の方々なら私がどちらへ進むかは一目でわかると思う。正解は右だ。パッと見て左のようにも思えるが、現地で何となく道の造り方が雑(失礼!)なように思えたのだ。それに道の雰囲気も「こっちが旧道だ」と言っているかのように見える。その直感の通り、右へ進むと・・・

おお!いいなぁ!

いきなり道幅が狭くなった道は、そのまま上り坂で進んでいる。やっぱりこちらが旧道で間違いないが、荒れ具合はなかなかのものになってきた。路面には落石と染み出した湧き水、そしていきなり狭くなった道幅。人里離れた家へ訪ねていく某番組を見ていると、こんな道が登場したら「危ない!」とか言って大騒ぎしそうなものだが、旧道や廃道、未成道を辿っていればこんな道は日常茶飯事。ここから少し先には左側の擁壁に玉石積みの石垣が見えているじゃないか。それもかなりの高さまで積み上げられている。これはなかなか楽しめそうだ(笑)。

傍らを見てみると、ひしゃげたガードレールらしきもの(おそらくそうだろう)があった。そこにはガードレールの残骸とは別の、何やら他の標識か表示板があったのだろうが、それらは既に錆びつき、形を変えて判別不可能なまでに変形してしまっている。
左の法面側に一本だけ残ったガードレールの支柱。だが、他の支柱らしきものが全く見当たらないことから、これは路肩に設置されるべきガードレールとしての役割ではなく、道路を横断して閉じるバリケードの役割をしていたのかもしれない。その使命を全うして静かに横たわるガードレールに、敬礼を捧げた。



いきなり狭くなる道。一見すると切通しか?と思ってしまうが、そう思えるのは右側が背の高い杉の林だから。崖崩れなどの堆積物や道端の沢からの水の影響などで現役時代よりも姿を変え、おそらくは狭くなったであろうその道幅は、軽自動車一台分と言えばわかりやすいだろうか。
木と木の間に見える青空が、とても高く感じる。計測はしていないものの路面の勾配はかなり急で、それはこの画像を見て頂ければ感じ取っていただけるかと思う。およそ・・・8%じゃないだろうかと思うが・・・自信はない。

チェンジ後の画像は路面を濡らしている雪解け水。
大半の雪は融けたとは言っても日陰にはまだまだこうして雪が残っていて、そういった残雪は表面に土がついており、一見すると雪と判りづらくなっている場合もある。こういった残雪は探索するにおいて非常に曲者で、場合によってはその下が空洞になっている場合や、穴が存在している場合もあるから注意が必要だ。

右側の杉の林も終わり、道には太陽の光が戻ってきた。峠には陰と陽があるとお話してきたが、この峠で言えば、どうやら私が今通っているこちら側の道が「陽」のようだ。これはありがたい。だが、道は御覧の通り急勾配、豊かな日差しは私の体温を瞬く間に上げ、おまけに自転車などと言うものを押している(これは下りで楽をすることを考えてのものだが)。首から下げたカメラに汗が落ちないように気を付けないといけないが・・・それにしても、あちー!(笑)

「雨やヤブ漕ぎよりはずっといい」と自分で言い聞かせ、汗をかきつつ自転車を押して上がっていく。毎度のことで今回も御多分に漏れず、峠まで距離がある方から登ってきてしまったようだ。この辺はいつまでたっても進歩しないらしい。

などと思いつつ、大きさの割に重い自転車を押しながら上がっていると、左側の法面にそれまでの疲れを吹き飛ばすものが現れた!。それはいったい・・・?!と言うところで!

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