新潟県主要地方道59号
大和焼野線
後山トンネル旧道 第6部
2023年4月22日 探索 2023年6月16日 公開
アバランチシュート
残雪を抜けて進むと、こんな景色が現れた。まさしく山の斜面を削るようにして切り開かれた峠道。ワイヤーが外れたガードワイヤーの支柱も、まるでこの道のデフォルトのようにしっかりと存在して、「ここにいるよ」と自己主張しているところが何とも可愛いじゃないか。
それでも路面には細かい石の欠片が散乱していたりする。やっぱりこの辺の地質は崩れやすいのかな…などと思いつつ、あたりを眺めてみる。
実際、今回はこうして進みながら眺めることが多い探索となった。おかげで時間がかかって仕方ないが、それもこれもこの道の景色の素晴らしさがなせる業だ。この道、ハイキングコースなどで再整備出来ないだろうか。地域おこしにもなるだろうし、こうして廃れていくには実に惜しい道と思う。
左カーブを曲がると、道は一段と狭くなって左の法面が崩れてしまっている。その崩れた斜面から湧き出た水は右の路肩に流れ込んでいた。その流れ込んでいる路肩をよく見ると、ここにも路肩側を補修した跡がある。さっき見かけた路肩の補修地点とパターンが似ている気がする。覗き込むにはかなりの高さがあり、高いところが苦手な私としては出来れば避けたいところだが仕方あるまい。恐る恐る覗き込んでみると…
わぁ…おおっ?
これはいかん!なかなか高いぞ!…と、眺めて「怖いなぁ」思った次の瞬間、目の前に見えた風景に恐怖心が吹き飛んだ。下に見えるのは、さっき崩れて補修されていた場所ではないか。ふむ、そうするとあれは遥かに高い位置から崩れていたんだ。そして、この位置から見てみると、これまで崩れていた場所が一直線に見渡せる。すべての起点はどうもここだったらしい。目の前にはおなじみともなった、弛み切ったガードロープの姿も見える。と言うことは土砂崩れはここから始まって、その土砂が真下に見える路盤を落とし、更に下へと山肌を削りながら崩れていったらしい。こんな上から崩れたとなると、その土砂の量たるや推して知るべしである。
よく復活したもんだ、この道…。
「崖崩れの上から下を見通す」などと、普段ではあまり(と言うかほとんど)見ることの出来ない稀有なものを見て出発だ。目の前に現れたのは、またまた切り通し。この位なら隧道の一本くらい欲しかったのに…と思ったが、それは贅沢と言うものか。でも道の左右の状況を見ると、なんだか隧道の方が良かったんじゃないか?という気もしてくる。ここが仮に隧道だったとしても土被りは結構ありそうだし。
空がかなり近くなってきた。さっきから結構急な上り坂が続き、自転車を押している私も(←乗ってないんかい)結構息が上がっている。少しゆっくり目で歩くことにしようか。左の路肩の道路に近い斜面には植物の「杉の子」が見える。と言うことは、今回ここに来るのがもう少し早かったら、土筆が生えていたのかしら(笑)
切り通しを抜けて左カーブの先端から眺めたのが、この風景だ。「思えば遠くへきたもんだ」とは懐かしの曲のタイトルであり、映画やテレビドラマもあったが、この風景を見て思わずそう呟いてしまった。遠くと言っても新潟市から2時間半くらいなのだが。
中央左や中央右下には、ここに来るまでに私が今通ってきた道が見えている。遠くに見える山々の名前は何だろう?。その名前は、この執筆時点では調べていないので不明だが、標高はかなり高そうだ。今、私が見ている目の前の地形は深い谷状になっていて、県道がどこを通っていたのか興味を惹かれる。下に見える並木のところだろうか。ズームして確認してみることにしよう。
高いところがそんなに得意ではないのに、よせばいいものをまたまた下を覗き込んで。今度はズームで撮影してみたのがこの画像だ。上の画像で見た並木道は現道の59号で、58号との合流直前のあたりかなぁと見てみると、何やら穴のようなものが…!。
おおっ!あれは後山隧道ではないかっ!。先ほど私が出発したところで、今回のベース地点となっている場所だ。目の前に立ちはだかる山を抜けるために切り拓かれる隧道、やはりカッコいい。私はこの後、峠を抜けて後山集落に出て現道の後山トンネルを通り、あの場所へ戻る予定になっている。
戻ったら、今度は見上げて今のこの場所を確認してみよう。見えるかな?。
空がだいぶ近くなってきた。
後山峠まで、あと少し。