新潟県主要地方道59号
大和焼野線
後山トンネル旧道
 第5部

2023年4月22日 探索 2023年6月12日 公開

切り通しの先へ

さぁ先へ進んでいこう。道幅は更に狭くなり、普通車1台が通るのがやっとの道幅になってきた。こういった道に付き物の「ワイヤーがないガードワイヤーの支柱」と「路面の水」がちゃんとあるところが憎めないじゃないか。道の谷側は擁壁で固められていて、過去に崩れたから施工されたのか、開通時に施工されたものかは不明だが、この辺は崩れやすい地質なのかもしれない。

その擁壁を見てみると、一部分だけ擁壁の外側に土砂が落ちて、そこに草が生えているのがわかる。やはりここも以前に一度崩れたが、谷側の擁壁に護られて路盤崩壊は免れたものと思われる。それにしても…こういった道で見かけるのは、折れ曲がって昆布みたいになったガードレール、支柱から外れて地面にのたまうガードワイヤー、それを見ながら佇む支柱…。やはり道はちゃんと管理されないと、驚くべきスピードで荒廃してしまうと言うことを、毎回実感する。

大穴開いてますやん

ありゃー…山側の路肩を見ると、なんと!。大穴が開いているじゃないか。さーて、この穴は何だろう?。沢が崩れているのは見かけるが、こんなのは初めて見た。見ると、積もった雪が蓋みたいになっているのはわかるが、その下はどうなってるんだろう?。とはいえ、近づいてみるのは危険な気がするので、遠くから眺めるだけに留めておいた。今後、雪が無くなったころに近くを通ったら、立ち寄って確認してみたい。
…隕石でも落ちたのかな?まさかねぇ。

谷側の擁壁の区間を過ぎると、こんなに素敵な景色が私を迎えてくれる。季節もあるんだろうけど青空と新緑が美しく、実に気持ちがいい。思わず立ち止まって深呼吸し、リュックの中のルイボスティを取り出して小休止。身体が渇いていたのか、少々温くなっているルイボスティが美味しく感じられる。飲みながら道を俯瞰的に眺めてみると、改めて道の狭さを実感した。普通自動車1台分と少しくらいの道幅で、現役時代の車どうしのすれ違いはどうしていたのか。こんな道で離合場所までバックはしたくないなぁ。

一息入れてまた探索の再開だ。結構な勾配の坂道をポツポツと歩いていく。ここにきて路面には冬の雪の名残だろうか、枯れた木の枝や枯草などが散乱している。冬の間に雪が降り積もる時には、もちろんこういった枯れ木や枯草などは入っていないが、春になって融けていく雪にはこういったものが混じっている場合がある。雪崩とはいかないものの、少し上から「落ちてきた雪」などに混ざっている場合が多いのかも。もし今ここに箒(ほうき)があったら掃除してるかもしれないなぁ…などと思いながら、先の右カーブを曲がってみると…

うおっ!

これは見事な切り通し!。しかも結構高さがある。ここに道を通すのは苦労しただろうなぁ!。ただ、落石に関しては現在進行形のようで、路面には上から落ちてきたであろう様々な大きさの石がゴロゴロと転がっている。正直、この天候でヘルメットは暑かったが、やはりヘルメットを被っていてよかった。こんなところに道を通し、開通させた人たちに改めて尊敬の念を贈りたい。そして、カーブを曲がるとこれがまた…

いやぁ、いい感じの道じゃないか!。しかも、切り通しの先に存在するこの景色は(当たり前の話だが)今ここでしか見れないと言うことを思うと、こうして景色を眺めている自分の幸運を喜びたい。しかも路面には残雪がある。これが雪国の道と言ってしまえばそれまでだが、今は4月の半ば。今日はこうして歩いていても汗ばむほど暖かい日にも関わらず、残雪は融けていない。こういた雪はシャーベット状の雪だが、この上を歩こうとすると歩きにくいんだ、これが。

道はこの先、更に標高を上げながら、天空の頂へ向かって進んでいく。

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