新潟県主要地方道59号
大和焼野線
後山トンネル旧道 第14部
2023年4月22日 探索 2023年7月22日 公開
終わりと始まり
現道のトンネルに向かう前になぜか名残惜しくなって、もう一度旧道に戻ってみる。なぜだろう、この「山に向かって一直線に向かっていく道」に魅力を感じてしまうのは。後山峠の頂上にあったアンテナが、ここから見えている。それに向かって一直線に向かうこの道は、実に潔くていい。
この道の先に隧道があるなら非常に心ときめくところだが、残念なことに隧道はないのはわかっている。にもかかわらず、この線形は思わず期待してしまう。
旧道に別れを告げ、スタート地点に戻るべく現道を辿っていると、やがて現れたのがこの後山トンネル。開通は1990年10月とあるから、およそ33年前と言うことになる。近年のトンネルらしく近代的な印象で、壁のように見える正面の胸壁と坑道が前に迫り出しているようにも見える。左側の壁に何か彫り込んであるようだ。近づいてみてみよう。
これは…茗荷か?いやいや。違うな。水芭蕉だろうか?。目の前に案内板が取り付けてあるにも関わらず、それを見に行かずに手前でレリーフを見ながらブツブツ言っているところが素直じゃない。それはともかく、根元に水の流れらしきものが見えるところから、おそらく水芭蕉だろう。さて、では案内板を見に行ってみようか(笑)(最初から見に行けよ)
おお、こんなにも詳しく書かれている。早く見りゃよかった(笑)。
レリーフに刻まれていた水芭蕉は、初夏のころにこの地域に来ると湿地のあちこちで見ることが出来るそうだ。春が訪れる頃には山菜の王様「ぜんまい」が群生し…とあるが、山菜の王様は「タラの芽」ではなかったか。ま、ゼンマイも好きだからいいけど。コシアブラも美味しいよね(笑)
後山トンネルの表示板と銘板を見てみよう。表示板に書かれている「後山トンネル」の字体は普通の字体ではなく、筆文字っぽいフォントになっている。その全長は1205m、なかなかに長いトンネルだ。坑門の周囲は石積み風に仕上げられているが、これはフェイクだろう。でも、見た目的にはのっぺりしているより随分いい。レリーフや坑門の装飾などのさまざまな飾りがあって、このトンネルが高い期待をもって施工されたことを教えてくれる。
現道のトンネルを通り、今回の探索のスタート地点に戻ってきた。撮影していなかったと思われた、現道と旧道の分岐点を撮影した画像が見つかる。探索を終えたところで、ベースとなっている旧道の後山隧道の前から撮影した。
正面、左カーブで山に突っ込んでいるのが旧道。この道は目の前にそびえる山の斜面をつづら折りで上がっていき、最終的に左側の山の頂上へ向かっている、というわけだ。分岐点の右側に、現道の路面よりも一段高くなっているところが見えるが、これは現道の後山トンネルが開通する前の旧道の路盤だ。この路盤も、この先で主要地方道58号とつながり、分岐点から左へ降りると一般国道252号の明神に出て、そこから更に山の相川方向へ向かっている。
ところで、ここから分岐する主要地方道58号も、実は最近まで未舗装で狭い道路だった。
さて、ここで今回の探索は終了…とはならない。このあと、もう一つ探索が控えているのだが、その仕切り直しも兼ねて休息を取ろうと振り返ると、そこには…!。
後山隧道だ!
さっきから視界の中には入っていたんだけどね(笑)。それにしても…
なんだか坑門上の木々が妙に多いな(笑)。こんなもんだろうか。坑門脇にはシャーベット状になった残雪があり、自ら保つ自然の栄養素を大地に染み込ませる日が来るのを待ち続けている。隧道の前には辻又川が流れ、それを越えるための無名の橋が架かっていた。
本来ならば、ここで私は喜んで隧道の中に突っ込んで行ったことだろう。だが今はこの隧道には入らない。お楽しみはひとまず取っておこう。今その理由は、今回の探索はここがゴールだが、終わりではないからだ。まずはいろいろ溜まっている謎を解くためにも、机上調査をしよう!。