新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第7部
2022年9月17日 探索 2022年12月6日 公開
スベってる道、スベらない靴?
ここに来て、路面の状況に変化が現れた。これまでより道幅が狭くなった感じがして、路面も若干だが草に覆われはじめた感じがしないだろうか?。「これはいよいよヤブも近いか?」などと思いつつ、歩みを進めていく。道の周囲の木々も、これまでより茂っている感じで「森の中を進んでいる」と言った趣になってくる。
道はこのあたりから上り勾配になっていて、峠へ向かっていくような感じと言えば、わかりやすいだろうか。この探索はさほど急勾配がなくて、妙に楽だなぁと思っていたが、やはりそうはいかないらしい。路面を踏みしめながら歩いていくと、少し息が上がってくる。ゆっくり登っていくことにしよう。
あれは・・・峠か?
笹に覆われた山側の斜面、またまた適度に下草が刈りこまれている路面、それこそ街道の雰囲気がたっぷりの道だが、路面が少し右の谷側に傾いているので、踏み外してしまうと大変だ。だが、ここから見える道の先は明るく、あそこが上り勾配の頂点かな?。
道幅はおよそ普通車1台分と言ったところだろうか。ここだけ見ていると、少し手を入れれば自動車交通不能区間が解消しそうに見えてしまう。でも、ここを自動車が通行している風景を、私はどうしても想像できない。やっぱりこのままがいい。ファインダーを覗きながら、そう思った。
坂道を越えた先は緑が濃くなり、一転してまるで廃道のような雰囲気に変わる。ここだけ見ていると廃道か森林鉄道の路盤跡のようにも見えてしまうのが、この道の面白いところだ。それに、これまでの道程のどこよりも「鬱蒼」とした雰囲気は、何だかどこかで見たような既視感があるので、「どこだったかなぁ?」と家に帰って調べてみたものの、結局はわからずじまいだ(←知っている方、メールください(笑))。
さて、鬱蒼でもなんでも、ここを通り抜けていかないと探索は出来ないので、木々でやや暗くなっている道を歩いていく。ここも少しづつ地すべりが起きているのかもしれないが、道は山側から谷側へ緩い斜面になっていて、滑りにくいトレッキングシューズを履いてはいるが、それでも注意するに越したことはない。念のため路肩寄りを避けて、山側を歩いていくと…
山側の斜面を見ると、そこだけ草や笹がなく、明らかに今でもきちんと手が入れられているのがわかるお地蔵様がいた。土の斜面に祠が掘られて祭壇が造られ、蝋燭などが立てられていて、祠は「掘っただけ」とはいうものの、実は綺麗に造りこまれていて驚いた。場所は峠の頂上付近で、往時はここで一息入れる旅人もいたのかもしれない。もしかすると、おにぎり食べていたかも。
このお地蔵様も他の道におられるお地蔵様と同様に、長い間ここにいて旅人たちを見ていたことと思う。私もこの道を通って旅(かな?)をする身、この探索の安全を願って、ヘルメットを脱いで深く首を下げる。
さ、探索を続けよう。この道を歩いていて一つ気づいたことがある。この道には倒木がない。そういえば、これまでの未成道探索である新潟県一般県道137号天神林上条線や、同じく一般県道178号山ノ相川下条停車場線もそうだった。やはり、未開通区間と言うのは一見何もしてないように見えても実は管理されていて、少なくとも倒木などがないようにしていると言うことがわかる。これは、股関節が固くなって若い時よりも足が上まで上がらなくなっているオジサン(←自分で言ってる(笑))には非常に嬉しいことだ。ここも右の谷側が少し滑っているようで、慎重に右の山側の際を通ってクリアした。
これは・・・!
山側を慎重に歩いて行って辿り着いた先は、印象的な切通しだった。その先は広場になっているようにも見える。こんな擂り鉢状になっている切通しは三坂峠の頂上部分にも似ていて懐かしい。少し前で「廃道」だの「森林鉄道」だのと好き勝手なことを言っているが、ここから見える風景は「箱庭」のような雰囲気だ。いろんな道を思い出させてくれるこの道は、実に面白い。
まるでスポットライト!。
…また標柱があったりして(笑)