新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第13部

2022年9月17日 探索 2022年12月30日 公開

趣きを変える道

そんなに長くないように見えて実は見どころ満載だったこの探索も、いよいよ終盤に差し掛かる。振り返ればここまでそんなに大したヤブもなく、滑っているところもなく、崩れているところもなく(厳密に言えば多少はあったが、通れなかったり高巻でかわすほどでもない程度だ)、少々物足りないものの、非常に快適な(?)探索だった。やはりこれが「廃道」と「未開通の道」の違いと言えるだろう。

だが、そんな道でもこの「横殴りの灌木」は例外だ。実際はそんなことはないのだろうが、おおよそどんな道でもありそうな気がするのがこの灌木で、通るのに邪魔になるったらありゃしない。だけど、これもこの道を通るのに試されているのだろうと思うと、また楽しと言ったところか。
足元の下草もだんだんと深くなってくるが、一時的なものだろうと予想して慎重に進んでいく。

予想通りヤブはすぐに軽くなって、またこんな趣きある道の風景が復活する。ここも切通しと言うか掘割と言うか、地面よりも掘り下げてある感じで道が造られ、塚野山集落を目指して進んでいる。帰ってからまた分厚い資料と格闘することになるが、仮にここが古くからの街道の名残だったとするなら、勾配を緩くして荷車などを通すためにわざわざ掘り下げたのかもしれない、などと想像してみる。

この道の周囲には、人為的に植えられたいわゆる「林」ではなく、自然のまま様々な木々が生えている「森」が広がっている。県道ではあるものの、未開通扱いで手つかずのままの自然の中を通っているこの県道、出来ればこのまま未開通の方がいいような気がしてきた。ただ、徒歩県道として一つか二つ、ヘキサが欲しいところではある。そうすると一気に気分が盛り上がってくるし(笑)、ある種の町おこしにも繋がるような気がするが。

こうして撮影した画像を見ると、どこが道だかわかりゃしない。でも、実際に通っている身としては、道の痕跡はしっかり掴んでいるから大丈夫。この画像だとわかりにくいが、路面の部分だけヤブが微妙に薄くなっているのがわかるだろうか。県道はこの画像の中央をまっすぐ進んでいる。こんな一見して激しそうなヤブでも、人面峠の笹のヤブよりはマシだ。あそこのヤブは酷かった!。

県道は左に緩やかなカーブを描きながら進んでいる。道路台帳を見てみると、ここも2mの幅員があるように記載されているが、この辺りに限って言えばその幅はないだろう。もっとも、周りの草や雑木が侵食してきて狭くなっているように見えるだけなのかもしれないが。

ガサゴソと草を掻き分けて進んでいるけど、前方を見れば何やら森林公園の小径の雰囲気。針葉樹だらけの林と違って空も明るいし、非常に気持ちいい。・・・と、ここまで来て気づいたが、そう言えばこの時季(9月中頃)はまだアブが飛んでいるはずだが、ここにはアブの姿が見えない。気持ちよく探索出来ている理由は、そこにもあるのかも。

夏の酷暑を過ぎて日差しが幾分穏やかになった初秋の未成道。アブの襲撃もなく快調に探索を進めていた私の目の前に現れたのは、この急な下り勾配。奈落の底に落ちる・・・と言うほどではないが、下る速度に気を付けて下っていかないといけないほどの勾配だ。やはり地形図の通り、塚野山側は等高線を無視するかの勢いで下っているようで、もうすぐ塚野山側の分岐点に辿り着くと思う。

左側に針葉樹の林、右側には里山の森、左右で違う山の雰囲気を見ながら、なおも延々と続く下り勾配を降りていく。さっきまでは山中をのんびりと進んでいる穏やかな道だったが、今は平地目指して一気に駆け下りていく、そんな言葉が似あう道になっていた。しかも、東谷側には一部でつづら折りがあったりして、出来るだけ勾配を緩やかにしようとする意図が感じられたものの、今歩いている塚野山側にはそれが全くといていいほど「ない」。
やっぱり荷車は通れなかったし、通すつもりもなかったんだろうか。そういえば、ここまであれだけ見えていたスノーポールや標柱もさっぱり見かけないし。もしかして、違う道に入り込んだか?といささか不安に思っていると・・・!

おおっ!標柱だ!

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