新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第14部

2022年9月17日 探索 2023年1月3日 公開

灰色の路面と金の稲穂



これまでの探索であちこちに見えていたスノーポールや標柱がさっぱり見かけなくなって「もしかして違う道に入り込んだか?。いや、ここまで脇道はなかったはずだが・・・」と思い返しながら進んでいた私の前に現れた、路傍に立つポール。そのポールの根元には、なんと標柱が!。もう少し近づいて見てみようと接近して撮影したのがチェンジ後の画像だ。
紅く塗られていたであろう標柱の頭の部分は緑色の苔でほとんどの部分が覆われているが、地色の赤色もところどころに確認することが出来る。その赤い頭の下には立派な筆書き様の文字で深く彫り込まれた「新潟県」の文字。これが立っていると言うことは間違いない。この路盤は県道だ。やはり間違っていなかった。

標柱の先には急な下り勾配ではあるものの、こんなに気持ちいい道が先へ進んでいた。前方に目を凝らしてみると、木々の隙間から田園風景が見える。どうやら塚野山側の分岐点まで、ここから100mほどしかないようだ。これまで涼しかったこの道の空気も平地が近づくにつれて少しづつ気温が上がっているようで、やや暑くなってきたし、街の「喧噪」とまではいかないものの、人々の毎日の生活の営みが行われている気配は感じることが出来る。それを感じつつ、足元に気を付けながら注意深く降りていく。

急な下りの右カーブを過ぎると道幅は2m以下になってしまい、左下には見慣れたアスファルトの路面が木々の隙間から見え隠れしている。勾配は目算で10%くらいだろうか。だけど、そのアスファルトまではかなりの高度があって、高いところが「やや」苦手な私にとって覗き込むにはなかなか勇気がいるので、それはやめておいた。やっぱり探索は安全第一じゃないとね(笑)。

またまたポール発見!。木の根元にひっそりと佇んでいる様子がいいじゃないか!。もしかしたら、ここにも標柱があるかもしれないと根元を確認してみたが無く、やはりこのポールが標柱を兼ねているらしい。そして、その先には・・・なかなか素敵な風景が広がっている。これまでで一番深いヤブが私を待っていた。最後の最後でヤブ?!と思ってしまうが、ここまで来たらありがたく受けようではないか。さぁ突っ込もう。

下草の高さはおよそ私の胸くらい。ヤブとしてはさほどでもないし、茂っているのがクマザサではないので、ヤブ漕ぎはしやすい方だと思う。あとは道筋さえ見失わなければ進んでいける。
・・・と、ここであることに気づいた。先ほどまで持っていた道路台帳がない。どうやらどこかで落としてしまったようだ。台帳自体は家に戻れば原本があるが、こんな素敵な山の中に放置しておく訳にもいかない。探しに行くことにした(この後、少し戻ったところに落としているのを発見し、無事回収した)。

おおっ!ヤブっ!

見渡す限り一面の草原、少し先には木のトンネル。一見良いように見えるが、ヤブの高さは胸の高さを超えて首辺りまで来るようになった。ガサゴソとヤブ漕ぎしながら前へ前へ、塚野山の合流点目指して進んでいく。なかなか楽しい道だったなぁと思いながら、そういえばこの県道が越えている小さい山に入ってから、鳥の声を聴いてないことに気づいた。ま、日中で小鳥が一番動かない時間帯でもあるので木々の枝で休んでいるんだろうが、何となく寂しいもんだ。

道の高度はだいぶ下がってきて、道の左側を覗き込むとアスファルトが間近に見える。その隣には刈り取る前の頭を垂れた稲穂が並ぶ田圃に、山の中とは比較にならない強い光の日光が降り注いでいる。

塚野山まであと少し。

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