新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第2部

2022年9月17日 探索 2022年11月16日 公開

整備された未成道?

見よ、この気持ちいい道を!。短く刈り込まれてきちんと整備された道。路肩には保護施設は何もないが、それが潔いじゃないか。この辺の勾配は、なんと18%!。この先で勾配は9%になるが、それまではこのままで、かなりの急勾配と言える。今回は全工程が徒歩になるだろうと考えて自転車は持ちこんでいないが、やや息を切らしながらこの坂をゆっくりと登りつつ、ふと思った。

歩きでよかった!

もし自転車を持ち込んでいたら、ここは押しながら登らなきゃいけないので、今頃汗だくになっているところだった(笑)。

9%の勾配区間に入ったのか、勾配が緩くなってきたようで、やや軽くなった足取りで道を辿っていく。およそ2mほどの幅しかない非常に狭い道が、木漏れ日が差し込む森の中に入っていく風景に、思わず立ち止まって見とれてしまった。すぐ手前に庚申塔があったことを考えても、この道は旧街道で間違いないと思うが、この綺麗に刈り込まれた下草は、この道が今でも何かの形でちゃんと生きていることを教えてくれている。その昔、この道をどんな旅人が通ったのか。探索が終わったら今度は文献などで、きちんと調べてみようと思う。

なぁんかいいねぇ~

いかにも「未成道です~」と言う道が続く。道の下草はほとんど無くて、こんなに快適でいいのか?!と思うくらいに非常に歩きやすい。それに今日は夏と言ってもいいくらいの陽気で非常に暑い日だったが、ここは並木道の木々で日光が遮られたおかげで空気が冷やされて、涼しくて気持ちいい。未開通で未舗装の道で、こんなに快適な道は初めてだ。

ほとんど等間隔で路肩に植えられている杉の木が、この木漏れ日を造り出している。往年の旅人にとって夏の強烈な日差しや冬の吹雪など、様々な天候から守ってくれて、かなり助かったことじゃないだろうか?。それに、今でもデリニエータの代わりに路肩を教えてくれたりしていて、ちゃんと考えられていることに驚く。

歩きやすく快適な並木道が続く。日陰のせいで路面の下草があまり育たないのかもしれない。勾配の程度は別にして、こういった道の風景を眺めていると、なんだか森林鉄道の路盤に見えてくる。下調べも何もしてなくて、もう少し勾配が緩やかであれば「もしかして?」と思って、犬釘やレールが残っていないか探していたと思う(笑)。


森林鉄道…山から伐採した木材を運搬するための林業用の鉄道で、主に明治時代から昭和40年代頃にかけて活躍した。国有林を管轄する国(林野庁)によって建設されたものが大半であり、全国の国有林森林鉄道の全路線数は最盛期で1,000路線、8,000km以上の延長に及んだと言われている。また鉄道であるにも関わらず林道と同じ扱いになっていて、その軌道の幅は大半の森林鉄道が、新幹線の1435ミリやJR在来線の1067ミリよりも狭い、762ミリの幅を採用していた。これは、山間部を縫うような急峻な地形の場所に敷設されたため、カーブの曲率が非常に高い線形のためである。また、山間地域であり奥地に集落が存在する場合もあったことから、一部では客扱いも行っていたようである。


こんなところを材木を積んだトロッコと小さい機関車が走っていたら、絵になる光景になっていたことだろう。でも実際は違って、ここは未開通の県道だ。路面は歩きやすいし、このまま「徒歩県道」として開通させてもいいんじゃないかと言う気さえしてくる。でも…せめてヘキサは欲しいよねぇ(笑)。

森林鉄道の路盤のような道を楽しみながら上がっていると、このような場所に出る。左の路肩に立てかけてある木は何だろう?。もしかして、この辺でキノコでも栽培されておられる方がいらっしゃるのだろうか。立てかけてある木からはキノコは生えていなかったが、原木栽培としてなら充分に考えられるところだ。

こうして探索していても、辺りの山中からは小鳥の声が賑やかに聞こえ、実に楽しい。相変わらず道の両脇には標柱もデリニエータもなく、ここが県道と示すものは何もないが、時折確認している道路台帳の道筋は今通っているこの道と符合しているので、この道で間違いないだろう。

左カーブを過ぎると急に勾配がキツくなって、今度は右カーブ。つづら折りで上がっていくようで、旧街道の本領発揮よろしく、いよいよ登山道の様相を示してくる。なるほど、この道を自動車が通れるようにするには一筋縄ではいかず、山を切り拓かないといけないだろうから、(代わりの道もあるし)未開通区間のままになっているんだろうという気がしてきた。そうなると、この道は開通せずにずっとこのままと言うことも考えられる。

…いや、そうなるだろうな。たぶん(笑)。
ふにゃふにゃと、右に左にカーブしていく道を抜けると…

おお~!(と思わず声を上げる)

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