新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第3部

2022年9月17日 探索 2022年11月20日 公開

はいからさんが通る?

いつもこういった道を辿っていると、そこにボンネットバスが走っていたり、昭和初期の風景が目の前に蘇って来たりして非常に懐かしい思いをするが、この道はそれ以前の話だ。この道で見えてくるのは明治・大正時代や江戸時代最後期の風景で、菅笠を被った旅人や、和服姿の旅人の女性、あるいはいわゆる「はいからさん」だろうか。


ところで「はいからさん」と言えば南野陽子さんだろう。彼女は映画「はいからさんが通る」で主演を務めたが、この映画の中で彼女が着た衣装である袴(はかま)のスタイルが当時の女性の間で人気を呼び、ここから卒業式や成人式で女性が袴を着用するスタイルが広まったとされている。


でもねぇ・・・。
はいからさんが、もしこの道を自転車で下ってきたら・・・ブレーキが効かなくなって下ってるようで、それはそれでコワいのものがあるな(笑)

夏の鮮やかな緑に包まれた、日差しが眩しい明るい道を進んでいく。路面は枯葉でフカフカかと思いきやそんなことはなく、地面の感触がしっかり伝わってくる非常に歩きやすい道だ。新潟県に、こんな県道がまだあったんだなぁ・・・と思わず嬉しくなってくる。近年は大雨だったり地震だったりと、こういった旧い道が崩れてしまう要因となる異常気象が頻発しているが、この道はまだ大丈夫なようで、どうかこのまま崩れることがないようにしてほしい。

これは探索者のわがままかもしれないが、自分が探索した道と言うのは探索した後も、いつまでも無事でいてほしいと願うもの。
この道はどうか残ってほしいなぁ。

この辺にヘキサでもあれば最高なんだがなぁ・・・と思うが、やはり辺りには見当たらない。せめて新潟県の標柱でもあればいいのだが、それもない。いささかの不安はあるものの、手元の地図と道路台帳を見る限り路線の形状は合っているので、この道で間違いないと思う。

そんな道を、辺りを気にしてキョロキョロしながら上がっていく。これはもちろんクマ対策でもあるが、それ以上に鳥が囀る声があちこちから聞こえていたからだ。往時の旅人たちも、この景色を見て鳥の声を聴き、この道を歩いたのだろうか。何十年過ぎても変わらない道。私も同じ景色を見て同じ声を聴きながら、今は県道となった街道を歩いている。往時の旅人たちもそうだったとすれば、こんなに嬉しいことはない。

鮮やかな緑に包まれた道を辿っていくと、このような場所に出た。見ての通り、かなりの急勾配だが不思議なことに息はさほど上がっていない。これも森の効果かな。今日の探索を始めてから、この辺で三分の一くらいだろうか、ここは日陰になっていて探索するにはちょうどいい。リュックからルイボスティーを取り出して一口飲むと、思わずため息が出てしまう。

一息ついて、これから進む前方を見てみると、道はこの先どう進んでいるかわからないが、右側に路盤らしきものが見える。・・・もしかして、ここで180度方向を変えて上に進んでいるのか?。だとしたら、それはすごく素敵な道形だ。もちろん、一気に元気になったのは言うまでもない。さぁ、先を急ごう(笑)。

間違いない!

これはおそらく、登り切るとすぐに右に折り返して高度を稼いでる。急カーブのヘアピンで上っていくとは、この道はやはりただ者ではない。それはまさしく「車道」ではなく「街道」。道形に歴史を感じながら辿るのは、沖見峠以来だ。それに、道も下草が刈られてきちんと管理されているが、辺りの山々も下枝であったり草が刈られていたりして、ここは全体的に里山の印象なのだ。小さい頃に遊んだ神社があった山に雰囲気が似ていて、懐かしくてつい立ち止まり、「そう言えば・・・」と記憶を辿ってしまった。

!!!

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