新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第10部

2022年9月17日 探索 2022年12月18日 公開

緑に護られる道

前回後半でスノーポールと標柱を見つけて、山の中の未成道に標柱とスノーポール??と言うことで、撮影したり眺めてみたりして楽しんでいたが、さて先へ進もうか前を向くと、前方右の谷側の木の根元辺りが激しく崩れてしまっているのを見つけた。それがこの画像で、これは地すべりと言うわけではなく、雨などで崩れた土砂崩れだろう。今日は晴れているからいいが、雨の日などは更に一気に崩れるかもしれないし、ここは要注意だ。油断は禁物、山側を慎重に歩くことにしよう。


ところで「地すべり」と「土砂崩れ(崩壊・崩落)」と「土石流」は、山中を走る道路を管理する上で切っても切り離せないほど隣り合わせの災害で、特に近年のゲリラ豪雨や長雨が多発する気象状況では、これらは特に発生しやすくなっているとも言える。時にはこの三つのうちの一つの災害が要因となって道路が通行止となり、復旧のために新ルートやトンネルが選択されたりすると旧道や廃道が出来る要因になるわけだが、ここではこの三つの災害の違いについて触れておく。

「地すべり」と「土砂崩れ(崩壊・崩落)」と「土石流」、これらはいずれも「土砂や岩石が集団で移動する現象」で、移動速度や規模、運動様式により分類がされている。おおよそ一般的には、移動速度が遅くて断続的に斜面が移動する現象を「地すべり」移動速度が速く、斜面が崩れ落ちる現象を「土砂崩れ(崩壊・崩落)」移動速度が速く、水と土や石、砂が混じり合って流下する現象を「土石流」と言われている。


土砂崩れの地点を越えて先へ進む。ここは道形は判然としないが、緩やかな右カーブとなっているようだ。太陽の光が差し込む前方を見てみると、足元に生息していらっしゃる下草の皆様たちが成長し、ヤブにレベルアップしようとしているように見える。探索者の立場から言えば「適度にヤブならいいよ」と言いたいところだが、残念ながらそうはいかない。ここは心を落ち着けて、来るべき下草の成長を祝うべく、突っ込んで行くことにしようではないか(笑)。

と思って左カーブを(覗き込むように)抜けてみると、嬉しいことに下草の皆さんはそんなに成長してなかった!。まだまだ道としての体裁を保ってくれているようだ。正直に言うと、この道は未成道であり、ここまで人の手が入っているとは思わなかった。しかし実態は、未舗装・未開通なれど最低限の手は入れられ、ここが県道であることを示す標柱が随所に見られたのは、探索する上においてありがたかった(山の中では地図にも載っていない作業道が分岐したりしていることがあり、間違ってそこに入り込むと遭難の原因になるので、こうした標柱があると非常に助かるし、道形の観察も重要だ)。同じ県道の未成道区間である一般県道178号山ノ相川下条停車場線一般県道137号天神林上条線の時は標柱がほとんど見受けられなかったように思うが、これはそれぞれの県の出先機関(新潟県だと地域振興局)の考え方の違いだろうか。

穏やかで若葉の色が眩しい、まるで周りの緑が包んで守ってくれているかのような道を進んでいく。とは言え、穏やかな道と言ってもそれは徒歩で通行している場合のことで、これが自転車とか荷車(現代はほとんどないだろうが)や二輪車だったら、この道の通行はなかなか難しいだろう。自動車が通れる道ではなく、また登山道とも違う未成道のこの道の雰囲気は独特で、この道が後世に伝わるように大事にしなくてはいけない。

お~、だいぶヤブが深くなってきたな(笑)。この辺りで膝あたりの深さだろうか。まだヤブ漕ぎまではいかないので、この道の探索はホントに楽な方と言えるかもしれない。ただ、ヤブに紛れて路肩が見えにくくなっているので踏み外して落ちないように注意だ。
ここでふと思いついた。今は9月の半ば。この時季でこのくらいの下草なら、冬枯れの頃にはもっと違う景色が見れるんじゃないだろうか。11月とか5月の雪が消えた頃に再訪してみたいものだと思いつつ右カーブを過ぎると、そこには・・・!

おおっっ!

これはいい!。散歩道でもなく登山道でもなく、国道でも県道でもないこの道の微妙な立ち位置が醸し出す(笑)、独特な雰囲気の道。一言で言い表すならば、この「中途半端」さがたまらん!。左側の路肩が一部崩れているのも注目だ。ここも崩落していることから、この部の冒頭で書いた「土砂災害の違い」に当てはめると、「土砂崩れ」に当てはまるだろう。路盤のおよそ半分が崩れて消失しているように見える。近年多発しているゲリラ豪雨や冬の大雪、雪解け時の地盤の緩みなどが重なると、こうして通行することが出来なくなるかもしれない。やはり旧道や廃道、未成道の探索は、発見してから出来るだけ早い間に探索を行っておくようにしないと、通行できなくなるかもしれない。ここも来年は通行できるだろうか。出来ることならこのまま残っていてほしい。そう願う。

と思いつつ、先へ進んでいくと・・・

うおっ!(笑)

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