新潟県一般県道440号
麓野積線 第6部
「県道の証明」

2023年8月12日 探索 2023年10月30日 公開

県道の証明

懐かしき、また華やかな峠に別れを告げ、麓集落へ向かうべく峠道を降りていく。野積側より少し道幅が広くなった印象で、ところどころにこうした退避スペースも見られるようになった。でも、路面はまだところどころに苔が見えていて、この道の交通量の少なさを物語っているかのようだ。

この道を探索している今は、2023年の8月。この年の夏は格段に暑く、毎日35℃を超える日が続き、おまけに雨がほとんど降らないと来ているから、場所によっては干上がってしまった河川もあったりして、災害級の暑さになっていた。そんな中のこの探索、歩いたり自転車に乗ったりでは熱中症で倒れてしまう危険性が大!ということで、今回は車に乗っての探索だが、乗ったり降りたりの繰り返しのためになかなか先に進まず、やっぱり探索は歩きか自転車の方がいいなと改めて実感した次第だ。なにより、じっくり見れるしね。

この道は、こうしてところどころに木々のトンネルがあるのが、非常に良い。遥か昔にこの道を行き交った旅人たちも、こうした木々のトンネルで一休みしたことだろう。もしかしたら、腰かけておにぎりでも食べていたかもしれない。で、その横で牛や馬が一休み…そう想像すると、非常に楽しい。当時は今のように気温も高くなかっただろうし、ここで一休みしていても涼しい風が吹き抜けて気持ち良かったと思う。今は…この時季は風が吹き抜けても熱風だから、牛や馬もバテてしまっただろうなぁ。

木々のトンネルを抜けると、左側の斜面にポツンと立つデリニエータ。これまで谷側にポツンと立っているのは結構見てきたが、ここは右側は谷でもないし、それだけにポツンと立っているのが結構目立つ。果たして、デリニエータが立っているのは崩れた跡か、それとも他の原因か。
私はこのデリニエータを見つけて、そのままの位置であれこれと考えている。もちろん、車から降りて辺りをフラフラと歩いているときのことだ。立ち止まって考えていても仕方ない。近づいて確認してみよう。

近づいて確認してみると、あのデリニエータはやっぱり大地に備え付け(?)じゃなかった。パイロン(三角コーン)の先端に突き刺してある「新潟県」のデリニエータ。その刺してあるパイロンには「与板維持管理事務所」の文字が。与板維持管理事務所は長岡地域振興局の出先機関。と言うことは、峠で町境を超えたものの、ここはまだ長岡地域振興局の管轄と言うことだ。一見すると、ここだけ斜面が削れて凹んでいるようにも見えて、枯れ沢のようにも見える。時季には沢となり水が流れるのかもしれない。なんだったら「洗い越し」のようになると名所になるのかもと思ったりしたが(笑)

印象的な針葉樹の森の中を進む道。道の幅から考えて、ここはバスなどの乗合自動車は走っていなかったと思うが、それでもここを通る人たちの姿は思い返すことが出来る。相変わらず路面の真ん中には緑の苔の帯が走り、車1台が通れるだけの道幅しかないが、左右の切通しを過ぎて杉林となるこの道を馬車や牛車が行き交っていたとするなら、それはとても素敵な風景ではないか。もちろん路面は今のように舗装していなくて、砂利道なのは言うまでもないが。

針葉樹の森を先へ進むと、山側の路肩に見つけました。この看板。左は私が探索を始めた野積側、右が目的地としている弥彦村の麓集落。管理界は峠の頂上ではなく、ここが境界らしい。左は新潟県長岡地域振興局地域整備部与板維持管理事務所(長いな)、右は新潟県三条地域振興局地域整備部(そこそこ長い)の管轄。その看板を支える支柱には、どことなく誇らしげに「新潟県」の文字が。この道が県道の証であるこの看板、私たち探索者に「ここが県道である」と言うことを証明してくれるもの。それは言わば…

県道の証明

どっかで見た映画のタイトルみたいだが
このタイトルなら多くの道好きの方々に見ていただけるだろう(たぶん)。
これが映画なら、大ヒット間違いなしだ(笑)。

次回は、この県道が織りなす自然豊かな風景を
眺めながら進んでいこう!

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