新潟県一般県道440号
麓野積線 第11部
「左直角、右直角」

2023年8月12日 探索 2023年11月19日 公開

左直角、右直角

搦手(搦手(からめて)道から先へ進み、滝に向かう道を分岐した後には、ほどなくこんな石が道の脇に現れる。ここから見ると単純な落石で路肩に残った石のように見えるが、よくよく見るとこんな石質の石はこの山の岩肌になく、何かの目的でここに置かれたものだとわかる。こんな石がこんなところに置かれる目的は一つしかない。期待しながらこの石の前に回ってみると…

おおっ!大手道だ!

やっぱり!搦手道の先には大手道の入口があった!。もちろん、こんな黒御影のような石はこの山天然のものではないと思うが、先ほど眺めた看板に「山城の北川に黒い岸壁から流れ落ちるのが黒滝で…」とある。この黒い岸壁と言うのが、実はこの石質で出来ているとも考えられなくもないなぁ…とも考えた(実際のところは、その滝に行ってないのでわからないが)。

そのスパッと切り落とされて磨かれた面に、「大手道入口」の文字が刻まれていたのはいいものの…この道のこうした史実を教えてくれるものは、ほとんど(と言うかその全てが)が麓集落側を向いて設置されていて、野積側を向いているものはほとんどない。これが不思議で仕方ないのだが…

謎は後ほど解明出来たら解明することにして、今はひとまず先へ進む。大手道の画像を撮影し忘れたのが悔やまれるところだ。ま、自宅から近いので撮影しようと思えばいつでも撮影できるのだが、近すぎるとなかなか行かないってのもあるからなぁ(笑)

さて、そんな県道はここにきてグッと狭くなる。今までで一番の狭さじゃなかろうか。それに、私はこの道のいろんな風景の中でも、この場所が一番惹かれてしまう。なぜかって?。それはもう決まっているじゃないか!

左直角!、右直角!

いいねぇ!。この道の脇を流れていたあの小さな流れは、今は砂防堰堤が造られるほどに大きな川になった。その片鱗が右側の隅に見えている。あの小川がここまで成長したのかなんて思うと、なんとなく嬉しい。

更に先に進んでいくと、このような雰囲気の良い道になる。森の中を進む道は、これから峠に挑むような雰囲気を醸し出しているが、さにあらず。地図を確認してみると、ここからほどなくして麓集落に着くはずだ。この風景はさながら、この道を通るものに対しての最後の思い出と言うことか。…そんなことはないな(笑)。
一見すると切通し、森の中を駆け抜ける道は、過去には多くの人々が行き交っていたのかもしれないと思うと、ここに立ってこうして眺めている景色も、特別なものに見えてくるから不思議なもんだ。

この道の右側の谷側を覗き込んでみると、谷の下は工事中だった。これが何の工事かは、この先にあるであろうと思われる表示板を見ればわかると思うが、そうでなくてもなんとなくわかる。たぶん、この工事は砂防堰堤の工事だ。…あの小川、と言うか小さい沢のような川が砂防堰堤の工事の対象になり、工事をしなければならないほどまでに大きくなったか!。なんだか、地味に嬉しい(笑)。

野積の集落からここまで、人家らしい人家はないほどに山の中を通過していく道だった。その道がようやく人家がある集落に行き着こうとしている。ここはたぶん(と言うか確実に)麓集落だろう。そんなに長い道のりではないと思ったが、なかなかどうして楽しい探索になった。探索の終点(この県道の起点でもあるけどね)でもある県道2号の分岐点までは、もう少しのはず。道幅も少し広くなって通りやすくはなったものの、相変わらず通行する車は1台もないのが少し悲しいところだ。野積の集落からここまで、結局1台もすれ違うことはなかった。

次回、いよいよ終点(起点)へ!

第12部(完結編)
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