新潟県一般県道440号
麓野積線

2023年8月12日 探索 2023年10月6日 公開

山と海を繋ぐ道

新潟県一般県道440号麓野積線。
この路線名を耳にして「あっ!知ってる!」と言う方は少ないと思う。起点は新潟県西蒲原郡弥彦村麓(ふもと)、新潟県主要地方道2号新潟寺泊線交点、終点は新潟県長岡市寺泊野積(のづみ)、一般国道402号交点。この区間を結ぶ、全長僅か4キロ足らずの短い県道だ。
この道は途中で小さい峠を越えるが、その付近で他に山越えの道はない。なので、この道は地形的にも重要と思えるのだが・・・
ま、論より証拠。まずは地形図を見てみよう。お馴染みの地理院地図である。

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈を追記して掲載

この、一見地味な(実際に地味なのだが)県道に、なぜ気づいたか。
今年(2023年)は非常に暑い夏で、平均気温が35度を超えるような日が何日も続き、探索するにも危険な日が続いていたのだが、そんな中でも探索はいきたい。そこで、どこかまだ行ってない魅力的な道はないかと地図上でいろいろ探していた時に見つけたのがこの道だったのだが、実はこの道、Googleマップには県道としての記載がなく、地理院地図を見ないと県道と言うことがわからない。おまけに地図上の表記は細い道の表記になっている。どうだろう。地理院地図を見ないと素性がわからない上に、その道は非常に細く狭いであろうと思われる、そんな道。

これはそそられる!(笑)

改めて地図を眺めていて思ったが、この付近にお住まいの方々は、この道がちゃんと整備されると山側と海側でお互いに行き来するのに、すごく便利になると思うのだが。実際、山側と海側で行き来しようとすると一番近いのは弥彦スカイラインだが、この道は何しろカーブが多く、時季によっては交通量も非常に多いので生活道路には向かない気がする。となると、大河津分水の脇を通る新潟県一般県道159号分水寺泊線に出るか、新潟県主要地方道55号新潟五泉間瀬線に出るか、どちらかしかないのだ。その間は非常に離れている。それだけに、この440号はその間の交通を保つためには非常に大事だと思われるのだが・・・。

ま、あーだこーだ言っても仕方ない。まずは現地に行ってみよう!。

と言うことで、現地。
私が立っているのは一般国道402号交点で、この440号の起点のはずなのだが、普通はここに「県道がここから分岐します」と言う矢羽根型の標識(卒塔婆(そとば)とも呼ばれる)があるはずなのだ。が、ここに限って言えば「まったくない」。これではここから県道が分岐していることがわからないし、手前にも県道440号の分岐を示すものは何もなかった。なんとも不憫な県道440号だが、大丈夫だ。今回はお前が主人公だぞ。さて、県道は…

地理院地図をよく見ると、川岸の道が県道に指定されている。その道は国道から分岐するとすぐに左カーブになっていて、集落の中を通って山に向かっているようだ。となると、この道しかない。一見すると集落の中を走る生活道路のような趣を持つその道は、およそ「これが県道?!」と言いたくなる道だが、今までの経験上(笑)そんなに珍しいことでもないので、そのまま進むことにしよう。

左カーブを過ぎると、狭い道は集落の中へ進んでいく。ここまで、この道が県道であることを示すものは何もない。こういう時に路肩に「新潟県」の標柱でもあると助かるのだが、標柱も県道標識も何もなければ、いささか不安にもなってくる。ここは地理院地図を信じるしかないだろう。こういう時に道路台帳が見られると助かるのだが…


新潟県の道路台帳は、これまでありがたいことに新潟県のWEBで閲覧することが出来ていたのだが、2023年6月に個人情報(道路台帳の隅っこに記載されている測量担当者の氏名)が隠されないままWEBで公開されてしまっていることが判明し、現在は他に同様の事例がないかどうかの確認作業のため公開停止になっている。県道を調査する上で道路台帳は非常に有益な情報(と言うか、これがあればほかの情報はいらない)であっただけに、公開停止になっている現在の状況は非常に大きい影響を受けている。


不安だらけの道を更に進んでいくと、集落の住宅街の中へ入っていく。すると、このような変則的な交差点に出た。この画像中、前方に右に入っていく道が見えるのがわかるだろうか。右側に引かれている路側帯を示す白線が一部分だけ切れているところがあるが、それが県道への道筋だ。どんな道なのか、興味津々で分岐点を右に曲がると…!

おおっ!いよいよか!
では…

探索開始!

第1部
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