新潟県一般県道440号
麓野積線 第3部
「広葉樹の森の峠道」
2023年8月12日 探索 2023年10月18日 公開
広葉樹の森の峠道
相変わらず車1台分の幅しかない道が、峠を目指して森の中を進む。山の斜面を削って造ったであろうその道は路面の中央が苔むしていて、ダブルトラックがくっきりとわかるほどだ。付近に離合場所はなく、ここで対向車が来たりなんかするとアウトなのだが、幸いなことにこれまで1台も来ていないので助かっている。
…でも、それはそれでなんだか寂しいぞ(笑)
路面左側は谷。それも結構深い谷だ。その路肩には、なぜかここだけ連続するデリニエータ。ここをご覧いただいていた方々なら、すぐにピン!とこられると思う。そう、デリニエータからデリニエータの間を見ると、この間だけコンクリートで固められているのがわかって頂けるだろうか。
そう、実はここだけ谷側へ滑り落ちているのだ。だが、さっきの場所と決定的に違うのは、山側が崩れていないということ。すなわち、路肩だけが崩れたということになる。
たかが道。されど道。何気ない道でも落ち着いて見てみると、そこに何かが隠れている場合がある。それを発見した瞬間が、私はホントに楽しい。
おおっ!いいじゃないか!
狭い!狭いぞっ!(笑)
左ほぼ直角、右ほぼ直角!。私はこんな道が大好きだ(笑)
道に取りつかれた人ならわかっていただけると思うが、こうした道を目の前にしたときの私は心躍る気分だ。ほとんど病気と言ってもいいかもしれない。だけど、好きだから仕方ないのだ。見てくれ!右側に整然と並ぶ場違いなデリニエータを!。何かあったのかと思わせてくれるが、実はここは崩れた形跡はない。たぶん、路肩から落ちないようにということなんだと思うんだけど…それにしても多いな(笑)
さて、前方の左カーブに入って行くと…
おおっ峠だ!
道は緩い上り坂。さほど急な坂ではないが、海側と内陸側を分けるには十分な峠だ。相変わらず中央に苔が生えている路面は、先が見えなくなっている。おそらくあの位置が峠の頂点だろう。そこまで、ずっと続いている切通しの道は、非常に雰囲気がいい。ここは自宅からさほど離れていないが、そんな近所にこんな素敵な峠が隠れていようとは思わなかった。これだから、やはり道は面白い。
気持ち的には一気に峠の頂上へ向かい、あれやこれやと峠の様子を眺めてみたいもんだが、ここはひとつ自分に意地悪を働いてみた(笑)
峠道から左の山側を見上げてみると、こんな森が広がる。人間の手が入っていない、自然そのままの森だ。そこには広葉樹が広がり、いかにも自然の恵みが豊かそうな森だが、クマは絶対いるな、うん。
今年(2023年)の夏は非常に暑い日々が続き、この探索を行った時点でも、コメへの影響が危惧されていた。だが、ここはこの広葉樹の森が造り出す日陰のおかげで、平地よりも幾分涼しい。新潟県でも年々クマの個体が増えていると聞く。こうして道を探索していても、クマと遭遇する確率はこれからどんどん上がっていくだろう。気を付けないといけないと、この風景を見ながら感じたが…クマもこの暑さでは参ってしまうだろうな。なにせ毛皮着てるもんねぇ。
いよいよ峠に到達!
車1台分の狭い道が越える、名もなき小さな峠。現代の、長大トンネルで貫く峠道も好きだが、こういった生活道路として地味に山越えする峠も味があっていい。この道、やっぱり前身は林道なのか。ここはまだ下調べも何もしておらず、この道の素性が今一つわかっていないが、この峠道の様子だと結構歴史がある道なのかもしれない。机上調査が楽しみだ。
荒っぽい疎石コンクリートで固められた右側の擁壁(というには若干低いか?)。それに対して、自然そのままの斜面が残る左側の斜面。…おや?何か石碑がある。ここから見る限り、庚申塔などの類ではなさそうだ。馬頭観音でもないようだし、近づいて見てみると…
そこに刻まれた文字に、私は驚いた!