一般国道403号
大貝トンネル旧道
第6部
2022年7月24日 探索 2023年3月4日 公開
森に護られる神殿
下草が綺麗に刈り込まれた、なんともアヤシイ道を進んでいって最初に出会ったのがこの風景だ。見事なまでに刈り込まれた山側の斜面と路面。こんなに綺麗だと、ただ歩くだけでも非常に気持ちいいし、地元の方々がこの場所を大切にしているということが犇々と伝わる。正面に見える石造りの鳥居には注連縄が付けられ、鳥居を守るように覆う木々の若葉が夏の日差しに輝いていてすごく美しい。まだ鳥居はくぐってないものの、ここに佇んでいても静かで力溢れる空気が周囲に溢れているようで、妙に心が落ち着く。
それにこの道。旧道ではないし廃道でも未成道でもないけど、雰囲気がすごくいい。思わず大きく伸びをして深呼吸した。
手入れが行き届いた道をゆっくり歩いていくと、やがて建物が見えてきた。これが御社で、森の中に佇む集落の神社といった趣きの社は雰囲気がすごく良い。この御社の名前は大貝社。名前からわかる通り大貝集落の鎮守様だ。この大貝の集落と隣の三桶集落は、古くから高田街道の脇往還の宿場町として歴史を重ねてきただけあって、御社もきちんと管理されているし、この社がある山全体が神社の境内になっているようでもある。せっかくなので、もう少し近づいてみてみることにしよう。
…おっ、右側に集まっているのはなんだろう?
小さい御社にお地蔵様が並んでいる。これはたぶん…末社(まっしゃ)と呼ばれるものだろう。小さくても神社には変わりない。この旧道の探索は残りはさほどの距離でもでもないが、この探索の安全と、同時刻に全国で探索を行っている方々の道中の安全を祈った。チェンジ後の画像は、左端の末社を撮影させていただいたものだ。金毘羅大神とある。この金毘羅大神をここに書くと、ものすごく長くなりそうなので、詳細はこちらを見てくれ(笑)。
ところで「末社(まっしゃ)」とは、その神社の本社とは別に、その神社の管理下にあって、神社本社の境内や、その付近にある小規模な神社の一つの呼び名のことだ。少し詳しく書くと、これには「摂社(せっしゃ)」と「末社(まっしゃ)」とあり、摂社は神社本社の祭神と縁故の深い(后神や御子神(みこがみ))を祀った神社、または神社本社の祭神が遷座する前に祭られていた地主神を祭った社のこと、末社はそれ以外の祭神を祭った社のことを言う。別名、枝宮(えだみや)や、枝社(えだやしろ)ともいう。
こじんまりとした、いい御社ではないか。夏祭りや秋祭りなども行われたりするのだろうか。祭りの時季になると昔はこの境内や参道に提灯が飾られ、もしかすると近所に出店や屋台などが並んでいて、大貝や三桶の集落の方々が集っていたのかもしれない。御社はしっかりとしていて激しい傷みなどもなく、地元の方々から大切にされていることが一目見てわかるほど、ちゃんと手が入れられている。参道にも境内にもゴミ一つない(森の中だから落葉があるのは当たり前だ)。このような御社に出会えたのは久しぶりのような気がする。
右斜めから撮影してみる。小さいながらもなかなかに貫禄のある神社ではないか。右奥には古そうな低い石垣が見える。辺りは静寂に包まれているし、すごく安定した空気に満ち溢れている印象だ。ここで少し休憩しよう。適当に地面に座って麦茶を取り出し、ウエストバックから梅干しを一つ口に含んで2~3噛みしてから麦茶を飲むと、すっきりして生き返る気分だ。それに木々の間を駆け抜ける暑い夏の空気が木の葉の日陰で冷やされて、爽やかな風となって私の身体を冷やしてくれる。ここで夏祭りがあったら楽しいだろうなぁ。
ゆっくり休憩して(10分ほど座っていただろうか)気分も体力もリフレッシュ。
さて、旧道に戻って三桶の集落を目指そう。
あの「サイズは大きいけど、ちっちゃいヤツ」に別れを告げて旧道を辿っていくと、こんな橋に出た。この風景を見て最初に隣のトラス橋に目がいってしまうのは仕方ないところか(ちなみにこのトラス橋は水道橋だ)。主人公は正面の橋、欄干は改修されてるものの、おそらく掛けられてからそのままの姿だろう。この橋が架かっているのは渋海川、これを渡れば三桶で、高田街道の脇往還の宿場だった集落。そして今回の探索である大貝トンネル旧道の終着点でもある。
まずはこの橋からだなっ。じっくり見てみよう!。