一般国道403号 大貝トンネル旧道

2022年7月24日 探索 2023年2月8日 公開

一般国道403号。起点は新潟市中央区明石二丁目78番1号の栗ノ木橋交差点、終点は長野県松本市の渚一丁目交差点。その総延長は334kmにおよび、そのルート中では多くの国道と重用を繰り返しながら、新潟からひたすらに松本を目指す健気な国道である。その途中には明治生まれの隧道で新潟県小千谷市と長岡市小国町の間にある小国隧道や、上越市から飯山市までの区間は山岳道路で、特に新潟と長野の県境にある伏野峠(ぶすのとうげ)は豪雪地帯であり通行期間も限られる、いわゆる「酷道」のひとつに挙げられている。
この国道、全線を走り切るには重複区間が多いのでトレースに苦労するのだが、今回はその国道403号の旧道区間をレポートしようと思う。

この探索は、実は既にレポートになっている「新潟県主要地方道56号小千谷大沢線」の探索の後に行った。このレポートの探索の起点になった新潟県十日町市小白倉卯は、この403号の改良事業である「大白倉バイパス」の途中の集落で、今回紹介する区間もこの改良事業で旧道化した道路である。それでは地図を見てみよう。おなじみ地理院地図である。

画像が小さくて申し訳ないが、ぜひ拡大して見て頂きたい。
この区間は先に述べた大白倉バイパスの中で2005年(平成17年)12月14日に最初に開通した区間で、山間部を抜けるこの道は冬には通行止め、その他の季節でも土砂崩れや地すべり、加えて道幅が非常に狭く、通行するにも難儀な道であったことは間違いない。小白倉集落や三桶集落の方々はこの改良工事でどれだけ救われたことだろうか、それは想像に難しくはないだろう。

今回の探索では小白倉集落側からスタートし、探索を行った。
地図を見て頂くとわかるが、直線的に道を通している現道は谷状になった地形を白倉大橋で、その先に繋がる山の地形を大貝トンネルでぶち抜いて大貝集落に向かうなど、現代の道の造り方をしている。これに比べて旧道は忠実に等高線に沿って「地形に従順に」進んでいる。これを見て私は、これは確かに災害が多く発生しそうな地形だわねぇ・・・と思った。
え?。なぜかって?。だって白倉大橋の辺りなんか地形の一番下の谷状の辺りを進んでいる。てことは上を見上げれば急斜面、崩れたら終わりですやん。これは匂う。地形的に匂う。これはぜひ旧道を探索しなくては。

と言うことで現地。
今は主要地方道56号の探索を終えて、非常に気持ちいい気分でここに立っている。気分もそうだが、この空の青いこと!。実に気持ちいい夏の午後に、交通量が少ない旧道の分岐点で大きく深呼吸をしてみる。今日一日でどのくらいのカロリーを消費しただろうか。少しはお腹も引っ込んだだろうかと、やや前にせり出した自分の腹を見てみる。見た結果は聞かないで頂きたい(笑)。
やっぱり、一日くらいじゃ引っ込まないわね。

さて、気を取り直して。ここから右に山中に入っていく細い道が見えるが、これが旧道だ。現道の2車線の幅広い道に比べて旧道は非常に狭く、これが積雪時期なら道幅は更に狭くなるので、これは確かに改良が必要だわねと言う気がする。

いやぁ狭いな!

狭い。実に狭い。だが、実に素敵だ(笑)。
今回は廃道でもなく、未成道でもなく、純粋に旧道の探索だ。道として今も現役として使われているが、現道と決定的に違うのは道が造られた年代。今回は気楽に、その旧道から見える景色をお届けしたいと思う。もちろん、私が探索してから既に半年以上の時間が過ぎていると言うことを考えると、今の景色はもっと違っているかもしれない。そういう意味では、これからレポートする景色は既に見れなくなっている景色と言うことになる。

今回の探索は出来るだけのんびりと周囲の景色を見たいが故に、自転車で行った。終点の三桶集落から上ってくるときには歩きになるだろうが、それも一興だ。その代わり、探索の対象が現役の道であることから装備は軽めにしたから、身軽さが気持ちいい。ウエストバッグとカメラくらいだろうか。

さて、行くか。ペダルに置いた足にグッと力を込める。

探索開始!

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