一般国道403号
大貝トンネル旧道
第4部

2022年7月24日 探索 2023年2月24日 公開

坂の上の集落

さて、前回最後の期待の通り、上り坂になった旧道。私は自転車を押してのんびりと上がっている。
え?、乗って上がらないのかって?。実は私が乗っている自転車は小径車で、坂道になるとなかなか進まないのよ、これが。なもんで押して上がっている次第なのだが、息が上がらないように気をつけながら進んでいると、路肩に破損した赤色のコーンが見えた。その先には欠けたように穴が開いているアスファルトが見える。いかんぞ、これは。あの上に乗ろうものなら、アスファルトが割れるかもしれない。そうなったら…。
左側を覗き込む。画像では見えにくいが、結構急な斜面に加えて高さも高い。もし落ちたら真っ逆さま、これは避けるに限る。山側を大きく迂回して通ることにしよう。

アスファルトが割れていた先ほどの左カーブを過ぎて更に進んでいくと、こんな場所に出てきた。これは通ってきた坂道を振り返って撮影したものだ。この広い道幅の立派な道を今は独り占めだが、ここから見るとなだらかに下っているこの坂道、道幅は広いけど雨なんかだと滑りそうな感じがして少し怖さを感じる。路面の上には木が生い茂ってトンネルのようになっていて、現道ではほとんど見ることが出来ないであろう景色が素晴らしい。側溝もきちんとあるし、可能なら路面に大の字になって寝たいところだが、ここは一応現役の道なのでやめておいた。

左側の斜面をふと見上げると、一本だけポツンと立っている木を発見。見ると、この木だけ周りの木々と違っている。こりゃ杉だろうか。何かの道標なのか、目印なのかはわからないが、とにかく目立つことだけは確かだ。おまけにこの木は下枝が刈り払われており、人の手が入っていると思われる。木もそうだが、それぞれの緑と青空と雲のコントラストが美しい。ずっと上り坂で自転車を押して上がってきたし(←乗らんかい(笑))、この辺で少し小休止。水分補給していると、何かが発散されていくようで気持ちいい。地図を眺めてみると、大貝の集落が近い。集落まで歩くことにしようか(←乗れ)。

いやぁ、いい上り坂だぁ

なだらかな坂。でも、勾配は変わることなく一直線に上っている。この坂って、勾配は緩いけど距離は長いから、クルマでも意外とキツいかも。夏はともかく冬に凍結などしたりすると、登れない車が多発したことと思う。そんな道の傍らには、隠れるようにデリニエータがあった。そのデリニエータには「新潟県」の文字。それはここが県道や国道であったことの証拠。いつもの道標である標柱は見つからないものの、デリニエータはあったので良しとしよう。

右側を背の高い草に覆われ、左側を森に囲まれた旧道。なだらかな坂を上りきってやれやれと一息ついて前を見ると、勾配は更に緩やかになるものの、やはり上り坂が続いて大貝の集落を目指して進んでいる。この辺りは先ほどの道幅の広さから一転、三分のニほどになってしまっていて、どうもこの道は所々で道幅が広くなったり狭くなったりしているようでもある。もしかして局改の名残なんだろうか(←確証はない)。こんなことをあれこれと考えながら自転車を押して歩いていると…

おおっ大貝の集落だ!

谷への下りは自転車で降りて、一直線の道を気持ちよーく走った後は、延々と続くなだらかな坂を自転車を押して上がってきた。この旧道の道筋が昔の街道なのかどうかはわからないが、こうして歩くことで昔の旅人の心境が感じられようというもの。
坂を下りて上って、なかなかにしんどい道だっただけに、この大貝の集落に辿り着いたときは嬉しかった。私はここで旅籠に泊まる訳ではないが、ここに茶屋でもあったらすぐに入っていたと思う。

集落の中を通る道幅は狭く、生活と密着した道路になっているだけに、子供の飛び出しやスピードを出して通過するクルマなど、危険な要素はいくらでもある。道も、それぞれの時代に合わせて造り方をかえているんだなぁと改めて思った。

大貝の集落を過ぎると、すぐに三桶の集落。ここは最近のレポート(主要地方道56号小千谷大沢線、550号東谷塚野山線)でもちょいちょい名前が出てきた集落だ。そして、この旧道の終着点でもある。まずは大貝の集落を見てみよう。

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