一般国道403号
大貝トンネル旧道
第3部

2022年7月24日 探索 2023年2月20日 公開

路肩に残るガードワイヤー

廃道化した現道にどうやってアプローチするかなどと考えていた私は、ひとまず先へ進むことにした。まぁその時は橋脚の袂から斜面を登るしか無かろう(←まだ言ってる)。今、私が立っている場所は最初に現道の橋を眺めた場所から少し進んだ位置だが、ここの方が白倉大橋と大貝トンネルがよく見えるので、改めてこの現道の風景を眺めている。ここから見ると、白倉大橋の橋脚の袂には田圃が広がっているが、あの田圃のあたりが旧道が目指す谷の位置だろう。意を決して少し覗き込んでみたが…ひゃ~結構な高さがあるなぁ。

そこそこに傷んだ路面のアスファルトに、なぜか支柱から外されたガードワイヤーの束が路肩に置かれている。新潟県の豪雪地帯では、積雪時や除雪時の破損を防ぐために、この支柱自体が取り外せるように引き抜ける構造になっている道もあるが、ここはどうやら違うようで、支柱は路肩に固定されているようだ。となると、ここは意図的にワイヤーが外されているのか。ワイヤーと言う主を失った支柱の袂は豊かな苔で覆われていたりして、旧道らしい哀愁を誘う。その旧道は右に左にクネクネと曲がり、その先で左に大きく回り込むと・・・

出たっ!旧道ならではの
大きく回り込む急カーブ!

こんなカーブ、現代の道の造り方ではほとんどないと言ってもいい設計かもしれない。私がいる側から進むと下り勾配の右カーブになるが、なかなかハードなカーブで、凍結時は手前の直線で十分に速度を落としてからでないと、そのまま真っすぐ突っ込んでしまう可能性大。これは非常に危険なので、現道時代のこの区間は冬季通行止めになっていたのかもしれない。

路面の中央には真っすぐ走る一本の割れ目が見える。こういった割れ目は片側交互通行にして路面の片側ずつを舗装した場合に出来るもので、ここにセンターラインを引くことで舗装の繋ぎ目を隠せることから、この道も昔はここにセンターラインが引かれていたのかもしれない。見渡せば一目でカーブ全体を見ることが出来る風景、つい足を止めて眺めてしまった。

視線を急カーブから先へ進ませると、更にその先も視界に入れることが出来た。路面に近いところで眺めていると、さほど急ではない勾配のように見えるものの、実際はそうではなくて、かなり急な勾配が長く続く危ない坂であることがわかる。一年通してブレーキ不能やスリップも考えられるし、増して圧雪や凍結状態の路面になる冬には随分神経を使ったことと思う。

ところで、途中で分岐している道は農作業道で少しだけ進んで確認したが特に何もないようで、国道に戻り探索を続けることにしたが、この道と国道の間にある三角形の土地には、狭いながらも段々田圃があった。収穫の時季には小さいながらも金色の野に変わるんだろうな。

ひとつ前の画像に映っていた最後の左カーブを抜けると、こんな景色が待っていた。おそらくはこの辺りがこの旧道で一番低いところを走る区間だろう。この画像はカーブを抜けて少し進んでから撮影したが、この一直線の道を自転車で走っているときの気持ちよかったこと!。なんだかここだけものすごく道幅が広かったように見えるが、路肩に残るガードワイヤーの支柱を見ると、その道幅がわかる。今までの道幅と変わらない。それでも違うところと言えば、御覧の通りの広々とした開放感だろうか。いやぁ気持ちよかった。でも、日影がないので暑かったぞ(笑)。

開放感たっぷりの気持ちよさが味わえる区間が終わると、道は上りに転じる。その雰囲気からしてまた森の中に入っていきそうな感じだが、道の周囲に田圃が点在しているので人っ子一人通らない旧道という訳ではないらしい。道の雰囲気もそうだが、どことなく明るい印象を受けるのは、この道がまだ現役の道として活躍しているからなのだ。

…ということは行き来する車や農耕車がいるわけで、ガードワイヤーはちゃんと張っておいてもいいのになぁと思うのだが、どうだろう。
あ、でも田圃の脇の土手に生えた草を刈るときに、このガードワイヤーが意外と邪魔になるのかもしれないな。草に埋もれるとワイヤーだけに見えないもんね、これ。

なるほど。不自然な形で残っていても、そこには何か理由があるものだ。
これが正解かどうかわからないけど、勝手に納得して先へ進む。

ここから上り坂だなぁ…。
自転車、押して歩くか。

(だから痩せないんだってば)

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