新潟県主要地方道58号
小千谷大和線
一村尾トンネル旧道 第9部

2023年4月22日 探索 2023年9月12日 公開

思えば遠くへ来たもんだ

カーブを曲がって一直線かと思いきや、そうでもなかった。いきなり道幅は狭くなって、まるで未開通の県道の様相を呈している。おそらくは…右の山側の斜面が崩れてしまい、路面に土砂が堆積してしまったのだろうと思う。なもんで、このように人ひとりが通るのがやっとの道幅になってしまったのだ。その路面はちゃんとアスファルトが見えていて、ここが車道だったことを証明していた。路面は日陰であることも相まって、ややぬかるんでいて歩きにくい。自転車も連れているため歩きにくいのはなおさらだが、先ほどの雪を乗り越えてきたんだ。大丈夫、行こう。

難所を越えると、こんな感じ。視界が開けて道は一気に明るくなった。ここまで上がってくれば、隧道はもう目の前のはずだ。今日、後山トンネルの旧道に始まったこの探索は、もうすぐ終わりを迎える。それを祝福してくれているのか、これまであまり聞こえなかった小鳥の声がここにきて聞こえるようになって、道の雰囲気が賑やかになってくる。この道が現役だった頃も、春はこんな感じだったんだろうか。行き交う人たちの明るい表情が目に浮かぶ。

たぶん、これが本来の道幅だろう。このあたりが、この道の現役だった時代をよく残していると思う。広い道幅、日差しが降り注ぐ明るい道。でも、ここから見える、その先の風景が何にやらおかしい。斜面が崩れているような気がする…。

まさか、隧道が目前と言うのに斜面をトラバースか?!。それとも高巻きか?!。どちらにしても、そうなれば連れている相棒は、ここにお留守番と言うことになるだろうが…なぁに、心配ないさ。すぐに迎えに来てやる。一度通った道だ、すぐにたどり着ける。こういう状況と言うのに、それを楽しんでいる自分がいる。この先どうなるか、それはこのまま進んでみればわかるさ。だが、決まっていることが一つだけある。

ここまで来たんだ。必ず隧道まで辿り着く。

おお、こりゃ見事に崩れてるな。一見すると崩れた岩肌がまるで川のように見えるが…
こりゃ崩れた岩肌じゃないな。多分、沢を下りてきて土で汚れている雪だ。その証拠に、ところどころに白いものが見える。あれはたぶん雪の白さだと思うが、そうだとすると、ぐるっと円弧を描くように流れ落ちてくる雪の造形が、すごいの一言に尽きる。まるで氷河のようなこの雪は、やがて融けて信濃川に流れ込み、それが海へと注がれ、海の豊かさに貢献していることを思うと(代り映えしない、かつ語彙力がない表現だが)自然ってすごい!ってことだ(笑)

ポツポツと歩いて、その全容を確認してみる。なるほど、やはりこれも雪だったか。
立ち止まって眺めてみると、ここの本来の道形は緩い左カーブで、そうみると崩れ落ちている場所はなさそうだ。と言うことは、トラバースも高巻きもしなくていいってことだ。それはそれで嬉しいが、少し残念でもあったのは言うまでもない。
てことは…進路を塞いでいるこの雪を乗り越えることが出来れば、あとは大丈夫ってことだ。もちろん、路盤全体が崩れていたり、路肩崩落には気をつけなくてはいけないが、完抜の確率は非常に高くなった。ゴールは近い。

思えば遠くへ来たもんだ~

これがわかる人は、私と同じ年代以上の人と思う。…いかん、歳がバレてしまうじゃないか(←なにを今さら(笑))。これまで通ってきた道を振り返って眺めてみる。山側が崩れて道幅が狭くなっていたり、ぬかるんでいたり、雪が行く手を阻んでいたり、思い返せばここまでの道もいろいろ変化が富んでいて、実に楽しい道だった。その中でもやはり特筆ものは、地元の方にお会いしていろいろお話させていただいたことだろう。後山峠の旧道に始まり、その他にもいろいろお話を伺わせて頂いた。この場をお借りして…その節はありがとうございました!。

とは言うものの、まだこの探索は終わってない。
いよいよ大詰め。

次回、ラスボス登場!

第10部へ