新潟県主要地方道58号
小千谷大和線
一村尾トンネル旧道 第4部

2023年4月22日 探索 2023年8月23日 公開

白い壁と白崩れ

巨大な壁の前を通って予定通り日陰で休息した私は、また探索に出発だ。すっかり温くなってしまった麦茶に、個包装の梅干しの組み合わせは暑い時季の探索には絶品だ。ま、皆さんご想像の通り、これで麦茶が冷たけりゃ最高なんだが…(笑)

ところで、この画像は休憩して少し進んだ地点のものだ。御覧の通り、左側は見事な谷になっていて、この旧道はまるで斜面にへばりつくようにして通している、ということがよくわかるだろう。この谷を造ったであろう川は、ここではまだ名前がない沢の状態で、これから下流に向かうと「天神川」と名前が付き、最終的に南魚沼市で魚野川に注いでいる。きっと私たちには計り知れないほど長い年月をかけて、この谷を造ってきたのだろうと思うと、畏敬の念を感じずにはいられない。

と言うことで、私が覗き込んでいたのはこんなところだ。道幅は一層せまくなり、その狭い理由も実は現道の擁壁のせいじゃない。この付近は元々が狭かったと思われ、その道幅はおよそ車1台分といったところか。ここでも道の中央に、ひと一人が通れるくらいの踏み分け道が延々と続いている。路肩にはガードワイヤーが設置されて歩行者の転落を防止しているが、そのワイヤーは弛みきっていて実に頼りない(笑)。

私の足元から谷を覗き込んでみると、こんな感じだ。お気づきだと思うが、ここは路肩が一部崩れてしまい、アスファルトがなくなってしまっている。残っている白線の跡のところから斜面が谷へ滑り落ちてしまったようで、その時に一緒に崩れてしまったようだ。
この画像は、まだ足場がしっかりしているところから上体を乗り出し、さらにズームレンズで撮影したものだ。でないと怖くて撮れやしない。この様子だと、滑り落ちたところはたぶんアスファルトが浮いているだろうし、下手をすると谷に真っ逆さまということになる。旧道探索は楽しい部分もあるが、周囲に気を配りつつ進まないと危険でもある。これは注意を必要とする一例だろう。…それにしても高いなぁ(汗)

ちょいと振り返って谷を写してみる。そこに写っていたのは、4月の後半であっても融けずに残る雪。手前には探索におなじみの「ワイヤーが無くなったガードワイヤーの支柱」も見える。でも、足元に見える草は春を迎えて鮮やかな緑を見せてくれているし、他にもいろんなところで春を感じさせてくれているのが嬉しい。ここは豪雪地帯、冬に地面に降り積もった大量の雪はこうして川となり、いろんな水が混ざり合って山の栄養を海に注ぎ込んでいるのだ。

しかし、それにしても…まぁよくもこんなところに道を通したもんだ。こんなところの斜面に張り付くようにして造られた道、通すのに非常に苦労したんだろうなと思う。ここをバスが通っていたとは信じられないが…国道17号の二居旧道の白崩れの桟橋の例もあるから、こうしたところをバスが通っていた例は、昔は結構あったのかもしれない。

先へ進むと現れたのは、またまた山側の擁壁。手前は年季が入った擁壁だが、その奥はまだ新しく、白いコンクリートが旧道の雰囲気には不釣り合いなほど眩しく感じる。ここから見える旧道の姿は、まるでどこかの家の裏庭の道のように感じるが、ちゃんと旧道であることは間違いない。よく見てみると、手前の古めの擁壁の先に擁壁の上から続く道があるようで、斜めに下りていく道路の路肩に設置されているガードロープの姿が見える。こりゃもう一つの現道からの合流点があるのか?。

ところで、ここは休むのに適した日影がある。日差しもだんだん強くなってきて、汗もかきまくりな上に日焼けしてしまったようで、顔が痛い。さっき休憩したばかりだが、ここで少し休もうか。現道が上にあるようだから、ここはクマも来ない確率が高いだろうし(嘘)。…これだけ汗をかいてるんだ、少し瘦せただろうか(笑)。

自転車を停めて、ペットボトルのお茶を飲みながら周辺をウロウロしてみる。
前の画像に見えていた、斜めに下りていく道のようなものはやはり現道に接続する道で、この部分の擁壁の古さからすると、旧道が現役だったころの林道か何かの接続点かとも思ったが…林道がこんな感じで接続するかな?と考えた。林道は作業道、その道の性格や目的を考えると、こんな感じで作業道を接続すると、たぶん非常に使いにくい道になるだろう。となると、現道を造るときの作業道の名残じゃなかろうか?…などと、こうした道の姿を眺めながらお茶を飲みつつ、あれこれ考えていると非常に楽しい。それは普段の生活の中では得られない、満ち足りた時間でもある。

さて。日影でクールダウンもしたし、先へ進もうか。

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