新潟県主要地方道58号
小千谷大和線
一村尾トンネル旧道 第8部
2023年4月22日 探索 2023年9月8日 公開
出会って別れて
現れましたぜ、雪の山。
いつこれが現れるかと思っていたが、ようやく…という気持ちなので、この雪山があること自体には驚いてないのだが、問題はその量だ。ちっとばかり多すぎるようで、山側の路肩に至ってはメートル単位で積もっている。さーて、どうやって乗り越えようか。
今、考えているのはやはり左側の路肩に沿って進んでいくことだ。ここが一番積雪が少なそうだし。断わっておくが、私一人が単身で歩いているなら、ここを乗り越えていくのはそんなに難しいことじゃない。だが、今は相棒を連れて歩いている。ここまで一緒に来たので、やはり一緒に乗り越えて、一緒にあの「青之洞門」をくぐりたい。
一緒に雪を乗り越えているの図。ザラメ状の雪は意外に柔らかく、雪の上にはふりかけのように土がかぶさっている。この柔らかいザラメ状の雪のせいで、押して通るにも(もとより、押して通り抜けるしかないが)タイヤが雪に取られてしまい、力業で乗り越えるしかない。幸いと言うべきか、この自転車はタイヤがブロックパターンなので、普通のタイヤに比べて雪を噛みやすく、上って行きやすいのが救いだ。ただねぇ…この子は私みたいに筋肉質なもんだから、普通の自転車に比べて重いのよね(違う)。
ところで、休憩をしながら上がっていると、地元の方お二人に出会った。高齢の女性と、私よりもお若い男性の方で、親子とお見受けしたこの方々。お互いに挨拶したあと、私が趣味でこの道を辿っていることや新潟市から来たことを話すと、女性は「新潟から来たの?!」と大変驚いておられた。
思えば、ここから新潟市はおよそ200キロ近く離れている。同じ新潟県なのだが、まるで違う県の町のように思えるのかもしれない。その後も私の趣味のことなどいろいろ話していると、男性の御職業は建設業の方で、お二人とも一村尾に在住とのことであったが、気になることを言われた。
「そういえば、この道の旧道にはもう行かれましたか?」
この道の旧道?!。てことは、旧旧道ってことか?!。
その後も更に伺うと、この峠道にはもう一つ旧道があって、毎年雪が無くなるこの時季になると一村尾の集落と後山の集落の双方から草刈りを始めて、真ん中で出会ったらそこで「じゃあ」と言って終わると言うことだった。
草刈りしながら双方から山道を上がってきて、出会ったら「じゃあ」って言って別れるってのも想像するとなかなかシュールで面白く、その後も事あるごとにその光景が思い返されて大いにツボってしまったのはナイショだが(笑)、その道を一村尾の方から辿っていくと最終的に後山小学校の付近に出ると言うことを教えて頂いた。その分岐点は、現道を下っていく途中にあると言うことだったので、帰路にでも確認したい。
非常に楽しい時間を過ごさせて頂いたお二人に感謝しながら別れ、青之洞門(後山隧道)を目指す。路面はこんな感じでやや通りやすくなり、周囲の景色を見れるほどには余裕が生まれてきた。後山峠からの眺めも絶景だったが、ここからの眺めも美しい。
少し広くなったところに自転車を停めて、ヘルメットを脱いでリュックを下ろして、温くなった麦茶を飲みながら、雪と格闘して汗をかいた顔をタオルで拭って大きく息をつくと、心が気持ちいい。
歩いて登った後山峠の旧旧道に比べて、この道はそれよりも安全に通れた道。それでもこれだけ急な坂道、これだけの雪。現道は無雪道路として設計されただけに、冬でも安心して通行することが出来る。やっぱり道って…大事だよね。
そしておそらくこの下が、あの玉石積みの大擁壁の真上あたりだろう。雪が積もっていて、更に高いところが苦手な私は谷側を覗き込むことは出来なかったが、擁壁の上にいることは間違いない。これだけの雪が積もっても、あの擁壁は耐えているのだ。
休憩を終えて上がって行くと、道にはすっかり雪はなくなった。路面全体に日光が降り注いでいるからだろう。やはり太陽の光は偉大なのだ。その路面にはアスファルトが見えていて、この道が確かに小川氏(新潟県主要地方道59号大和焼野線後山トンネル旧道第15部を参照)が切り開いた道であることを教えてくれている。カーブの先には、ミラーが無くなったカーブミラーの支柱が取り残されている。道の雰囲気的に、あの「青之洞門(後山隧道)」は近い気がしていて、多分このカーブを曲がれば、あとは一直線に近い形でたどり着くだろう。楽しみでワクワクする。
道幅は普通車1台分と少しと言ったところか。このカーブを曲がるには、やや狭い気がする。これで対向車でも来た日にはここをバックするか何かしなくてはならず、ガードレールもガードワイヤーもないカーブでは怖くて出来たもんじゃない。バスなんか、どうしていたんだろうと言う気がするのだが…。せめてこの辺で「警笛鳴らせ」の標識でもあればと言う気がする。おまけに残っていてくれたりすると、私としては、なお嬉しい(ちなみにこの付近を一応探してみたが、見当たらなかった←探したんかい(笑))。
次回、隧道に向けて一直線…か?!