新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第12部
2022年9月17日 探索 2022年12月26日 公開
道か、溝か、切通しか
少しだけ草生した路盤を越えて先へ進んでいくと、山中にこっそりと潜んだ浅い切通しが現れた(はたしてこれを切通しと言っていいのかどうかは、この際おいておこう)。その深さは高くはないものの、どことなく歴史を感じさせてくれるような立派なものだ。東谷と塚野谷の間に存在する小さい山の中に、こんなに気持ちよくて立派な道があるとは実に意外だった(そもそも東谷側の県道の分岐点だって、道路台帳がなければわからなかった。何かの冗談かと思ったくらいだから(笑))。「道」を辿っていくこの探索は当分やめられそうにない。
…と、前方を見ると、またまた道の両側にスノーポールが。どうやら本来の道幅はこのスノーポールの間の空間と言うことらしい。車はもちろん、人が通行することもあまりなさそうな小さな山中で県道の道幅を示しつづけるスノーポール。健気なヤツだ。
通り過ぎながらポールを確認してみる。やはりその幅は2メートルほどで、道幅を示しているようだ。冬季に通行する人々のために設置してあるのかとも考えてみたが、そもそもこの区間は冬季通行止めになるのでいらないのではとも思う。となると、やはり標柱としか考えられない。…こんなポールの使い方、初めて見たぞ。
ところで、この小さい山の中で峠が二つもあるのもまた珍しいが、ここは小さい峠だったらしくここから下り坂になっている。おそらくは塚野山側の分岐点に出るまで、ずっと下り坂だろう。知らんけど(笑)。
ここも道の部分だけ掘られていて、左側の崖の上の斜面と、右側の斜面を注意深く遠くから俯瞰的に眺めてみると、その斜面の角度が一致する。どうやら、ここは斜面をわざわざ掘り下げて道を通したらしい。人力で道を切り拓いたにしては綺麗すぎるような気もしなくもないが、東谷側の分岐点はどう見ても車や工作機械が入れるような道幅ではないので、これらの機械が入ったのなら、塚野山側からと言うことになるが…。
未だ、車(自動車)の通行が叶わぬ道。過去には荷車や自転車などの車は入ったのだろうか。これまでこの道を通ってきて、確かにこの道幅と勾配なら荷車や自転車などは通れただろう。あるいはオート三輪(こう書くと聞きなれない方もいらっしゃると思うが、早い話が初代ミゼット(Wikipedia、ダイハツミゼットのページにリンクしています)のような三輪の軽貨物車のこと)なら通行できたかもしれない。あれは小回りが利くから。
こんな道をオート三輪が走っていたら…想像するだけでも楽しい。
オート三輪が走っていたら。そんな風景に想いを馳せながら歩いていくと、道はやがて左カーブへ差し掛かる。道幅が狭いもんだから、道と言うよりも「溝」みたいな気がするが、ここは間違いなく県道550号だ。おまけに結構急な下り勾配で、普通に歩いていても自然と早足になってしまうくらいと言えば、わかっていただけるかもしれない。未舗装の路面はしっかりと固く、ひとたび大雨なんか降ろうものなら下り勾配と相まって、ここは川になってしまうのかも?と思ってしまう。
まるで溝のような左カーブを抜けると道幅は少し広くなって、溝と言う状況は脱した。ここなら「道」と言っても疑問には思わないだろう(笑)。租変わらず、きれいに切り通されたみちが続く。この道全体に言えることだが、非常に空が明るいのは探索する気分も明るくなって非常に助かる。探索している道の周りが鬱蒼として暗かったりすると、身近なその辺からクマでもヌッと出てきそうで、どうも落ち着かないのだ(それでも探索すんだけどね)。その点、この道はいい。
クマ避けに歌でも歌いながら進んでいこうか。…いや、周りの木々が枯れるといけないので、やめておくか(笑)。
更に下っていくと辺りが開けて、陽射しが豊かに降り注いでいて気持ちいい空間に出る。路肩には相変わらずの標柱代わりのスノーポールの姿も見えて、私もこの道にだんだん慣れてきてしまっているようだ。左側の山側の斜面にも雑木が生い茂るようになり、廃道や旧道などでよく見かける、いわゆる「横殴りの木」が生えていて、その下をくぐるように進んでいく。左の斜面もそうだが、足元の下草もこの豊かな陽射しのせいかスクスクと成長なさっており、ガサゴソと草を掻き分けながら進む状態になってきた。
そんなに長くはないと思われたこの探索も、なかなかに楽しみながら終盤に差し掛かる。塚野山側の分岐点に出るまでもう少し。…はいいのだが、最終盤は地形図の等高線を無視して下っていくかのような感じに見えるのだが…