新潟県一般県道550号
東谷塚野山線 未開通区間
第1部

2022年9月17日 探索 2022年11月12日 公開

右か左か。


県道550号東谷塚野山線 1550-004 新潟県オープンデータ利用規約
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これはなかなか楽しめそうだと言うことで、顔のニヤけが止まらないまま探索を始めようとしているものの、問題はどちらの道へ進むかと言うことだ。手元の地理院地図と一緒に持ってきた新潟県発行の道路台帳(チェンジ後の画像が道路台帳だ)を見ると、県道は進行方向に対して右に直角に分岐、そのあとすぐに半径7mの左カーブになっている。ここから見る道の状態は、右も左もさほど変わらないような気もするが、よく見てみると左の道の方が幾分手が入っていそうだ(もちろん確たる証拠はなく、あくまでも直感だが)。
ここは自分を信じてみることにしようか。

左の道へ行こう。

さて、その左の道に突入だ。その入口こそ緑鮮やかな草に覆われていて、一目見ただけではここに道があるとは思えないが、少し立ち入って奥を覗き込むと、その先は杉の並木に守られた登山道のようになっていて山の奥へと進んでいた。何も事前情報もなくて「これが県道」と言われたら、およそ「そうだ」とは俄かに信じがたいほどなのだが、道路台帳や地図上で指示している道はこれしかない。
ちなみに右の道も覗き込んでみたが、奥へ進むと住宅の敷地になるようなので、それ以上立ち入ることは遠慮した。地図上でも、この右の道の先には建物の記号があることから、私道であることは間違いないようだから、私が進むべき県道は左の道で間違いないだろう。

おー!これはいい!

太い杉の木に守られて進む県道。その幅はおよそ2mくらいだろうか。こんなとき、いつもならポケットにメジャーを忍ばせておいて、それが役に立ったりするのだが、今日に限って持ってない。2mと言うのはおよそ目算での数値だが「なるほど、こりゃ破線標記になるだろうな」と言うくらいの狭さだった。その雰囲気は登山道か作業道そのもので、知らなけりゃこれが県道とはまず誰も思わないだろう・・・などとあれこれ思っているそんな私の足元に、動物のフンを見つけた(踏んではいない)。そのフンには、消化不良のどんぐりなどの木の実がたくさん入っていて、おそらくはサルのようだが・・・。山に動物がいるのは当たり前で、ここにもきっといるだろう。一気に緊張感が増して、辺りを伺いながら慎重に進んでいくことにする。

まるで地図上の等高線をなぞっているかのように回り込んで、民家の敷地をかすめながら進んでいく県道。この道が県道だよと示すものは何もないが、探索者の勘と言うのか、そんなものが「正しい方に進んでいる。これが県道だ」とさっきから教えてくれていた。でも、これで標柱とかデリニエータでもあると、一気に気分が盛り上がるんだけどなぁ・・・と思いつつ進んでいると、道の右の斜面に祠らしきものを見つけた。そこには立派なコンクリート製の階段が造られている。この道を守り続けてきた地蔵様か何かだろうか。見てみよう。

彫り込まれている文字がなかなか細かくもあり、またやや暗くて見えにくいものの、近づいて確認してみると祭ってあるのは庚申塔だった(庚申塔(こうしんとう)に関してはコチラ)。この庚申塔は主に街道沿いにあったり、村の境目に建立されたりしたが、現存しているものはもともと交通量がさほどない「街道沿い」にあったものが残っていたりする。この庚申塔もおそらくそういったものだと思う。ここが街道だったかどうかと言うことに関しては、最後の机上調査に任せるとして、今は私もこの道を探索する身。深く首を下げて無事を祈った。

毎度のようにと言うべきか、こういった道にありがちなのが「路肩を保護する施設が何もない」。ここでも例外なくそうだった。未改良なのはわかる。なもんで、おのずと未舗装なのもわかる。もちろん車道ではないので、ガードレールも設置されないだろう。でも、デリニエータ(積水樹脂株式会社様のWEBが開きます)の一つくらいあってもいいんじゃないか?(笑)。

その道の様子は、いかにも「道を造るために切り取りました」と言った感じのもの。もちろん、路盤が安定していることから造られたのは近年ではなく、遥か昔の話であることはわかるが、ホントに多くの旅人が行き交う街道だったのかしら?と、疑わしくなってくる。でも、下草はキッチリと刈られていて非常に歩きやすい。こういう道は放っておくと、あっという間にヤブになって通れなくなるはずで、この道の状態からすると、おそらく東谷集落の方々が定期的に手を入れられているのだろう。地元の方々にとても愛されている道なんだなぁと、感じることが出来た。

とまぁ、なんのかんのと文句を言っているが、探索を楽しんでいることは間違いない。この先が楽しみだ。
ひとまず、この道から足を踏み外すことがないように、慎重に進んで行かないと(笑)

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