新潟県一般県道546号
駒込北潟線 第7部
2019年9月18日 探索・2020年10月29日 公開
北潟を目指して
山頂に近い稜線を、まるで蟻の門渡り(ありのとわたり)のように進んでいたこの県道、ここからは若干下り坂になって麓の北潟を目指していく。山中をヒョロヒョロ走る道にはあまり見ない竹藪がある。ここから少し距離はあるが、長岡の沖見峠も峠付近に竹藪があって、そこには伸びすぎたタケノコがそのまま放置してあった。
余談だが、私の知人(村上市在住)の自宅の庭にも竹が生えていて、時季になるとそこからタケノコがニョキニョキと生えてくるのだが、それがあまり多すぎるとすべては採取せず、それ以上竹林が広がるのを防ぐために生えてきたタケノコをわざと折って処分することもあるそうだ。この竹林も地元の方々の手が入っているとみられ、竹林には枯れた竹などは見られなかった。
緩やかな弧を描いて回り込んでいる道を少し進むと、竹林の中に杉が見えるようになってきた。こうして道をただ走っているだけのように見られるかもしれないが、周りの木々の生え方などを気にしながら通っていると、なかなか面白いものがある。ここでは左側の路肩にちょびっと生えている杉だが、見ると下枝が刈られることもなく自然のままに生えていて、植林されたものではなさそうだ。
相変わらず、道は緩やかな勾配と幾度かのつづら折りを経ながら、麓の北潟目指して進んでいく。このような線形はやっぱり車道の線形で、古くは荷車を引いた牛や馬が辿ったことと思う。こうしてみると道幅もそこそこに広くなってきたように見えるが、とは言えまだ対面通行できるほどの幅ではなく、離合場所もさほどなさそうなので、通行には注意が必要だ。
この道は今まで、峠道にしてはさほど急なカーブはなかったが、ここは画像ではわかりにくいかもしれないが、かなり急な勾配で下っていて、しかも180度回り込んでいる。とは言うものの、沖見峠の急カーブよりは遥かにマシだ。沖見峠はヘアピン中のヘアピンと言えるほどの急カーブが連続していた。それから比べれば可愛いものだ(もっとも、沖見峠の旧道は未開通区間の扱いで、あそこを車で通るには軽自動車でないと通れないくらいの狭さだが)。
急カーブを回り込むと…おや?舗装が途中から違う。どうやらカーブの部分は近年に改修を受けた部分のようで、道幅が拡げられたかで舗装し直された区間のようだ。その先にはいかにも古そうな、ダブルトラックが刻まれた舗装が続いている。この付近は道の周りを杉に囲まれてしまい、暗くて鬱蒼としている。針葉樹の林の典型的な例と言えるかも。これが広葉樹が茂る林と言うことになると、こうなる。
この画像、いかにも未舗装県道のように見えるが、これは2019年7月5日に探索を行った国道49号旧道鳥井峠の画像だ。ここでも途中には杉林があったが、山全体がキチンと管理されていて、そこを貫いている道も非常に明るい印象を受けた。どことなく穏やかな印象を受けるのは気のせいか。
駒込北潟線の画像に戻ろう。ここなどは切り通しだが、斜面の高さが低いように感じる。これは道の傾斜を緩やかにするために、低いながらも切り通しで牛車や馬車が通りやすくしたものと勝手に推察してみた。そう考えると道の傾斜は確かに緩やかで、これなら荷物を満載した荷車も峠を楽に峠を越えられただろう。往時の風景が見えてくるようだ。
ここから北潟までは、あと少し。蟻の門渡りのような稜線を通る県道も、もうすぐゴールを迎える。近年まで未舗装県道だった道はすっかり舗装されていたが、その面影はいまだにしっかり残っていた。名残惜しいが、北潟まで楽しみながら進んでいこう。