新潟県主要地方道52号
山北関川線
日本国トンネル旧道 第2部
2021年10月23日 探索 2021年12月23日 公開
草に埋もれてしまってはいるものの、小俣川沿いを進む旧道の姿は地図上から抹消されてもいまだに健在。路肩にはデリニエータも残っているし、その先に見える黄色い菱餅(警戒標識)は落石注意じゃないか?。足元に生い茂っている草は見た目よりさほど深くなく、余裕で進んでいける深さなのがありがたい。それに(これは現地でしか味わえないが)小俣川の流れの音とこの景色が相まって、歩いていると実に気持ちいい。
落石注意の警戒標識の場所まで進んでくる。よくよく見ると足元には一条の踏み分け道があるじゃないか。もしかして獣道?!・・・じゃないよね。ここまで来ると道幅は1車線に狭まってしまい、なるほど狭い。それに落石注意の標識をよく見ると、下に補助標識があり、そこには「雪崩注意」の文字が。落石注意に雪崩注意、要はこの辺りは崩れやすかったし雪崩が多かったと言うことで二つのトンネルを新しく掘り、危険個所をパスしたと言うことだろう。
いつも思うことなのだが、そうした場合に旧道はハイキングコースとかにならないかなぁと思うのだ。そう、国道113号の横根トンネル旧道のように。
辺りにクマがいないかとか、常に周りに注意を払ってはいるものの、こんな美しい景色を堪能しながら廃道を探索していくというのは、この趣味ならではのものじゃないかと時々思うことがある。ここにどんな交通があったのか、雪の季節にはどんな風景があったのか。そうした想像は膨らみ、時としてその風景が目前に現れたかのように錯覚することもある。大雪の中、この廃道の先にある雷集落から大きな身体を揺らしながらゆっくりとやってくる、ボンネットバスの姿が見えるようだ。そうした道を守るために、山側の法面には金属製の青いネットの姿が見える。法面が崩れないようにと施工されたものだろうが、その役目はこうして交通が途絶えた今でも、立派に役目を果たしている。
ふと左側を見てみると、小俣川の清らかで激しい流れが流水の心地いい音を奏でて、その豊かな水を流していた。この道が現役だったころはこういった美しい景色を横目に通ることが出来たのかと思うと、ある意味で羨ましく思う(だが、その代わりに落石と雪崩に悩まされる、まさしく「災害県道」だったわけだが…)。自然豊かな道は、どうしても災害と隣り合わせになる。今のところはこの道は崖崩れなど起きてないようだが、これから先起きないとも限らない。国道113号八ツ口旧道ではないが、こういった美しい道は、どうか無事で残っていてほしいものだが…。
右側に見える山側の法面と、右側の川側の路肩までの幅を見ると非常に狭い。左側の路肩が落ちたのか。だが、それにしては「新潟県」の文字が入ったデリニエータが見える。どうやら現役時代にもここだけ極端に道幅が狭くなっていたのかもしれない。
こうして地図から失われた道を歩いているけど、気分は実に気持ちいい。道形は御覧のようにしっかりと残っているし、人が通った形跡は今のところないので、この景色もこの道も、隣を流れる小俣川の流れも音も、すべて独り占めだ。それは普段は体験できないものであり、自ら探していくことで、自分なりのお気に入りの景色を発見した時の喜びは何倍にもなる。ある意味で危険と隣り合わせだし自分との戦いであり、それは自己責任と言う厳しい部分もあるが、それでもやめられないのは、探索をしているその時だけ本来の自分を取り戻せるからなのかもしれない。
う~ん・・・
どうでもいい屁理屈はともかく(笑)、先ほどの画像の一番狭いところを通り抜けて先へ進んで撮影したのがこの画像だ。右路肩の法面と左路肩の崖までの幅を見てみると非常に狭い。こんなところをバスが走っていたんだろうか?。それにしては、どーも道幅が狭すぎるような気がするのだが(もちろん、これには崩れたりした場合の自然的要因も含む)。先には沢のような流れも見えるし、実に自然豊かな廃道だ。正直言ってこの廃道・・・
気に入った!(笑)
この旧道は、これからも何か事あるごとに訪れるような、そんな気がする。
こうして新潟県内の旧道や廃道を巡っている私だが、実は「もう一度訪れようかな」と思わせてくれるところは、実は2~3カ所しかない。ここがその一カ所に認定だ!(そんなに大したものじゃないが)。そうと決まったら堪能しなくては。先へ進もう(笑)。
いや、せめーな!(笑)
ここにきて、多少足元のヤブが深くなってきた。もっとも、私は今回もあの最強のアイテムである「長靴」を履いているので、怖いものなしだ。右側の斜面は吹き付けコンクリートでガッチリと保護されていて、どうやらここが落石が多いことを物語っているかのようだ。ヘルメットは被っているものの、十分に用心することに越したことはない。
通行止めの原因となった700m先までは、まだまだ先。
そこに何があるのか、今から楽しみだ。