新潟県主要地方道52号
山北関川線
日本国トンネル旧道 第6部

2021年10月23日 探索 2022年1月8日 公開

カーブミラーを過ぎて、切れそうなほど鋭い石が転がっている区間はさほど長くなく、すぐにこのような平和な旧道の風景が広がる。前方の路肩にはガードレールも見え、道幅はここで2車線位だろうか。普通車が十分にすれ違えるほどの十分な幅がある。ここを抜けると、また少し路面の草が深くなるようだ。路面を見ていると、右側に少し黒くなった部分が見えるが、あれは何だろう?。

近づいて確認すると、その正体がわかった。アスファルトだ。
どうやらこの旧道、廃止された時点でアスファルトで全面舗装されていたらしく、その上に木の葉などが降り積もり、土が覆って草が生えるまでにはなっているものの、この路面のアスファルトのおかげで灌木が茂るところまでは時間がかかっているようだ。この路面の草の少なさは、探索する上で非常に助かる。

ひとしきり路面のアスファルトで喜んだあと(笑)、何気なく右を見るとこのような沢が山側にあった。今でこそ流量は少ないが、雪解けの頃には大量の雪解け水がこの沢を伝って小俣川に流れ込んでいると思われる。
道の脇に沢があると言うことは、崩れた土砂や岩石などが路面に転がってくる、あるいは土砂崩れが発生したりと言うことが予想されるから、やはり災害と隣り合わせの道だったようだ。ここが通行止めになると、これより先の集落(小俣、大代、雷)の行き来が途絶えてしまうことになるので、主要地方道に格上げして無雪道路化したのかもしれない。

路面の草がまた少し深くなってきた。だが、「掻き分ける」と言うほどのものではなく、おおよそ膝までの深さくらいだろうか。ヤブ漕ぎと言うものではなく、単純に散歩しているような感じだ。思わず「草刈り機を持ってきて刈りまくったら、ものすごく気持ちいいだろうな」と、ふと思ってしまった。ところで、草を刈るのはともかく、ここより前方が草が深くなってないか?・・・

おおっ!これまでで最高!

・・・の草の量だ(笑)。これはもうヤブと言っていいかもしれない。ここまで高くなると両手で掻き分けて進まなくてはならず、首から下げたカメラに草が当たる。バッグの中にしまった方がいいだろうか。
ちなみに今回の探索も草藪に突っ込むことがあるかもしれないと思い、防滴(防水ではない)・防塵のD300をメイン機にしたが、正解だった。

ところで、この草藪は第5部の冒頭でお話した廃道化のプロセスの第2段階、灌木がニョキニョキと育って林が出来上がる途中みたいだ。これがもう数年もすると、もしかすると通れなくなっているかもしれない。早めに出会えて良かったと感謝した(←誰に?)。

このヤブは長く続くだろうなと思っていたら、長さ自体はそうでもなく10mほどでヤブが無くなり、またこのような道に戻る。どうやらこの道はところどころにヤブが出現する、実に心憎い道のようだ。そのたびに「前に進もう」と言う気にさせてくれる。左側の、やや草に埋もれつつあるガードレールも非常にいい感じだ。やっぱりこの道、楽しくて仕方ない。

またまた道幅が狭くなり、垂直な壁が右側に迫る険しい道になった。左側に見える黄色と赤のポールは雪国によく見られるもので(雪が多い地域にお住いの方はご存じと思うが)、冬になると路肩に立てられる積雪深を測る棒だ。
通常は冬が近くなると立てられ、終わると外されるものなのだが、たまに立てられたままになっているところもあるのだ。この棒も、おそらくは外すのを忘れられたのだろう。おかげで彼はほとんど交通量がないこの廃道で、誰に知らせるまでもない積雪深を冬になると測り続け、一生を終えるのだ。

ここまで来てあることに気づいた。耳を澄ますと、たまに車の走行音が聞こえる。と言うことは・・・?。
現道が近いってことか?。と思って前方を見ると、お気づきだろうか。左側に小さく小俣川が写り込んでいるが、その上に橋桁のようなものが見えるじゃないか。どうやら、あと少しで現道に合流らしい。名残惜しいなぁ。

・・・ちょっと待て。入口のところに立っていた、あの標識。700m先通行止めとあったが、それらしきところはなかったぞ。ここまでおおよそ・・・600mってところか。仮にここから100m先と言うと・・・現道を越えるぞ。まだまだ続くの?

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