新潟県主要地方道52号
山北関川線
日本国トンネル旧道 第4部

2021年10月23日 探索 2021年12月31日 公開

目の前に立ちはだかった岩を観察しながら、少し先へ進んでみる。正面にはやはり大岩が川側にせり出していて、旧道はその岩と小俣川の間の狭い平地を縫って進んでいる。道幅はさほど変わらないように見えるが、その手前の左側の路肩の一部が崩れてしまっているようだ。ここまで山側の斜面が崩れているところはいくつかあったが、川側の路肩が崩れているのは初めてだ。注意しながら近づいていく。

崩れているところを目の当たりにすると、ガードロープが落ちているのが見えた。路肩が滑って落ちたガードロープは自らの重量と、一緒に落ちると言う運命を共にした支柱の重量で、ガードロープには弛みはない。落ちないように必死に耐えるガードロープの下に見えるのは、小俣川の美しい流れ。この川は今は穏やかな流れだが、大雨で増水したら暴れ川になるのかも。とすると、この道は落石に加えて路肩崩壊と言う危険もあった。だからこそ、新道のトンネルが必要になったのだ。

崩れた路肩の場所を注意深く進み、せり出した岩のところまでやってきた。遠くから見えていた、せり出した岩には崩壊防止のネットが掛けられ、岩肌が崩れるのを防いでいる。道幅も狭くなり、軽自動車がすれ違うのがやっとと言ったところか。だが「廃」の香りがプンプン匂うこの道の風景は素晴らしい。それに、ここにも先の方に黄色の警戒標識が。ん~と、あれも落石注意か?。

標識の近くまで来ると道幅は更に狭くなり、ここから先は車1台ほどの幅と言った方がわかりやすいだろうか。ここもある意味では「右直角、左直角」の場所だが、旧道の道幅がそこそこに広いのであまり迫った迫力と実感はない。少し濃くなった足元の草を踏みしめて、一歩一歩確実に進んでいく。ヘビなんかに咬まれちゃ大変だもんね。

小俣川沿いに緩やかなカーブを描いて進む、これまでより一段と狭くなった旧道。ここにも落石注意の警戒標識があるが、こちら向きには標識があるものの、反対側の向きには最初の一カ所だけしかない。外されてしまったのか、それとも最初からないのか。旧道を巡っていると、こうした設置されている標識の不思議にもたまに遭遇する。本来なら両方の向きに設置されていて然るべきなのに、片方しかないと言うのは、どういうことなんだろう?。こんなところで一方通行?そんなことないか(笑)。
ところで、山側の垂直な壁の下が妙に膨らんでいることに気づいた。この壁は落石防止ネットが掛けられているが、もしかすると・・・

やっぱり!

いや~、思った通りだ。落石防止ネットに落石が溜まって変形している。どうやら、この辺りの山々の地質は崩れやすく、おまけに崩れた断面がナイフのように鋭い割れ方になる地質のようだ。こんな石にクルマのタイヤが触れてしまえば、当たり方によってはすぐにパンクしてしまう。その身を挺して道路を落石から守る、落石防止ネットに感謝だ。

落石の山場を越えて、更に先へ進む。この旧道が現道に合流するのは、まだ少し先のようだ。それまでじっくりと楽しむことにしよう。ところで足元のヤブは更に深くなってくるが、まだ進むのに難儀するほどではない。そういえば探索を始めてからまだ休憩をしていないことだし、持参したルイボスティー(カフェインが入っていないので、トイレが近くなりにくいのだ)で一息入れることにして辺りを見回すと、周りの木々の葉が少し色づいてきているように思える(画像ではわかりにくいが)。真冬にはここも雪で埋もれてしまうだろう。真っ白なこの道に黄色の警戒標識は目立つし、似合うだろうなぁ。

ルイボスティーで一息入れて元気になって進みだすと、すぐにこれだ。目の前に倒木。これ、倒木はいいが、それに蔦や灌木が絡みついて、訳のわからない様相になってしまっているじゃないか。でもまぁこれなら中央右側の、少し空いたところを通れば(足の短い私でも)難なく越えられそうだ。それに何故かこの旧道はかなり前に廃道化したはずなのに、往時の道形をしっかり保っていて道筋を追うのが非常に楽だし、そのお陰で小俣川沿いの美しい風景も楽しませてくれる。

まだまだゴールは遠そうだ。
でも、この景色を辿っていくのはとても楽しい。

この先、どんな景色を見せてくれるかな?。

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