新潟県一般県道227号
室谷津川線 旧道
 第9部

2021年5月8日・2021年6月2日 探索
2021年8月13日 公開

古の人々も見た風景

前回の最後で、私は「名古津集落の直前で旧道の標記が切れてしまっている」と書いた。
また「地図では旧道の直上を現道が通過していて、現道を造る際に築堤したように見えるから、現道の構造物に飲み込まれてしまっている」とも書いた。これを確認するために、まずは地図を見てみることにしよう。私が探索時に持っていた地図はボロボロになっており、また、決して綺麗ではない字でいろいろ書きこんでいるので、とてもお見せできる代物ではない。注釈もあるし、新しく作った地図をお見せすることにしよう。

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈を追記して掲載

常浪川に沿って走る、二重線で標記されている旧道の姿が地図上で見える。また、画像の右上部の旧道上には、上に向かう道が分岐する三差路が見える。これがレポート中何度も登場している「1t袋のバリケード」がある「だだっ広い交差点」だ。そこから下がっていくと旧道は名古津の集落へ向かっていくが、集落の直前で旧道の標記が消えている。

さぁ、どうなるか。本当に通れないのか。
かかってこい、227号!

倒木を乗り越えて(と言うもんでもないが。乗り越えてなくて脇を通っただけ(笑))、先へ進む。路面もだんだん荒れてきて、旧道と言うか廃道の雰囲気を盛り上げてくれる。道の脇には水たまり、路面には枯葉が降り積もる、実に素敵な道じゃないか。さ、名古津集落へ向かって進んでいこう。

くねくねと曲がりながら先へ進む、旧県道。この先へ進んでいくと、やがて右上に現道が寄り添ってくるはず。旧道の左側にはカーブミラー。これだけを見ると、この旧道は普通に車の交通がありそうに見えるが、さにあらず。だだっ広い交差点側は1tバリケードで封鎖されているし、この分だと名古津集落側もどうなっているかわからない。こう来なくちゃ(笑)。
となると、このカーブミラーは今は何を映しているんだろう。きっと同じ景色ばかりを映していると思うと、少しかわいそうになってきた。
と言うことで、私の姿を思いっきり映しておいた。カーブミラーにとって気分転換になったかどうかはわからないが、幸いにも鏡は割れなかったことを報告しておこう(笑)。

旧道から少し視線をずらして、ちょっと横を見てみる。
手前に見える常浪川を越えて遥か先には、勇壮な山々の影が見えた。あの山々を越えたあたりが、福島県の本名あたりだろうか。本名から室谷に抜ける本名室谷林道を通って津川に出る会越街道を通った古の人々も見た同じ景色を、私もこうして見ている。
それもこうしてこの道が残っていたからで、通るだけで遥か昔の過去を感じることが出来る道路は、やはり素晴らしいと実感した。

前方右側に、何やらコンクリートの構造物が見えてきた。手元の地図を取り出して確認すると、あれはどうやら名古津集落の直前にある、現道にある覆道のようだ。…と言うことは、あの下のあたりが道の標記が消えている箇所か。この道の印象からすると、地図の誤記のような気がしないでもないが…ま、行けばわかるだろう。

美しく弧を描くスノーシェッド。この区間、現道を通っていないので名称はわからないが、中を通っていても幾何学的で美しいだろう。このスノーシェッドを外側から眺めることが出来るのは旧道のこの辺りからだけで、この景色を見た瞬間に歓声を上げてしまった。ところで路面を見てみると、なぜかダブルトラックが付いている。
う~ん、今でも通る車がたまにあるんだろうか。

一応ここは常浪川に沿って走っているはずだが、ここだけ見ると森の中を進む廃道のようにも見える。路肩には弛みきったガードロープと、何を示していたのかわからなくなってしまっている標識。山側の斜面には刈りこまれず伸び放題の木々。一応、阿賀町道のはずだが、雰囲気は廃道だなこりゃ。この道、これから廃道や旧道の趣味を始めましょうという方には、練習材料としていいかもしれない。ただ、少し長いのが難点だが…。
何しろ、この先にある名古津集落までが全工程のちょうど半分の位置で、室谷集落までの後半は、まだ同じくらいあるのだ。まだまだ先は長い。

名古津集落まで、あと少し。
いよいよ次回、前半部分のゴール!

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