新潟県一般県道227号
室谷津川線 旧道
 第1部

2021年5月8日・2021年6月2日 探索
2021年7月12日 公開

今でも立派な旧道?

う~ん、やはり自転車を持ってくるべきだったか…。自転車で通れるかどうかわからなかったので探索の手段を徒歩にしたのだが、今回は失敗だったかもしれない。そんな気がしている。ところで旧道は現道と別れたあと、そばを流れる常浪川に寄り添うように高度を下げていくが、現道は上り坂で更に高度を上げていく。画像中では左カーブで緩やかに下がっていくのが旧道で、その右側を山中に突っ込むように進んでいるのが現道だ。
普通は山中を通る道が勾配が急なために、それを緩和する目的で新しく緩やかな道を作るのが普通じゃないかと思うが、この道の場合は逆だ。だから、私は通りながら落ち着かないような、何かの違和感を感じていた。

少し進むと、現道は完全に右側の山中に見えなくなり、旧道の一人旅が始まる。路面は今のところ荒れたりしているところはなく、こうして見るとまるで現役の道路みたいだ。ますます自転車を持ってこなかったことを悔やんだ。だが、いつまでもそんなことを思っていても仕方ないので、長靴の音をあたりに響かせながら歩いていく。左側の看板には「速度落としてください」とあり、もしかすると何か工事が行われているのかもしれず、今日は休んでいることを願いながら歩いていくと、右側に…

おお、これは美しい!

雪解けの水が勢いよく流れる沢を見つけた。水が流れる音があたりに響くほどの水量で、スタート地点にあった田圃の水もこうした綺麗な水が引かれてコメが作られているのだろう。手に取るとやはり透き通る美しい水で、そのまま飲んでも良さそうなほどの水だった。探索はまだ始まったばかりだが寄り道をして、この沢の風景を何枚か画像に収めて先へ進む。

旧道に戻って先に進む。が、何となく周りの風景が広々として、いつもの旧道とは違う印象を受ける。この違和感はなんだろう?。その答えを見つけられないまま進んでいる。路面は旧道らしからぬ感じで路面も荒れることもなく、至って普通の道だ。さすがにセンターラインはないが、この道幅だと消えてしまったのではなく元からなかったんだろうと思う。路側帯を示す路肩の白線はないが、その代わりにと言うべきかガードレールと、ところどころにデリニエータがあったりして、旧県道らしい様子も見せてくれている。でも、探索していて何となく物足りん(笑)。

山側を見ると、遠い斜面の先に現道が見える。旧道はこんなに低いところを走っているのに、現道はあんなに高いところにある。なぜなんだろう?。歩きながら疑問が浮かんで、考え込みながら旧道を歩いている。あの現道の作り方だと、まるで今通っているこの旧道が低すぎるから一段高くして、ちゃんと通行できるようにしたんだよと言わんばかりの道形じゃないか。…ん?低すぎるから?。

道は右カーブで進んでいくが、通っている旧道の右側が空き地みたいになっていて、なんだか妙に落ち着かない。旧道探索と言うよりも散歩している気分で、そうなると足元の長靴が暑くて仕方ないのだが(笑)。でも、この先に何があるかわからないから、履いておいた方が無難と言うか安心だしなぁ。答えが出ない問答をあれこれしながら歩いているが、さっきから思っているのは進行方向左側に見える空き地に、以前は何か建造物があったような気がして仕方ないのだ。

上の画像にある左カーブを曲がると、採石場みたいな場所に出た。途中にあった工事中のような看板は、おそらくはこの採石場に出入りする車両に対して向けられたものと思うが、ここから見える範囲に建設機械などはなく、この採石場は今は休止か稼働していないようだ。ところで、現道はここから見える左側の遥か上を通っていて、その姿は見えない。なんだか、だんだんと離れていっているような気がして、持ってきた手元の地図で確認してみると、やはり遥か上方を通っている。う~ん…

実はさっきから、ふと頭に浮かんでいることがある。
旧道の左側を流れる常浪川。右側に、まるで強制的にとでも言わんばかりに、その位置を上げられた県道がいる。そして、これだけ立派な道が今でも存在しているにもかかわらず、この道は旧道になってしまっている。
そのヒントは、旧道の左側に流れている常浪川にあるような気がしてならない。
川と道。この二つを思うと、答えは一つしかないような気がする。道路好きとしては一番考えたくはないが…

この道は沈むはずだった。

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