新潟県一般県道227号
室谷津川線 旧道 第5部
2021年5月8日・2021年6月2日 探索
2021年7月28日 公開
橋の名は
ここから見ると、どこにでもあるような桁橋。欄干は簡素なガードレール製。もしかすると以前はもっと立派な欄干があったが、途中で作り替えられたものかもしれない。ここから見る限り、親柱は4本とも健在のようで、川の名前や竣功年月日などは労せずしてわかりそうだ。
現道の頃は、多くの人や車がこの橋を行き交い、さぞ賑やかなことだっただろうと思うが、その栄華も今は遠い過去のものとなってしまったようだ。通行量はほとんどなく、たまに吹き抜ける生暖かい風と、あたりを包む静寂のみになってしまった。
それでは、この橋の素性を確認するために、親柱を見ていくことにしよう。
2枚前の画像中、手前右側の親柱。これにはこの橋が所属する道路名が記されていた。それによると、この橋が所属する(所属していた)道路は「県道室谷津川線」。そう、現在の一般県道227号室谷津川線のことである。どこにでもあるコンクリート製の親柱だが、その頭部は風雨によって削られ、角が丸くなってしまっているが、その貫禄は十分だ。
次に、左銘板。この橋は大谷沢橋と言うらしい。太めの筆書きの文字が使われ、貫禄たっぷりに橋名が刻まれている。その銅板は腐食もなく、今も橋の名称をしっかりと伝えていた。それによると、この橋が跨いでいるのは「大谷沢」と言う沢らしい。実は、この橋から近い位置に砂防ダムがあるのだが、そのダムが非常に赴き深い外見をしていて、さっきから興味を惹かれている。橋の確認が終わったら、砂防ダムへ寄り道だ(←旧道はどうした)。
橋から下を流れている大谷沢を覗き込んでみる。雪解けの季節は終わったが、地下にしみ込んだ水が地表に出てきて沢となり、常浪川に流れ込んでいる。その水は非常に透明度が高くて冷たそうで、恵の水と言うのにふさわしい水。飲んでみることはしなかったが、少しろ過すれば十分に飲料水として使えそうなほどだ。
川底が青く見えるのはなぜだろう?。軽く調べてみると、どうやら水の分子が赤色の光を吸収すると青緑色光が残り、その光がプランクトンなどの微小物質に散乱されて、私たちの目に入ってくるということなのだが…
…ま、きれいな水なのは間違いないと思うので、
深追いはしないことにしよう(笑)
さて、今度は橋を渡り、反対側の親柱を確認してみることにしよう。県道指定から外れたこの道は、先ほど看板があった常浪川ダムに水没する運命にあったのだが、運よく水没を免れて、今もここにこうして存在している。この道の管理者は阿賀町だろうから、この道は今は阿賀町道と言うことになるが、よく管理されている方だと思う。
何故かって?。最奥の集落である室谷と阿賀町の中心地である津川を結ぶ道は、ダム建設時に付け替えられた現在の県道がある。と言うことは、この道はおそらくだがほとんど通行量がないはずなのだ。現に、私がこうして歩いて探索していても、通行する車も人もいなかった。
にも拘わらず、こうして通れるように管理しておくと言うのは経費もかさむし、かなりの苦労だろうと思う。せめて、常浪川に沿って歩ける風光明媚なハイキングコースとして整備してはどうだろうか、と言うのが私の希望だ。
ところで、チェンジ後の画像はこの大谷沢橋から上を見上げたものだ。御覧の通り、天空に架かる橋が上空にある。こうして見上げてみると、現道の橋は上路トラスであることは間違いないと思うが、形式は何だろう?。ハウトラスでもプラットトラスでもないし、こういった橋は初めて見た。これは調べてみる必要がありそうだ。
反対側についたところで、親柱を確認してみよう。まずは大谷沢側にある親柱の確認だ。今の橋に見られるフォントの文字ではなく、まるで手書きのような実に味のある字体で「おゝたにさわはし」と彫り込んである。これも今の橋の銘板には見られない、貫禄ある標記だと思う。
こういった銘板があると、たとえ欄干がガードレールであっても貫禄十分に見えるから不思議なものだ。
最後の一本の親柱を確認して、私は驚くと同時に感慨深くて思わず声を出していた。
この橋、竣功は昭和46年3月。実はこの年月、私の誕生年月と同じだ(←歳がバレる(笑))。
竣功後、そのまま県道の橋として華やかな一生を終えるかと思ったら、隣を流れる川にダム計画が持ち上がって水没する運命に。その覚悟を決めたかと思ったら今度はダム計画が頓挫して、町道として残るんだけど交通量は極端に少なくなって、一安心したところで今はのんびりと余生を過ごしている、と言ったところだろうか。
親近感を覚えてしまうこの橋、竣功から50年。これからも残っていてほしいと思う。
橋をしっかり観察した後で、今度は大谷沢にある砂防ダムを眺めてみる。
一見すると、なんの変哲もない砂防ダムのように見えるが、提体が何だか変だ。目を凝らしてみてみると…ねぇ、あのダムの提体って…石垣の積み方ではないの?!。私は急いで砂防ダムへ向かった!(←旧道の探索はどうした!(笑))
さぁ、砂防ダムへ向かった私。どうなるかは、以下次回!(笑)。