新潟県一般県道137号
天神林上条線 未開通区間
第5部

2020年11月14日 探索・2021年1月13日 公開

ここに来て、道の様相が変わってきた。この道をこのまま進んでいくと、ヤブ漕ぎしないと通れなくなりそうな様相を呈してきている。それでも路面にはダブルトラックがしっかり刻まれているので、通行する車は大なり小なりあるようだから、少し心強いけど…。でも、ここを通るのは間違いなく「林道のF1」とも言える軽トラックだろうな。いやいや、それか軽バンか・・・でも、個人的には軽トラが好きだ(笑)。
ま、私が好きなのが軽トラか軽バンかと言うのはどっちでもいいのだが、ここに来てこの県道は谷の底を走るような様相を示してきた。すなわち、左右を斜面に囲まれ・・・と言う地形だ。ヤブ漕ぎ上等、ここまで来たら・・・と言う感覚で進んでいく。

今にもヤブが展開しそうな路面を進んでいくと、右側の法面に低い擁壁を見つけた。それは夏草が生い茂る季節なら、まず草に埋もれてしまいそうな低さで道を守っている。この擁壁自体に銘板などはなく、竣功がいつなのかはわからなかったが、それでもひたすらに道を守っているその姿になんとなく健気さを感じてしまう。こういった感じで地味に道を守る道路構造物は、私は非常に好きだ。

擁壁から先へ進むと、道はいよいよ谷の中を進んでいく。
・・・と、路面が補修された区間に出た。その路肩にあるのは・・・

デリネータじゃないか!

この未成道区間に入って県道を示す構造物に出会うのは、ここが初めてだ!。この場所は以前に路肩側が崩れてしまったのか、路肩側の法面が施工されていて、そこにデリネータが立てられている。そしてそれには県道を示す「新潟県」の文字が。思わず嬉しくなって騒いでしまった声が山中に響く。クマよけにはちょうどいいか(笑)。

そこからふと下を覗き込むと、谷の下にこれから通るであろう道筋が見えた。これまでの道程とは違って、なかなか草に覆われている(笑)。ヤブ漕ぎまでは行かないが、通るにはなかなか楽しそうな道だ。でも、今通っているこの路面の高さと、下に見える路面の高さを比べると、かなりの差があるように感じる。そうすると、これから先の道程には急な下り坂が待っているということか?。

道は山裾に沿うようにして進んでいる。未舗装の路面の草はだんだんと高くなってきてはいるが走れなくなる程ではなく、普通に進むことが出来る。この道は県道として一応の管理はされているようで、通行可能な状態ではある。ただ、通年通行可能かと言うとおそらくそうではなく、冬になると雪に埋もれてしまって、冬季通行止めになるだろう。杉などの針葉樹林の中を進むことが多いこの県道は、決して風光明媚な景色を持つ道ではないが、全体がここまで緩やかな下り坂になっているので、紅葉の時季には歩いて通るのもいいと思う。
…いっそのこと、ヘキサ(県道番号の標識)を立てて徒歩県道にしてくれないだろうか?。そうすればもっと楽しめるし、話題にもなるのに(笑)。

大きな弧を描いて回り込む県道。ここは周りに比べて路面の草も周りの下草もなぜかきちんと刈り込まれていて、人の手が入っていることがはっきりとわかる。まるで最近まで何かの作業が行われていたみたいに、明るく広々としているので非常に気持ちいい。ここで自転車を降りて休憩することにした。
今日は11月の割には暖かく、天気予報などでは「今年(2020年)の冬は雪が多い」と言われているが、今の天気からはあまり想像がつかない。撮影機材が入ったリュックを下ろしてペットボトルのお茶を飲むと、やや火照った身体がクールダウンして気持ちいい。

お茶を飲みながら地理院地図をプリントした地図を見てみると、県道はこのカーブから一気に標高を下げ、あとは山裾に沿う形で長福寺の集落の端っこに出るはずだ。あと100mほど走ると道沿いに田圃も見えてくるはず(休耕田でなければ)。

長福寺の集落まで、あと少し。

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