一般国道49号旧道
鳥井峠 第7部

2019年7月5日 探索・2019年8月8日 公開

前回、私はここから先に白い路面が見える国道49号のゴールへ向けて、自転車を進ませていたところまでお話した。この後、現道に合流する直前の左側に何を見つけたのか。今回はそこからである。思いもよらず長くなってしまった鳥井峠だが、あと少しお付き合いいただきたい。

この画像は、最初の画像から先へ進んで現道に旧道が合流する直前の画像である。ここから後は下るだけと思いながら坂を下ろうとすると、山へ向かって突っ込んでいく道を左側に見つけた。この画像だと上り坂になっている細い道が左側に見えるが、この道である。
普通であれば、この道は農道か何かだろうと判断してスルーするのだが、今回はなぜか止まって確認しようという気になった。少し前に、峠頂上の白看板と馬頭観音をじっくり見て、いささか興奮気味だったのかもしれない。山へ向かって左に突っ込んでいく道をよく見ると、道端にポールのようなものが立っているが、通行止めのチェーンをつなぐポールにしては高さがありすぎる。やはり農道ではなさそうだ。確認してみよう。
…にしても、自転車で上がるには急だなぁ…。

ん?鳥井峠?

近づいて確認してみると、やはり道路封鎖用のポールではなく、このような木標だった。一番下の文字がかすれて見えないが、文字の跡ははっきり見える。その文字は「峠」。ここから鳥井峠が始まるということなのか?。だとすれば、今通ってきた鳥井峠は?。などと多少混乱したが、おそらくこの道は車道ではなく、それより以前の街道としての鳥井峠であろうと思われる。この辺は家に帰って調べるとして、今はこの道がどこまで行けるのか進んでみよう。…にしては坂が急なので、自転車は降りて押し歩きで進んでいく。

これはこれで、なかなか雰囲気ある道じゃないか。さっき通ってきた国道49号の旧道よりも、旧道の雰囲気満載である。…でも「これ車道じゃないな」と言う気がした。車道とするには、さっき通ってきた入口の勾配や、今通っているここの勾配がやや急過ぎる気がする。この勾配で荷を積んだ車を馬が引っ張って上がれるかなぁ?と言う気がするのだ。路面はコンクリートで舗装されているが、その舗装は簡易舗装と言った感じで、しっかりと舗装されているものではない。自転車を押しながら進んでいくと、突然開けた場所に出た。

道が御覧のように分かれている。正直、この道は事前調査も何もしておらず、ただ単に入口の木標を見つけて入ってきただけで、途中で何かあれば探索を中止しようとは思っていた。そして舗装もここで途絶えている。ただ、多少は刈り払いがされているようなので、状況を確認しようと近づいてみる。左を見ると…

・・・え~と(笑)

ほんの少しの刈り払いで終わっている。この先はどこへ進むのか確認はしてみたものの、結構な草のヤブ漕ぎをしなければならず、とりあえずその先にも何もなさそう(と言うか、背が高い草に阻まれて見えないのだが)なので反対側を確認することにした。で、今度は右側を見てみると…

…やっぱりね。こちらも同じか。でも、ここはいったい何なのだろう。道が分かれているところを見ると、直進の選択肢はないようだ。背が高く茂っている草の隙間から覗いてみると、直進すると何があるのか、なんで直進出来ないのかがすぐにわかった。

かなり大きな池だった!

これじゃ真っ直ぐ行けないわな。池に落ちる(笑)。ここで水泳するつもりはさらさらないので、足元に気を付けながら改めて周囲を観察してみる。すると、この画像にも少し写り込んでいるが、右側に柵で囲まれた何かがあるようだ。慎重に歩を進めながら覗き込んでみると…

ふむ。用水路の取水口か何かだろうか。とりあえず、歴史的な建造物の類ではなさそうだ。と言うことは、入口の木標にあった「鳥井峠」への道はどちらだろう。ここから右へ行くと、位置的には次の「惣座峠」につながるはずだが、惣座峠の付近にはそれらしき街道の旧道はなかった。また、国道49号の旧道は鳥井峠を越えると少し進んで右に分かれ、福取の集落を越えて惣座峠に入っていくが、その福取集落の手前に一里塚の跡がある。すると、惣座峠の位置は街道の頃から変わっていないだろう。やはり旧版地形図を調べてみるしかないか…。
この街道としての鳥井峠の探索はここで中止して、車に戻ることにした。だが、現道を通って戻っても面白くない。なので、帰路は旧道を逆に辿ることにした。上り坂は八ツ田の集落から峠の白看板までの数百メートル。あとは全て下りだから、先ほどよりは遥かに楽のはずだ。

峠の白看板を越えて下っていると、先ほどは気づかなかったものを見つけた。これはおそらく標識柱だろう。何かの標識が付いていた形跡があり、自転車を止めて、潜んでいるヘビさんたちに注意しながら(厚手の皮の手袋をしているのは言うまでもない)この付近のヤブをほじってみたが、見つけることは出来なかった。何の標識が付いていたのか。つづら折りありか、警笛鳴らせか。

更に先に進む(峠を下る)と、今度は右側にこのようなものを見つけた。これは廃車体である。商用車のワンボックスのようで、天井部分がV字に折れ曲がっているのはきっと雪のせいだろう。ここで動かなくなって置き去りにされたのか、それとも何か他の理由があってここにいるのか、その詳しい理由は今となっては知る由もないしわからないが、一つだけ言えるのは、彼は長きに渡ってここに一人で居続けたということ。こういう場所でこういう廃車体を見ると、私は非常に切なくなる。いつも思ってしまうのだ。「もっと走りたかったよね」と。


こうして私は鳥井峠を往復して探索を終えた。この鳥井峠は私の中で非常に好きな道の一つとなったのだが、問題はあの木標。旧版地形図をひっくり返しても峠道としての鳥井峠は残念ながら見えなかったが、その奥にある行ってみたい集落を一つ見つけることになる。それもあって、結局私はまたこの付近に再訪することになるのだが、まずはこの鳥井峠の調査を進めよう。…また新潟県立図書館に行かないとな。

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