一般国道49号旧道
鳥井峠 第6部

2019年7月5日 探索・2019年8月4日 公開

前回、この馬頭観音を後にして、八ツ田集落へ向かった。地図上では福島県側よりもこの新潟県側の方がはるかに短く、地図上ではおよそ数百メートルで集落に到達するはずで、道に草は茂っているもののダブルトラックは健在な道だった。今回はこの馬頭観音から八ツ田集落を目指す。

うむ、いい道だ!

ダブルトラックこそあるものの、それを除けば道幅も十分な旧道然とした道じゃないか。何となくだが、福島県側とは道の趣が違っているような気がする。福島県側には左側に見えるような崖はあまり見かけられなかった。そういえば、この鳥井峠は県境。と言うことは分水嶺でもあるから、この違いはその分水嶺のせいかも?などと思いながら道の状況を気にしつつ、自転車を進める。

少し進むと、こんな感じ。なかなか雰囲気が出てきたじゃないか(笑)。
緑が非常に美しい。道は森の中を進んでいるようで太陽の光は十分には届かないが、木々の間から漏れてくる日差しが眩しかったり、光が木々の葉に当たって緑を非常に鮮やかにしていたりして、非常に楽しい道だ。

何となく峠を振り返ってみた。私がこの峠を探索するきっかけになって、先ほど私が歓喜しまくった白看板が、峠を降りていく私を見送るかのように立っている。「会いに来てくれてありがとね」と言ってくれているようで、少し寂しい気分になる。私は「また来るよ」と言って、峠を後にした(実際、私は馬頭観音の画像を取り忘れ、数日後にここを再訪することになるのだが(^^;)。

森の木々の深さが浅くなり、空が明るくなってくる。道の状態もダブルトラックが鮮やかになって、これはもうすぐ集落が近いのか?。県境を越えると集落の雰囲気も家の形も変わってきたりするものだが、やはり道も変わるものだなぁと実感してしまった。こういうところは歩きか自転車でないと体験することは出来ないと思うので、今回探索に自転車を選択したのは正解だった。
そういえば先ほど馬頭観音があったと言うことは、明治時代の方々もここを通っていたということであり、この道の雰囲気も当時とおそらくはそう変わってないだろう。どんな人たちがここを通っていたのか。行商か、買い出しか。

おおっ!間違いない!。もうすぐ八ツ田集落だ!。緩く右にカーブする先は非常に明るい。…とは言えど、集落が近づいてきたからと言って、ここまで大変なヤブ漕ぎをしているわけでもなく、非常に楽な道のりだったので、さして大騒ぎすることもないだろうと言われる方もいらっしゃると思うが、そこは峠を通り抜けてきたのでやはり感慨があるものだ。路面はダブルトラックが鮮明だが、それを除いても十分に情緒ある道だと思う。

ほら、やっぱり!

しかも…舗装路と未舗装路の境がここまでくっきりとしてると、それはそれでなかなか楽しい。でも、これは集落の中の旧道もしっかり生き残ってるという証でもあるのではないか。非常に楽しみだ。…しかしこの峠、新潟県側から入った方が楽だったのではないか?と言う気もするが…、ま、その代わり美しい風景も見られたので、良しとしよう。

峠を出て舗装路になると、こんな感じだ。昔はこの八ツ田の集落も宿場として賑わったことだろう。この道はこのあと福取の集落を経て惣座峠を越え、八木山の宿場に入っていくのだが、この辺のお話はまた別の機会に。今はこの八ツ田の集落を見ていこう。

今は普通の集落と言った感じだが、昔は非常に賑わったことが想像できる。酒屋さんもあり、お店もあり、これで宿があれば最高なのだがそれは贅沢と言うものだろう。当時の道を歩く人たち、馬車や牛車の姿が見えるようで、しばし立ち止まって想いを馳せる。

先に見える白い路面が、現道の国道49号である。旧道区間はもうすぐ終わるが、この峠はきちんと整備されて非常に雰囲気も感じられて、今回は自転車で通ったが歩いて通っても楽しめる道でもあった。今回、私がこの鳥井峠を選んだのは峠にあった白看板をこの目で見るということだったのだが、その他にもこの鳥井峠は多くの嬉しく楽しい発見があった。この峠道は今後も何度も通ってみたい。そう思って自転車を走らせていたところ、旧道が現道に合流する直前で分岐する山へ向かって走る道の端に、意外な物を見つけた!。

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