新潟県主要地方道69号
長岡和島線
阿弥陀瀬トンネル旧道

第8部

2022年10月15日 探索 2023年4月17日 公開

たぬきと腹鼓とふとんかご



さて、一息入れて出発、少し進んだところで振り返ってみた。左側に何やら標識が隠れている。おや?何だろう?。なんだか見慣れない標識のような気がする。近づいてじっくり見てみよう。…と、その前に、補助標識が付いているじゃないか。そこには…

「たぬき注意」

たぬき?!。…てことは、標識のイラストは…?。それがチェンジ後の画像だ。
どこからどう見てもたぬきのイラストだが、なんとも可愛らしいではないか。しかも、自分が危ないという非常事態にも関わらず、なんだか腹鼓を打っているようにも見える。たぬきよ、そんな場合ではないはずなのだが…。
でも、このイラストはなんとも可愛らしく、これなら注意したくなるだろう。多くのたぬきの命が救われたことを祈る。

左側の法面には、もうすっかりおなじみとなった(?)ふとんかご。道幅も優に対面通行できる2車線の幅までだんだんと広くなってきて、高度も下がってきた。おそらく現道との合流ももうすぐだろう。道幅も広くなって、なんともいい感じで合流点に向かっている。今のところ、たぬきが出そうな気配はないのが何よりだ。こんなところで出てきてケガでもしたら私も寝覚めが悪い。この旧道が現道だった時代も、やはりたぬきを始めとする小動物たちが犠牲となっていたのだろうか。

なんとも長閑な風景だが、コンクリートで施工された山側のやや苔むした擁壁が、この道の普段の姿を教えてくれるような気がして、しばし眺めていた。山間を通る峠道だけあって御多分に漏れず土砂崩れなども多く起きていたようで、これまでもいくつか補修の跡が見られた。こうした垣間見える道の素性や災害の跡などを辿る探索も、それがもうすぐ終わると思うと口惜しいものがある。山の中を、陰日向となって道を守る勇者に守られながら合流点に向かって進んでいく道は、どことなく嬉しそうだ。

出口が見えてきた。ここはちょっとした並木道になっていて、その出口に、こちらに背を向けている表示板らしきものが見える。これは峠にあった表示板と同じもので、ここにも設置されていた。私は峠にあった表示板について、その理由を『直進で坂道を上ってきて峠の頂上からいきなり下りになるとジャンプしてしまって危険だから』と書いたが、ここはジャンプのしようもないほど平地なので、その理由には当てはまらない。どうやら2車線の幅の道を一車線に規制するためと、バリケード代わりのチェーンを張る支柱の役目を兼ねているようだ。峠道はのんびり辿って観察するに限る。抜けて確認してみよう。

振り返ると、ご覧の通り。峠の頂上に置かれていたものと全く同じ方法で置かれている。右側の表示板の根元には「通行規制中」の表示板がチェーンと一緒に置かれていた。冬季や有事の際はこのチェーンを左右の表示板の間に張って通行規制を行うらしい。せっかくなので、この表示板の台座になっているコンクリートブロックに腰かけてみると、私には高さがちょうどよくて、一休みするのに快適だったことを書き加えておく。

スタート当初は颯爽と跨って、登り坂になったのでその後すぐに降りて押して歩いて、峠の頂上から下りになれば乗るかと思いきや、結局押して歩いてきてしまった自転車。カロリーを消費する一助になったようだから、まぁいいか(笑)。という訳で合流点にやってきた。ここは阿弥陀瀬トンネルの与板側坑口の少し手前のところだ。
山間の谷合の畑に咲くように、正面の菜の花畑の黄色い花が目を引く。

見つけて直感的に探索したこの峠道。押して歩いてきた自転車に跨って、スタート地点に戻ろう。…そうか!出発点に楽に戻るために、自転車を押して歩いてきたんだな?!(違)。

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